なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

低酸素血症・ショック

2012年02月09日 | Weblog
 40歳男性。低酸素血症・ショック
 昨日病院から帰宅して、夕食のカレーを作っている時に、病院から電話が来た。当直の外科医からで、内科開業医からの紹介で救急搬送された40歳男性を内科で入院させたいということだった。「糖尿病性ケトアシドーシスで著しい低酸素血症で」と言われた。糖尿病の問題だけでそれほどの低酸素にならないので、心肺疾患はないですかと聞いたら、胸部X線・胸部CTで異常はないという。画像で一見異常がない重症の低酸素血症なので、肺血栓塞栓症ではないですかと聞くと、「すみません急変です」と言って電話が切れた。病院に電話して状況をきくと、心肺停止して心肺蘇生術に反応せずにそのまま死亡に至ったという。
 今日カルテをみた。急な呼吸困難で内科のクリニックを受診したが、酸素飽和度70%と思い切り低かった。救急車を呼んで、そこの先生が同乗して当院に搬入された。搬入時の血液ガスは、酸素15L/分リザーバーマスク付で酸素分圧44・炭酸ガス分圧22・pH7.4だった。苦しくて頻呼吸している状態だが、酸素が全然上がってない。尿検査は尿糖陽性4+、尿ケトン体陰性で、血糖600、HbA1c13%と、高血糖高浸透圧症候群かもしれないがケトアシドーシスではない。2回目に検査した血液ガス(1回目から30分以内、心肺停止直前)でpH7.1に低下していた。胸部X線は、肺炎はなく、ほとんど正常に見える。ショックのため、造影のない単純CTだけなので何とも言えないが、両側肺動脈中枢部が拡張しているように見える。
 糖尿病が治療されずに、相当に悪い状態であったのは間違いないが、死因になったのは重症の肺血栓塞栓症と思われた。
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