なにしろ、次の電車まで一時間である。
駅員はもちろん、電車を待つ人の姿もまったく見えない。
ここは、JR鶴見線の『昭和』駅だ。
そう、昭和ファンの聖地…と呼ばれていない(笑)小さな駅。だって、この駅は「昭和電工の前にあるから」が、命名理由。だから、周りには工業地帯的な殺伐とした風景しか存在しない。国道を猛スピードで走りすぎる大型トラックが、駅前の中華料理屋の真っ赤な暖簾を揺らすばかりだ。
駅名といえば、地名をつけるのが普通だろう(最近、学校名は流行りだけど)。ところがJR鶴見線は、まだ地名のない埋め立て地に敷かれたため、軒並みゆかりの名がつけられた。
いちばん多いのが、人名。『浅野駅』は、浅野財閥の浅野総一郎氏。『安善(あんぜん)駅』は、安田財閥の安田善次郎氏の略(笑)。『大川駅』は製紙王の大川平三郎氏、『武蔵白石駅』は、JFE(旧日本鋼管)の白石元次郎氏といった具合。
ついでに、終着の『扇町駅』は、浅野家の家紋が扇だから。
また、『昭和』、『新芝浦』と『海芝浦』(東京芝浦電気=東芝)は、企業名。これらの駅の周りには、工場しかありません。工場は萌えていますが、僕のイメージする昭和は一切見当たりません。
なので、本日収穫なし。
と思いきや、鶴見からひと駅めの『国道駅』だけは、ノスタルジック全開でした。だいたいこの『国道』という駅名からしてレトロ。駅名の由来は、そこに国道があったから!
ドラマの撮影などにも使われるらしいが、残念ながら痛みがひどいですね。なんとか保存していただきたい。いい方法だとは思えないけど、そのまま新横浜のラー博のようなテーマパークにしたりなんかしてもいいかもしれない。
構内にあるヤキトリ屋さん。お店の名前は『国道下』。『鉄道下』か『高架下』『ホーム下』、あるいは『上りと下りを結ぶ通路下』だと思うけど。
『国道駅』の次の『鶴見小野駅』。小野は江戸時代からの町名らしいが、その町名も人の名前からとったもの。
唯一の“行き違い”のある『弁天橋駅』。乗務員の交代も行なわれている。
海芝浦への支線と分岐する『浅野駅』。支線のホームは既にカーブが始まっている。
『海芝浦駅』は、ご存知の通り、東芝の従業員意外は改札の外へは出ることができない駅。しかも、ホームの向こうは海。その向こうに見えるのは『鶴見つばさ橋』です。
大川支線の『大川駅』は、工場への通勤者のための駅。なので、朝晩しか走らない。なので、武蔵白石駅から、工場群を見ながら徒歩で!いやいや歩いていくだけの価値はあります。いい雰囲気。ほとんど誰も見かけないし。大型トラック、タンクローリー、ダンプだけ。
なにせ、<土曜・休日>は、日に3本ですから!
これをグイッとやれば、ポイントが変わる!こちらは支線の終着『大川駅』の先で。
JR鶴見線全13駅中、プラットホームに立たなかったのは、『安善駅』と『新芝浦駅』のみ。
一応言っておきますが、ご覧になった写真はすべて横浜市内です。
今日、東京メトロ副都心線が開通。そんな日に、こんなところで何やってんだろ(笑)。
昭和への改札は、
こちら。