あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

瀬戸内シーカヤック日記: 夏の一人旅_二泊三日で釜山再訪

2013年08月17日 | 旅するシーカヤック
俺が初めて釜山に行ったのは、2004年の夏である。

2002年に人生初めての海外旅行としてミクロネシアでのシーカヤックツアーに参加したのだが、その時にせっかくビザを取ったので、近いうちに身近な外国として韓国に行ってみようと思っていたのだ。

*** ミクロネシアの想い出 ***













***

そして当時はまだ広島と釜山を結ぶ定期船があり、夏休みのある日、家族には『ちょっと釜山に行ってくるから』と言い残し、夕方に広島の宇品港を出発する船に乗り、翌日の朝に釜山入りしたのは、まるで昨日の事のようだ。

その時は、バックパックを背負っての旅であったのだが、釜山港から上陸してホテルに向かう途中、韓国の田舎から出てきたと思われるおばあさんに、道を訪ねられてことをよく覚えている。
学生の頃から国内の様々な場所を訪ねても、すぐにそこの空気に馴染む方ではあり、卒業旅行で北海道バイク一人旅の時には札幌市内で他の観光客から道を訪ねられ、すでに数日間札幌市内をうろうろしていたので道を覚えていたので俺も観光客なんですよと笑いながら教えたこともあるし、数年前には島根の猪目海岸で夏にキャンプをしている時には、巡回に来た警察官に地元の監視員と間違われた事もある。

そんな俺ではあるが、さすがに初めて来て10分も経たない釜山の道を教えられるはずもなく、ましては韓国語は全く聞き取れない/喋れないので、苦笑いしながら日本人だということだけをハングルで伝えたことを覚えている。

そして、妻と一緒にソウルに旅行に行ったのは2011年。

***

この盆休みの数週間前。 妻に盆休みの予定を聞いてみると、京都に行っている次男のところに遊びに行こうと思っているとの回答が。 どうやら、大文字焼を見てみたいらしい。

『おお、それはええんじゃないか。 せっかくやから、あんたの好きな京都でゆっくりしてきんさい。 それなら、俺はどうしようかな。。。』

しばし考え、いつものネット検索。 『お、8月15日から17日までの二泊三日で、博多からビートルで行くホテル付きのセットが空いとるわい。 俺もちょっと釜山に散歩に行かせてもらおうかの』
前回ソウルに行った時に両替していたウオンが結構残っており、今回はそれで充分遊べる予定。

という訳で、俺たち夫婦の盆休みの予定は決定!
ほぼ10年振りとなる釜山再訪。 どんなに変わっているのか楽しみだ。

***

2013年8月14日(水) 俺が乗る釜山行きのビートルは15日出発なのだが、朝一番の便であるため、前日に博多に入る必要がある。

広島駅から新幹線で博多まで。

旅のお供は、リモワのキャリーバッグ。 サイズもミニマムパッキング派の俺にはピッタリの、機内持ち込みも可能で出張から旅行まで活用している信頼できる旅の相棒。

夕方、博多に到着すると、せっかくなので博多の夜をささやかながら楽しむ事に。

水炊きで有名なお店に行こうと思っていたのだが、調べてみるとお盆休み。 残念!
という訳で、今回はもつ鍋の店である。

『もつ幸』さん。

一人では予約できないとの事なので、17時の開店に合わせてお店に入り、カウンターの席を確保することができた。

このお店も明日から盆休みということで、今日は予約で一杯なのだそうだ。 旅のスタートからラッキーである。

ここのもつ鍋の特徴は、酢醤油でいただくこと。 酢醤油に柚子胡椒を少し入れ、タップリの刻みトウガラシを絡めて食べるとこれがなんとも美味い!
ビールをグビリ、もつ鍋をパクリ。 ああ、なんという幸せ!

具を食べ終わった後は、残りの出汁でちゃんぽん麺を茹でて食べるのがここの定番だそうである。

出来上がった麺をこれまた酢醤油で食すと、絶品!!!

