湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

横浜と湘南と昭和と

2008-06-29 17:03:56 | 湘南ライナーで見る


昨秋、テレビでリメイク版をやっていた『天国と地獄』。
映画のほうは、黒澤明監督による昭和38年の作品だ。僕は大学生の時に、友人に勧められてリバイバルで観て感動したのを覚えている。
でも、だからといってここから黒澤監督に傾倒していったかといえば、そうではなかった。単に横浜や湘南が物語の舞台だったというのが、感動を増幅していただけなのかもしれない。
先日C D屋をブラブラしていたら、意外に安い価格で並んでいたので購入。
いやあ、久々に観たら面白かった。迫力があった。出演者の顔ぶれがスゴかった。
そして、やっぱり知っている場所が次々に出てくるのが楽しかった。特に、その風景が昭和30~40代年だからね(あたりまえだけど)。
江ノ電はパンタグラフではなく、ポール1本で走っている。『こだま』は、新幹線ではなく東海道線に、この年デビューした特急だ。食堂車はあるは、電話室はあるは、鉄ちゃんが観ても喜ぶはず。
高台の権藤邸に警察が犯人にわからないように乗り込んでくる時のトラックは横浜高島屋の配送車。賑やかだった伊勢佐木町、怪しさたっぷりの黄金町、腰越漁港…。映像の中の店のメニューには「かつ丼100円」「天丼100円」「オムライス100円」なんていう文字も読み取れる。ちなみに、特典映像の予告編にチケット代「800円」とある。
見ごたえのある映画であると同時に、昭和を知る上でも貴重な作品だ。


三船敏郎氏が抱えている鞄が吉田カバンの創始者の手によるものというのは有名な話。この鞄を燃やして「もも色」の煙が上がるシーンは、『踊る大走査線』でもわざわざそこだけモノクロにしてオマージュされた。確か、青島刑事が「天国と地獄じゃん」みたいな言葉をつぶやいたはず。極楽寺のトンネルも出てくる。