NITE(ナイト)独立行政法人製品評価技術基盤機構製品安全センター
PSマガジン(製品安全情報メールマガジン) 2023.11.14 VOL. 440より
部屋を暖かく快適にしてくれる石油ストーブ及び石油ファンヒーター(以下、石油ストーブ等)ですが、
事故が毎年11月頃から多く発生しています。
今回は本格稼働目前となるこのタイミングに、石油ストーブ等の事故をご紹介します。
石油ストーブ等の事故
【事例1】手入れ不足による異常燃焼や堆積物への引火
石油ストーブを使用中、石油ストーブから出火して周辺を焼損し、1人が重傷を負いました。
⇒石油ストーブの空気取入口の下に炭化物の堆積があったほか、
置台の表面に焦げつきや変色が確認されたことから、
置台に堆積したほこり等によって空気の流入が阻害され、
吹き返し現象※1が発生し、ほこり等に引火し燃え広がったと考えられます。
(※1)吸気不足などで炎が空気取入口から逆流して出てくる現象
【石油ストーブ等のチェックポイント1】
○ほこりがたまっていたら掃除する。
石油ストーブにほこりなどが堆積すると、燃焼状態が悪くなったり、
炎が逆流して石油ストーブの下からあふれる吹き返し現象が生じてほこりに引火したりするおそれがあります。
また石油ファンヒーターも空気取込口にほこりが閉塞することで異常燃焼が生じる事故が発生しています。
使用を始める前に掃除を行い、シーズン中も定期的に掃除をしてください。
特に石油ストーブの置台や、燃焼部位の近くなどにほこりがたまらないようにしてください。
【事例2】ずれた燃焼筒による異常燃焼
石油ストーブを使用中、石油ストーブを焼損し、周辺を汚損する火災が発生しました。
⇒燃焼筒がずれて置かれていたことにより異常燃焼が発生し、
炎が高く上がったことで事故に至ったと考えられます。
【石油ストーブ等のチェックポイント2】
○対震自動消火装置の状態を確認する。
対震自動消火装置が正しく動作することを確認してください。
石油ストーブでは、芯の動きが悪くなると、対震自動消火装置が作動しても芯が下がりきらず、
消火不良となるおそれがあります。
確認方法は、機器本体を前後に揺らしたときに、
石油ストーブの場合、芯を上げた状態から芯が下がりきること、
石油ファンヒーターでは使用状態から停止することを確認します。
確認方法の詳細は取扱説明書を確認してください。
○燃焼筒の取り付け状態を確認する。(石油ストーブの場合)
燃焼筒をセットした時や、点火操作後には、
燃焼筒のつまみを2~3回ほど左右に回転させて燃焼筒が正しくセットされているか確認してください。
燃焼筒が正しくセットされていないと異常燃焼によって炎があふれて火災が発生するおそれや、
一酸化炭素が多く排出されてしまうおそれがあります。
【事例3】ガソリンの誤給油
石油ストーブを使用中、建物2棟を全焼する火災が発生しました。
⇒カートリッジタンク及びストーブ内部からガソリン成分が検出されたことから、
カートリッジタンクにガソリンが混入したため事故に至ったと考えられます。
ガソリンが混入した経緯は不明でしたが、
灯油の入った容器はガソリン携行缶と同じ建物で保管され、
事故発生現場からは給油口ふたが外れている膨張したガソリン携行缶が発見されました。
【石油ストーブ等のチェックポイント3】
○燃料は新しい灯油を入れる。ガソリンは別の場所で保管するなど、誤給油を防ぐための対策を徹底する。
石油ストーブ等には新しい灯油を給油してください。
灯油は劣化するため、昨シーズンの燃料を持ち越して使用することは
異常燃焼や一酸化炭素の排出を促進させるおそれがあります。
もし昨シーズンの灯油が残っていた場合は、タンクや機器本体から灯油を抜いてください。
灯油の処分については、灯油を購入した販売店に相談してください。
また、誤ってガソリンや混合燃料を給油すると、
たとえ少量の混入であっても火災に至るおそれがあり、大変危険です。
灯油とガソリンを類似した容器で保管していたために誤ってガソリンが混入していた灯油の給油や、
同じ場所で保管していたガソリンを取り違えて給油したこと等による事故が発生しています。
灯油は灯油用ポリタンクなどの専用容器※2に、
ガソリンは消防法に適合した金属製のガソリン携行缶に入れて保管し、別の場所で保管する、
ラベル表示で区別するなど、誤給油を防ぐための対策を徹底してください。
(※2)日本ポリエチレンブロー製品工業会(JBA)推奨ラベル、
危険物保安技術協会(KHK)の試験確認済証、JISマーク(JIS Z 1710 灯油用ポリエチレンかん)などが表示されているもの
