なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

頸部・顎下リンパ節腫脹

2021年10月09日 | Weblog

 9月30日に内科医院から高熱・頸部リンパ節腫脹の35歳女性が紹介されてきた。その日の昼食時に、別の内科医からこれから紹介されてくる、という話を聞いた。

 当方は当直明けで午後から帰ることになっていた。咽頭痛もあるというので、急性扁桃炎かと思った。今週になって、その後どうなったかと画面で確認すると、発熱が続いていた。

 9月25日から39℃の高熱と頸部リンパ節腫脹があった。内科医院では新型コロナの検査を提出して、「扁桃に炎症がある」ということで経口抗菌薬(シタフロキサシン)が処方された。

 9月29日に再受診している。コロナの検査(PCR)は陰性だった。血液検査で白血球10600・CRP5.61と炎症の上昇を認めた。

 9月30日に当院入院となった。咽頭には化膿性扁桃炎とするほどの所見はなかった。呼吸器症状・腹部症状はなく、胸腹部CTは異常を認めなかった。白血球15000・CRP12.2とさらに上昇していた。

 抗菌薬の点滴静注(ピペラシリン/タゾバクタム)が開始された。(培養は提出していない)発熱はアセトアミノフェンが投与されるので、上がったり下がったりだが続いていた。

 ただ炎症反応は、10月4日白血球9000・CRP6.3、10月7日白血球8200・CRP4.4と抗菌薬が効いたような経過に示していた。入院後は食事摂取も良好になっていた。

 伝染性単核球症も疑ってウイルスマーカーを提出していたが、EBウイルス・サイトメガロウイルスとも既感染だった。異形リンパ球は認めず、肝機能障害もなかった。

 頸部エコー検査で、両側のリンパ節が腫脹していたが、耳下腺や甲状腺の腫脹はなかった。頸部・顎下リンパ節は最大30mm×15mmで5~6個認める。

 耳鼻咽喉科医に紹介して、壊死性リンパ節炎疑いとされて、週明けに頸部造影CTが予定された。結核性など鑑別を上げていた。しかし幸いにというか、耳鼻鼻咽喉科へ紹介した日から、明らかに解熱していた。

 約2週間高熱・頸部リンパ節腫脹が続いて、解熱して炎症反応軽快が軽快したという経過になる。抗菌薬投与に一致しているというよりは自然経過のようにみえる。壊死性リンパ節炎は確定診断に生検を要するが、この経過だと不要のようだ。

 

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