8月初めに内科クリニックから、前月からの食欲不振が続く79歳女性が消化器科に紹介されてきた。
クリニックで腹部エコーを行った時に、上腹部に圧痛があると記載されていた。腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)は正常域だった。
当院で行った腹部エコーで膵尾部に腫瘍が疑われた。腹部造影CTで確認すると、膵臓には腫瘍はなく、空腸に腫瘍を認めた。嘔気・嘔吐も あったが、内腔閉塞は正確にわからない。
画像検査はそこまでとして、地域の基幹病院紹介内科に紹介していた。
入院して外科手術を受けたが、腫瘍が上腸間膜動脈に浸潤していたため、バイパス手術のみになった。術後に肺炎を併発したり、消化管の通過障害で、予想より長い入院になった。
高カロリー輸液(今どきのPICC)を行っていて、すぐには自宅退院できないため、当院消化器科に転院して経過をみることになった。経口摂取ができて通院できる時は、またご紹介下さいとあった。
癌化学療法は高額医療なので、外来通院できないと実施は困難だ。組織型の記載はなかったが、動脈に浸潤していたということは、GISTではなく腺癌なのだろうか。
これまで空腸腫瘍は見たことがなかった気がする。