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浸水被害の心配はないと言われ購入した中古住宅が床下浸水したら?

2020-08-19 12:14:54 | 日記
独立行政法人国民生活センター発行 国民生活2020。7より

暮らしの法律Q&A    萩谷雅和弁護士

相談
  5年前に中古住宅を購入したところ、豪雨で床下浸水しました。
  購入するときには、仲介の不動産やから近くに川はないし、
  今まで浸水の被害はなかったので浸水の心配はないと言われたのですが、
  損害賠償はできますか?


回答
 このような場合、損害賠償請求をする相手は売主と仲介業者が考えられます。

〇売主の場合
 水害による浸水は買主が土地建物に通常の注意を払っても発見できない欠陥
 つまり「隠れた瑕疵」があったとして民法上の瑕疵担保責任を追及して
 損害賠償を請求することが考えられます。
 2020年4月施行の改正民法では「契約不適合責任」といい、内容は少し違いますが、
 施行前に締結された契約にも改正前民法が適用されるため、
 本件は改正前民法が適用されます。
 
 「隠れた瑕疵」というのは、「通常有すべき品質を有しないこと」とされています。
 水害による浸水の可能性があることは、「通常」とは言えませんので、
 「隠れた瑕疵」に当たる可能性があります。
 洪水による浸水は一般人では予測困難なので、専門家であれば予測可能な場合に
 「隠れた瑕疵」があるというべきでしょう。
 
 この事例では「今まで浸水の被害はなかった」ということが、周囲の状況や過去の浸水歴から
 専門家であっても予測できないことだったかどうかが問題
になります。

 瑕疵担保責任を追及するためいは浸水被害から1年以内に損害賠償請求の意思を売主に対して
 明確に告げる必要があります


〇仲介業者の場合
 仲介業者は売主ではないので、瑕疵担保責任(契約不適合責任)を負いません。
 宅地建物取引行商に基づく重要事項説明義務にも土地建物の浸水は含まれていません。

 しかし、売主や仲介業者が過去の浸水を知っていたか、または所要の調査をすれば知ることができた場合には、
 信義誠実の原則から買主に説明する義務があり、怠った場合は損害芭蕉責任を負うもと考えられ
 売主と仲介業者の責任を認めた判決も出されています。


〇相談者は浸水の心配はないと説明されたということなので
 ①その場所は過去に浸水があったか
 ②過去の浸水を売主か仲介業者が知っていたか
 ③必要な調査をすれば過去の浸水歴を知ることができたか

 によって損害賠償責任が認められるかが左右されることになります。

 ③は市役所等に問い合わせれば過去に浸水被害があったかわかる場合が多いので、
 その点を確認していたかが問題の焦点となるでしょう。

 2019年の台風や豪雨により多数の水害が発生したことから、
 今後重要事項説明義務に水害リスクが加えられる見通しです。
 また、不動産取引時にハザードマップを活用した情報提供を行うよう
 国交省が業界団体等に依頼をしている
ので、
 浸水に関して不動産取引業者に求められる注意義務の程度は高くなっています


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豪雨による浸水被害は痛ましい限りです。
ましてや真新しい家が被害にあっているのをみると心が痛みます。

中古住宅であったとして念願のマイホームを購入し
「浸水の心配はないから」と安心していたの浸水被害にあったのなら
相談者の気持ちもわかります。

情報を紹介しながらもなかなか理解するには難しいなと思いました。
やはり専門家に相談するというのは大切なんだと改めてわかります。
無料の行政相談を利用するのもいいですね。

これから台風の季節がやってきます。
自分の家が安全かどうか、ハザードマップで確認しておきましょう!

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