なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

さまざまの低下症~レックリングハウゼン病

2021年10月04日 | Weblog

 レックリングハウゼン病(神経線維腫症)の74歳は、食欲不振・全身倦怠感で9月10日に救急搬入された。

 血糖24mg/dlと低血糖を呈していたが、普通に会話はできた。グルコース入りの点滴に切り替えて(救急外来ではグルコースなしの乳酸リンゲル、当院はソルラクト500ml、で開始している)、50%グルコースを静注した。

 炎症反応が上昇していて、発熱もあった。肺炎・尿路感染症は否定的で、神経線維腫が密集してる背部の皮膚軟部組織感染症と判断された。以前から皮膚科で関わっていたが、今回は内科入院として、皮膚科は往診で診察・処置に当たってもらった。

 昨年に介護保険を受けるために、頭部CTを行うと脳委縮はあったが、長谷川式は失礼ながら意外にも20点を越えていた。

 

 入院後もグルコース入りの点滴(5%)を継続していたが、血糖は60~70mg/dl台と低い。食事摂取はまったく進まなかった。

 嘔気も腹痛もないが、だるいという。ただこの患者さんは10年以上前から、奥さんの話ではまったくやる気がない人で、雰囲気は病気というよりは性格の問題と判断したくなるものだった。

 血中Cペプチドは低値で、HbA1cも正常域を少し下回っている。もうずっと以前から低血糖傾向で経過していたのだった。

 

 しだいに低蛋白血症が進行して、貧血も進行した。消化管出血はなく、MCVは100以上だった。血清鉄低値・血清フェリチン高値で慢性炎症パターンだった。

 ビタミンB12 は正常域で、血清葉酸が低下していた。前立腺癌の治療を泌尿器科で受けていて、関係があるのかもしれない。血清からみて前立腺癌はコントロールされている。

 2日間輸血をして、葉酸の補充で経過をみることにした。骨髄検査も必要な時はすることにした。高カロリー輸液も開始した。

 

 内分泌の問題を疑って、甲状腺ホルモンと副腎ホルモンを検査した。甲状腺ホルモンは、FT3・FT4が低下して、TSHは正常域だった。血清コルチゾールは正常下限値で、ACTHは正常域だった。

 甲状腺ホルモンの補充を副腎皮質ホルモンの補充の前に行うのはまずいが、間違いなく少ない甲状腺ホルモンを少量(25μg/日)で開始した。

 副腎皮質ホルモンを再検すると、正常域を下回った。これでは甲状腺ホルモンを増量できないので、副腎皮質ホルモンの補充も少量から開始した。

 すると、食事摂取が進んで、寝っぱなしだったのが、ベット上で少し起き上がるようになっていた。すると、やる気のない人ではなく、モルモン低下症だったのか。

 ここからは慎重に補充量の調整をして経過をみていく。

 

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