『ごちそうさまでした。 いやあ、ほんまに美味しかったです』

***

2013年8月15日(木) 朝、ホテルから博多港国際ターミナルへ。

今回は往復ともチョッピリ贅沢してグリーン席にしたので、手続きも別枠で楽々である。

さすがに盆休み中だけあり、ターミナルは旅行客で一杯だ。

韓国に入国するための書類を書いていると、後ろから声を掛けられた。 『え、やっぱりNさん??? 。。。 !!!』
『お、おー。 Mさんじゃない。 どうしたん、こんな所で』 このMさんは、シーカヤック仲間の一人である。
『私も釜山へ行くんですよ』 『えー、それにしても奇遇やねえ』
『手続きするのに並んでたら、グリーン席の窓口でどっかで見た様な人が居るなあって見てたんですよ』との事。 いやあ、ほんとに驚きである。

さっそく妻にメールすると、『じぇじぇじぇ』と驚いていた。

手続きも済み、ビートルへ。

グリーン席はこんな感じ。

搭乗手続きの優遇に加え、船内ではシートがレカロ製になる他、ビールやワイン、ソフトドリンクなどのサービスがあるようだ。


今日の海はべた凪。

航路は対馬のすぐ近くを通るようだ。

約3時間の航海。 どんどん釜山が近付いてくる。


とうとう、釜山港に入ってきた。


***

『暑い!』 これが、釜山に上陸した時の感想である。
広島より北にあるので少しは涼しいのかと思っていたのだが、なんのなんのこの蒸し暑さ。 ハードな3日間になりそうだ。

町を歩いてホテルまで。

Mさんは予定が決めてあるとの事で観光に出掛けられた。 『楽しんで来て下さい!』
俺は、以前の貧乏旅では登らなかった釜山タワーを目指す。

タワーの上からの眺めは絶景。

いやあ、こりゃいいや。 という訳で、売店でビールを買ってプシュリ!


タワーを降りると、少し遅めのお昼ご飯を食べるため、国際市場へ。

『おお、これこれ』 この雰囲気が釜山だよなあ。

『クンチプ』

今回の楽しみの一つは、カンジャンケジャン。
これまた、前回の貧乏旅行では焼肉さえも食べる事がなかったのだが、そこは約10年の歳月が少しは余裕を与えてくれる。

カンジャンケジャン、ワタリガニの醤油漬け。


たっぷりのおかず。

メインのカンジャンケジャン!

手が醤油まみれになりながら、蟹にしゃぶり付く。 『おお、これは美味い!』

蟹を食べ、ビールを飲む。 おかずを食べ、またまたビール。

最後はご飯に、カンジャンケジャンの漬け汁を掛け、玉子の黄身を落し、刻みネギを混ぜて食べる。 これぞまさに至福の一時。

『ごちそうさまでした!』

***

その後は、国際市場、チャガルチ市場を散策。


キムチ。

トウガラシ。

おそらく太刀魚か穴子釣りの仕掛け。

漁師町の風情は、国が違ってもどこか共通したものがある。


ざりがに。 うんうん。 長崎ちゃんほん。 まあわかるな。 シサもよき? さけ回? 一体なんが出てくるんやろ。


ソウルでも見つけた、ドアのエッジ保護用のクッション。 カッチョ悪ー!
クルマのデザイナーが見たら、『??? せっかくのデザインが台無しや』と卒倒しそうなグッズである。

でも今回はちょっとお洒落なクッションも発見。 さすがにあれじゃねえ。。。

***

晩ご飯は、これも何かの縁ということで、観光を終えたMさんと合流してご一緒させていただいた。

昼ご飯を食べた食堂に案内。

Mさんは、韓国は何度も訪問しているハードリピーター。 その他、国内各地のシーカヤックツアーに参加されているほか、韓国以外の外国にもいろいろと行かれているとの事。
『いいですねえ。 ほんと、自由すぎてうらやましい』 『そういうNさんも、既婚者にしては自由人だと思いますよ』
『えー、そうですかねえ』と苦笑い。 『まあ、俺はいろいろ動いていないと窒息するし、それを妻が許してくれてますからね。 ありがたいことです』

『ごちそうさまでした』



『お疲れさまでした。 じゃあ、明日も楽しんで下さい。 オヤスミナサイ』

***

ホテルに戻ってテレビを付けると、韓国語は分からないが、整形でのビフォー/アフターをやっていた。 興味津々!