【事例4】給油口ふたの閉め忘れ及び締め付け不良などによりこぼれた灯油に引火
石油ストーブを使用中、建物1棟を全焼、2棟を類焼する火災が発生しました。
⇒給油口ふたの閉め方が不十分であったため、
給油後のカートリッジタンクを石油ストーブ本体へ戻す際に給油口ふたが外れて灯油がこぼれ、
こぼれた灯油がストーブ天板から燃焼筒にかかって発火し周囲へ拡大したものと考えられます。
【石油ストーブ等のチェックポイント4】
○給油後は、給油口ふたをしっかりと閉め、灯油がこぼれないことを確認してから本体にセットする。
カートリッジタンクの給油口ふたの閉め方が不十分だったなどで、
灯油がこぼれて引火した事例があります。
給油後は、給油口ふたがしっかり閉まっていることを必ず確認してから本体にセットしてください。
また、給油する際は、必ず先に消火してください。
灯油が機器本体にこぼれた際は、機器内部に浸入しているおそれがありますので、
使用を中止し、販売事業者や製造事業者に相談してください。
○安全機能で給油口ふたが閉まっていることを確認する。
PSCマークの付いた製品は、
閉止音や目視又は感触などで給油口ふたが閉まっていることが確認できる機能を有しています。
石油ストーブをはじめとする石油燃焼機器は、2009年に消費生活用製品安全法の「特定製品」に指定され、
2011年からはPSCマークの無い製品は販売することができなくなりました。
マークは製品ラベルなどに表示されています
【事例5】可燃物の近接
石油ファンヒーターを使用中、建物を全焼する火災が発生し、1名が軽傷を負いました。
⇒石油ファンヒーターの吹き出し口とこたつが近接した位置に設置されていたため、
こたつ布団が過熱されて出火したものと考えられます。
なお、被害者は視力が弱く、石油ファンヒーターとこたつ布団の間隔がよく見えていませんでした。
【石油ストーブ等のチェックポイント5】
○周囲の物や天井、壁などと十分な距離を確保する。
石油ストーブ等を使用するときは、壁や周囲の家具、衣類などから指定された距離をとりましょう。
カーテンや布団など燃えやすく動くものにも注意が必要です。
石油ストーブ等に可燃物が近接していたり接触したりしていると、
放射熱※3による過熱や高温部への接触によって、火災になるおそれがあります。
(※3)放射熱とは、高温の物体が発する赤外放射などによって離れたところに伝わる熱。
【高齢者による石油ストーブ等の事故を防ぐために】
○高齢の方も今一度、正しい使い方の確認を、御家族や周囲の方は見守りをお願いします。
高齢者の事故が特に多く発生しています。
カートリッジタンクの給油口ふたがしっかり閉まっていなかったものやガソリンの誤給油などが多い背景には、
例えば、加齢に伴う握力の低下で給油口ふたを閉める力が不十分になるなど身体機能の低下、
ガソリンの臭いが分かりづらいなど嗅覚や視力、聴覚といった感覚機能の低下、
判断力の低下などが関係していると思われます。
今まで大丈夫だったからと油断せず、今一度、正しい使い方を確認してください。
また、使用者による注意だけでは限界がある場合もあります。
御家族や周囲の方も、誤った使い方をされていないかチェックポイントで確認して伝える等、
注意を払っていただきますようお願いします。
【注目!新作動画】
○石油ストーブ「15. 火災を防ぐ5つのチェックポイント」
https://www.youtube.com/watch?v=krrcZYVYBZQ
■NITEでは2023年10月26日に注意喚起として
『シーズン初めの石油ストーブ安全大作戦~5つのポイントで火災事故を防ごう!~』をプレスリリースしました。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2023fy/prs231026.html
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寒くなってきました。石油ストープ等の季節です!
取扱説明書をよく確認し、正しく使っているとなんでもないのですが、
今回の事例のような使い方していませんか?
火が出てからでは遅いのです。
しっかり確認して正しく使いましょう👍
特に高齢者の事故が多いとのこと。
ご家族の方は心配ですよね。
石油から電気ストープに変えても
今度は火が見えないために、
物が触れたり、体が触っていたりでやけどや火災になる場合もあります。
ご家族だけでなく周りの方の力も得て
安全に過ごしたいものです!
