なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

息切れは心不全ではなくて

2012年02月26日 | Weblog
 昨日の土曜日の日直と当直は大学からの応援医師だった。入院は3名あって、1名の重症肺炎は高次病院へ救急搬送してもらった。今日は入院した患者さんを診察するために病院へ行ってきた。
 
 80歳台後半の男性。
 心房細動と僧帽弁閉鎖不全で当院循環器科に入院した既往がある。内科循環器科のクリニックへ通院していた。今月になって息切れを訴えるようになり、在宅酸素療法を導入していた。それでも息切れがとれず、土曜日の昼前ということもあり、心不全の悪化として当院へ紹介された。受診時の採血でHbが5g/dl弱と著名な貧血を認めた。消化性潰瘍の既往はなく、NSAID内服もない。直腸指診で明らかなタール便・血便はなかった。慢性心不全ではあるが、浮腫はなく心不全の悪化ではない。これでMCVがで小球性ならば慢性の出血なので安心だが、MCVは82と低めの正球性なので、急性出血の可能性があるので油断はできない。輸血(濃厚赤血球)単位を2日間入れて、消化管精査とした。
 今日自分で直腸指診をしたところ、薄い墨色の便だった。病院に入院していたアルコール性肝硬変・食道静脈瘤破裂の60歳台女性が、また吐血して消化器内科医が緊急内視鏡をするところだった。内視鏡検査担当の看護師も来て準備していた。それが終わってから、続いて上部消化管内視鏡をすることにする。のぞいてみると、胃内には出血はなかった。胃角部小弯に胃潰瘍があり、潰瘍底に1か所赤点があったが飛びだした露出血管とはいえない。止血処置まではいらないと判断して検査を終了した。抗血小板剤を2種類内服しているので、良悪性鑑別のための生検は後日とした。
 昨日2単位の輸血が入っているが、それでも眼瞼結膜は明らかに貧血だった。息切れの原因は、心臓・肺・貧血なので、鑑別は難しくないはずだが、慢性心不全として通院していると、心不全の悪化と思い込んでしまうのかもしれない。明日の採血結果をみて、もっと輸血を追加するかどうか決めよう。
コメント
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