なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

安価な治療でお願いします

2021年10月25日 | Weblog

 9月1日に地域の基幹病院から転院してきた69歳男性は、糖尿病で治療していた。

 65歳以前から何度か入院していたが、認知症があり性格が粗暴でもあり、入院治療継続が困難で入院後早期に退院になることがあった。

 その後当院の糖尿病外来に通院していた。身長166cm、体重120kgで見るたびに身体が大きくなっていた(現在104kgに減量している)。HbA1cが8~9%台で推移していた。

 直近の処方は、GLP1受容体作動薬のトルリシティアテオス注週1回皮下注、メトホルミン1000mg/日、SGLT2阻害薬(フォシーガ5mg/日)だった。

 大学病院から来てもらっている専門医が診ていて、肥満患者のお手本のような処方になっている。HbA1c6.7~7.2%と良好な血糖コントロールだった。

 自宅にいると次々に食べてしまっていたそうだが、入院すると病院食しか食べられない。認知力低下と廃用症候群で、介助で車いす移動程度なので、自分で売店で食べ物を買ってくることもできない。

 案外空腹で大声を上げたりはしなかった。声掛けをしながら、動いてもらうが、気に入らないと声を荒げることはある。

 在宅介護が困難なのと(妻だけでは動かすことができない)、肺胞低換気と睡眠時無呼吸症候群で酸素飽和度の低下がある(変動が大きく酸素不要の時もある)。先方の病院では、CPAPの適応だが、到底装着していられないので導入せずとあった。

 ソーシャルワーカーが施設を探していて、在宅酸素療法でも受け入れている施設を当たっていた。先方の施設からトルリシティ注は高額なので、変更できないかという指摘があった。

 値段を確かめると、3419円で1か月(4週)では13676円になる。確かに高い。DPP4阻害薬変更にすると、ジャヌビア50mg錠で3927円になる。

 メトグルコは1か月1212円で安価だ。ただ、フォシーガ5mgは1か月5853円でそれなりに高額だった。

 低血糖になりにく処方なので、最近のHbA1c6.1%でも継続していたが、フォシーガは休止してもよさそうだ。メトホルミン+DPP4阻害薬の基本薬だけでいけると思う。可能ならさらにメトホルミンだけにできる?。(この患者さんは10年前から入院費は未払いなので、そもそも施設に入れるだろうか)

 

 以前、施設からサムスカが中止できれば入所可能といわれたこともあった。循環器科で心不全に対して、ループ利尿薬とスピロノラクトン、サムスカが処方されていた。サムスカ7.5mg錠は1錠1298.5円なので、1か月で38955円になる。これでは施設が赤字になってしまう。

 施設に入るために、サムスカを0.5錠に減薬して、さらに中止とした。何度も心不全で入院した既往があり、胸水は軽度に残るが、その条件で施設入所となった。(本来、急性に使用して中止する薬ではある)

 

 

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