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PSマガジン(製品安全情報メールマガジン) 2023.11.14 VOL. 440より
部屋を暖かく快適にしてくれる石油ストーブ及び石油ファンヒーター(以下、石油ストーブ等)ですが、
事故が毎年11月頃から多く発生しています。
今回は本格稼働目前となるこのタイミングに、石油ストーブ等の事故をご紹介します。
石油ストーブ等の事故
【事例1】手入れ不足による異常燃焼や堆積物への引火
石油ストーブを使用中、石油ストーブから出火して周辺を焼損し、1人が重傷を負いました。
⇒石油ストーブの空気取入口の下に炭化物の堆積があったほか、
置台の表面に焦げつきや変色が確認されたことから、
置台に堆積したほこり等によって空気の流入が阻害され、
吹き返し現象※1が発生し、ほこり等に引火し燃え広がったと考えられます。
(※1)吸気不足などで炎が空気取入口から逆流して出てくる現象
【石油ストーブ等のチェックポイント1】
○ほこりがたまっていたら掃除する。
石油ストーブにほこりなどが堆積すると、燃焼状態が悪くなったり、
炎が逆流して石油ストーブの下からあふれる吹き返し現象が生じてほこりに引火したりするおそれがあります。
また石油ファンヒーターも空気取込口にほこりが閉塞することで異常燃焼が生じる事故が発生しています。
使用を始める前に掃除を行い、シーズン中も定期的に掃除をしてください。
特に石油ストーブの置台や、燃焼部位の近くなどにほこりがたまらないようにしてください。
【事例2】ずれた燃焼筒による異常燃焼
石油ストーブを使用中、石油ストーブを焼損し、周辺を汚損する火災が発生しました。
⇒燃焼筒がずれて置かれていたことにより異常燃焼が発生し、
炎が高く上がったことで事故に至ったと考えられます。
【石油ストーブ等のチェックポイント2】
○対震自動消火装置の状態を確認する。
対震自動消火装置が正しく動作することを確認してください。
石油ストーブでは、芯の動きが悪くなると、対震自動消火装置が作動しても芯が下がりきらず、
消火不良となるおそれがあります。
確認方法は、機器本体を前後に揺らしたときに、
石油ストーブの場合、芯を上げた状態から芯が下がりきること、
石油ファンヒーターでは使用状態から停止することを確認します。
確認方法の詳細は取扱説明書を確認してください。
○燃焼筒の取り付け状態を確認する。(石油ストーブの場合)
燃焼筒をセットした時や、点火操作後には、
燃焼筒のつまみを2~3回ほど左右に回転させて燃焼筒が正しくセットされているか確認してください。
燃焼筒が正しくセットされていないと異常燃焼によって炎があふれて火災が発生するおそれや、
一酸化炭素が多く排出されてしまうおそれがあります。
【事例3】ガソリンの誤給油
石油ストーブを使用中、建物2棟を全焼する火災が発生しました。
⇒カートリッジタンク及びストーブ内部からガソリン成分が検出されたことから、
カートリッジタンクにガソリンが混入したため事故に至ったと考えられます。
ガソリンが混入した経緯は不明でしたが、
灯油の入った容器はガソリン携行缶と同じ建物で保管され、
事故発生現場からは給油口ふたが外れている膨張したガソリン携行缶が発見されました。
【石油ストーブ等のチェックポイント3】
○燃料は新しい灯油を入れる。ガソリンは別の場所で保管するなど、誤給油を防ぐための対策を徹底する。
石油ストーブ等には新しい灯油を給油してください。
灯油は劣化するため、昨シーズンの燃料を持ち越して使用することは
異常燃焼や一酸化炭素の排出を促進させるおそれがあります。
もし昨シーズンの灯油が残っていた場合は、タンクや機器本体から灯油を抜いてください。
灯油の処分については、灯油を購入した販売店に相談してください。
また、誤ってガソリンや混合燃料を給油すると、
たとえ少量の混入であっても火災に至るおそれがあり、大変危険です。
灯油とガソリンを類似した容器で保管していたために誤ってガソリンが混入していた灯油の給油や、
同じ場所で保管していたガソリンを取り違えて給油したこと等による事故が発生しています。
灯油は灯油用ポリタンクなどの専用容器※2に、
ガソリンは消防法に適合した金属製のガソリン携行缶に入れて保管し、別の場所で保管する、
ラベル表示で区別するなど、誤給油を防ぐための対策を徹底してください。
(※2)日本ポリエチレンブロー製品工業会(JBA)推奨ラベル、
危険物保安技術協会(KHK)の試験確認済証、JISマーク(JIS Z 1710 灯油用ポリエチレンかん)などが表示されているもの