『おー、なんじゃこりゃあ』 『森三中が生野陽子に変身しとる~』


『いやあ、これは人生変わるねえ』

韓国で、日本のビールを飲みながら、ビフォー/アフターを楽しむ。

その後は別の番組で、広島の原爆に関するドキュメンタリーも放送していた。 そうだった、今日は終戦記念日なんだ。


今日の歩数は、27,174歩。 距離にして17.3km。

よく歩いたなあ。

***

2013年8月16日(金) 今日は、釜山の北側エリアを散策する予定。


ホテルの無料朝食。 朝からたっぷりのキムチである。


まずは地下鉄で一日フリー切符を購入。

一日まるまる乗り放題で、なんと4000ウオン。 安いなあ!

最初の目的地である梵魚寺へ向かう。 地下鉄を降りて5分ほど歩き、バス乗り場へ。

バスの運転手さんに、朝準備してきたメモを見せながら読むと、このバスで良いと身振り手振りで教えてくれる。

『オルマエヨ?』と料金を訪ねるが、聞いても分からないので電卓を出して、数字を叩いてくれとこちらも身振り手振りでお願いする。

バス料金は、1200ウオンだそうだ。 いやあ、韓国語は話せない/読めないが、こんな感じで一つ一つ解決しながら旅を重ねて行く事が、本当にとても楽しいのである。 これが俺の旅のスタイル。

クネクネの山道を走り、梵魚寺のバス停に付いたと運転手さんが教えてくれる。

運転手さんはわざわざバスを降り、あっちへ歩いて行けばいいと、やはり身振り手振りで教えてくれるので、笑顔で『カムサハムニダ』とできる限りのお礼の気持ちを伝える。
やしきたかじんを若くした様な、サングラスを掛け、いかついガタイの絶対に喧嘩相手にはしたくない強面のおっちゃんだが、熱くて本当に良い人であった。

















梵魚寺。 山の上にあるため少し涼しく、風光明媚な良いお寺である。
売店などはないため商売っ気は全く感じられず、多くの人々が一生懸命お参りされているのが印象的。

***

再びバスで山を降り、地下鉄で東莱ハルメパジョンを食べに移動。
歩いて探すのだが、なかなか見つからず、道ばたで本を取り出し、”東莱ハルメパジョンへ行きたい”、とカタカナで読みも併記したメモをつくる。

近くに立っていたおじさんに、いつも通りメモを見せながら訪ねると、やおら俺の腕を掴み、こっちへ来いと引っ張られた。
素直に付いて行くと、ほんの15mほどのところに、お店が。

『カムサハムニダ!』


まずは前菜でビール。

ハルメパジョン。 これも、前回喰い損ねた釜山名物の一つである。

今回は、途中から焼酎も。 『あー、美味かったあ』

***

再び地下鉄で、温泉場に移動し、ロープウェイ乗り場を探す。

途中の景色はなかなかのものだ。

山道をちょっとだけ歩き、

木陰となる大きな石の上にゴロリ。 しばし横になり、風を感じながら快適なうたた寝。

『あー、気持ち良かったあ』

ロープウェイで山を下りると、虚心庁で温泉に入り、歩き疲れた体をのんびりまったりと癒す。

***

晩ご飯は、これまた今回楽しみにしてきたホルモン。

タップリのホルモンと、たっぷりの野菜。

店のおばちゃんが焼いて切ってくれるのを眺めながら、ビールをゴクリ、ホルモンをパクリ。 『いやあ、最高や!』

***

2013年8月17日(土) 二泊三日の釜山旅行も今日が最終日。 ビートルは最終便を予約してあるので、2時半頃に港に行けば大丈夫である。
と言う訳で、今日も観光の予定。

本当は太宋台に行きたかったのだが、循環する観光バスが始発の9:30分発でも数人前で満席となり、残念ながら乗ることができなかった。
急遽、これも一度乗ってみたかった海雲台の観光船に乗る事に。

まずは、リモワのキャリーバッグをコインロッカーに預ける。

釜山駅でも探したのだが、指紋を登録する様なシステムで何度かトライしたのだが上手くいかず、結局地下鉄の駅で見つけた昔ながらの現金を入れて鍵をかけるロッカーを使用。

これまでの二日間でたっぷりとキムチを食べたので、さすがに朝からキムチの顔を拝むのは勘弁してほしいということで、今日の朝食はロッテリアへ。

そういえば、前に釜山に来たときも、最後はキムチの匂いすら嗅ぎたくなくなっていたことを思い出した。

地下鉄で海雲台へ。

観光船は、1時間コース。






ここからが一番の見所である。



釜山湾の入口にあるこの小さな島々を巡ると、帰路に。


***

観光船を降り、地下鉄で釜山駅までもどると良い時間。

その地下鉄の中、高齢の女性が乗って来られたのだが、沢山座っている若者達が誰一人として席を替わろうとしない。
2004年に最初に釜山に来て驚いた事の一つが、地下鉄の中で若者がお年寄りにどんどん席を譲っていた事。 『おー、これはスゴイ。 噂に聞く儒教精神か!』と感心したものである。
それが今では、もちろん時折は席を譲る若者もいるのだが、スマホに夢中の人が多いからなのか、それとも社会が変わりつつあるのか、そんな光景は確実に減っているようだ。
今回は私が席を立ち、目の前を通るその高齢の女性に身振りでどうぞと席を譲った。 何駅か過ぎたところでその方は私を見て、おそらく替わってくれてありがたいというような事らしき言葉を何か話し掛けられたのだが、そこは韓国語がわからない悲しさ。 笑顔で『ネー』と返すのがやっとである。

そんなこんなで、綺麗になりデパートもでき、スポーツタイプの自転車でサイクリングを楽しむ人も見かけるようになり、そして国際市場周辺では少しだけアジアの混沌/熱気が薄れて都市化した街の様子や地下鉄の中での人々の振る舞いまで、約10年間の変化を実感することができた3日間の釜山の旅を終えた。

中央駅まで移動し、そこから徒歩でターミナルへ。

今回の旅では、本当によく歩いた。
初日は  21,174歩 17.3km
二日目は 28,160歩 21.3km
三日目は 20,904歩 15.1km

そして今回の旅で見つけたプチ便利グッズ。

極薄のミニタオルが、小さなパックに収納でき、カラビナでぶら下げる事ができるのだ。 釜山の夏は暑かったので、10%割引で4,000ウオン程度のこれが大活躍。

3:45に釜山を出発し、約3時間で博多港へ。


***

予約してある新幹線の時刻までちょっと時間があったので、博多で晩ご飯。
初日に泊まった安宿の近くで見つけ、気になっていたハンバーグ屋さん。 『博多ハンバーグ こが』

ランチタイムは大賑わいだそうだが、夜の時間は静かなもの。

ハンバーグとサイコロステーキのセット、そしてもちろんビールを注文。

『いただきます』

いやあ、このハンバーグ。 本当に旨いのだ。 これなら博多に来ることがあれば、先日のもつ鍋屋さんと、ここのハンバーグ屋さんには、足を運んでもいいなあ。
『ごちうさまでした。 美味しかったです』というと、ご主人がニコリ。

俺は、初めて訪問した店の場合、普通~不味い店では支払いの時に『ごちそうさまでした』と言い、美味しかった店では『ごちそうさまでした。 本当に美味しかったです』と伝えるようにしている。

いやあ、今回の旅は、帰国してからの〆まで全て素晴らしかった。 いやあ、ええ連休になったなあ。

完全リフレッシュ!

釜山、また行くでー。 ほんま、楽しみやなあ。

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