【事例4】給油口ふたの閉め忘れ及び締め付け不良などによりこぼれた灯油に引火
石油ストーブを使用中、建物1棟を全焼、2棟を類焼する火災が発生しました。
⇒給油口ふたの閉め方が不十分であったため、
給油後のカートリッジタンクを石油ストーブ本体へ戻す際に給油口ふたが外れて灯油がこぼれ、
こぼれた灯油がストーブ天板から燃焼筒にかかって発火し周囲へ拡大したものと考えられます。
【石油ストーブ等のチェックポイント4】
○給油後は、給油口ふたをしっかりと閉め、灯油がこぼれないことを確認してから本体にセットする。
カートリッジタンクの給油口ふたの閉め方が不十分だったなどで、
灯油がこぼれて引火した事例があります。
給油後は、給油口ふたがしっかり閉まっていることを必ず確認してから本体にセットしてください。
また、給油する際は、必ず先に消火してください。
灯油が機器本体にこぼれた際は、機器内部に浸入しているおそれがありますので、
使用を中止し、販売事業者や製造事業者に相談してください。
○安全機能で給油口ふたが閉まっていることを確認する。
PSCマークの付いた製品は、
閉止音や目視又は感触などで給油口ふたが閉まっていることが確認できる機能を有しています。
石油ストーブをはじめとする石油燃焼機器は、2009年に消費生活用製品安全法の「特定製品」に指定され、
2011年からはPSCマークの無い製品は販売することができなくなりました。
マークは製品ラベルなどに表示されています
【事例5】可燃物の近接
石油ファンヒーターを使用中、建物を全焼する火災が発生し、1名が軽傷を負いました。
⇒石油ファンヒーターの吹き出し口とこたつが近接した位置に設置されていたため、
こたつ布団が過熱されて出火したものと考えられます。
なお、被害者は視力が弱く、石油ファンヒーターとこたつ布団の間隔がよく見えていませんでした。
【石油ストーブ等のチェックポイント5】
○周囲の物や天井、壁などと十分な距離を確保する。
石油ストーブ等を使用するときは、壁や周囲の家具、衣類などから指定された距離をとりましょう。
カーテンや布団など燃えやすく動くものにも注意が必要です。
石油ストーブ等に可燃物が近接していたり接触したりしていると、
放射熱※3による過熱や高温部への接触によって、火災になるおそれがあります。
(※3)放射熱とは、高温の物体が発する赤外放射などによって離れたところに伝わる熱。
【高齢者による石油ストーブ等の事故を防ぐために】
○高齢の方も今一度、正しい使い方の確認を、御家族や周囲の方は見守りをお願いします。
高齢者の事故が特に多く発生しています。
カートリッジタンクの給油口ふたがしっかり閉まっていなかったものやガソリンの誤給油などが多い背景には、
例えば、加齢に伴う握力の低下で給油口ふたを閉める力が不十分になるなど身体機能の低下、
ガソリンの臭いが分かりづらいなど嗅覚や視力、聴覚といった感覚機能の低下、
判断力の低下などが関係していると思われます。
今まで大丈夫だったからと油断せず、今一度、正しい使い方を確認してください。
また、使用者による注意だけでは限界がある場合もあります。
御家族や周囲の方も、誤った使い方をされていないかチェックポイントで確認して伝える等、
注意を払っていただきますようお願いします。
【注目!新作動画】
○石油ストーブ「15. 火災を防ぐ5つのチェックポイント」
https://www.youtube.com/watch?v=krrcZYVYBZQ
■NITEでは2023年10月26日に注意喚起として
『シーズン初めの石油ストーブ安全大作戦~5つのポイントで火災事故を防ごう!~』をプレスリリースしました。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2023fy/prs231026.html
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寒くなってきました。石油ストープ等の季節です!
取扱説明書をよく確認し、正しく使っているとなんでもないのですが、
今回の事例のような使い方していませんか?
火が出てからでは遅いのです。
しっかり確認して正しく使いましょう👍
特に高齢者の事故が多いとのこと。
ご家族の方は心配ですよね。
石油から電気ストープに変えても
今度は火が見えないために、
物が触れたり、体が触っていたりでやけどや火災になる場合もあります。
ご家族だけでなく周りの方の力も得て
安全に過ごしたいものです!
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