あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 京都、宝塚、大阪_関西満喫ドライブ旅行(2)

2010年06月28日 | 旅するシーカヤック
2010年6月27日(日) ドライブ旅行二日目。 ホテルで朝食を摂り、宝塚へと向かう。
8時半、宝塚大劇場に到着。 駐車場にクルマを停め、開演までたっぷり時間があるので付近を散策する事にした。
 
今回の旅行の目的の一つが、生まれて初めてとなる『宝塚大劇場での観劇』
昨年テレビを買い替えてからBS放送が見られるようになり、偶然、宝塚歌劇の番組を見てから気になっていたのだ。 坊主頭で真っ黒に日焼けした私には、宝塚歌劇の華やかでスマートな雰囲気はまったく似合わないのではあるが、溢れる好奇心は抑えられない。 まあ、例えハズレであったとしても、どんな経験でも自分の血となり肉となるのだ。
***
開演は11時なので、まだ2時間半ほどある。 どうしようかと歩いていると、大勢の人が劇場近くに並んでいた。 『何なんだこれは?』
 
興味津々、眺めていると、『入り待ち』のファンである事が判明。 出演者達は、一人で歩いて劇場に入って行くのだが、ファンの人たちはそれを待っているのである。
おそろいの服を着たグループ。 おそろいのスカーフを巻いたグループ。 リーダーがしっかり統率している大グループなどなど。
応援している出演者が来ると挨拶し、時には手紙を渡し、入口まで後ろを付いて歩いて、そこからは手を振って見送っている。 『うーん、恐るべし宝塚ファン』

これは朝から貴重な光景を見た。 早くから来て良かったなあ。 これも、現代版『あるくみるきく』
それにしても、出演者達には独特の雰囲気、空気感、オーラがある。 ひっそりと一人で歩道を歩いていても、その歩く姿と姿勢が、一般人とは異なっているので、すぐにそれと分かるのだ。
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ファンの方達の行動をしばし観察した後は、近くの喫茶店に入り、しばし休憩。 いやあ、それにしてもいろいろな世界があるものだ。 面白いなあ!

開場が10時半なので、10時過ぎには店を出て大劇場へ。 宝塚観劇は、二人とも初めて。
今日の歌劇は『ロジェ』 ショーと休憩を合わせて、3時間の予定である。
 
***
『ロジェ』 最高であった!
今回は2階のS席、前から2列目だったのだが、舞台全体が見渡せ、初観劇にはちょうど良かった。 当然なのだが、歌も演技もとても上手く、生演奏の迫力と、集団でのダンス、一糸乱れぬ大道具のレイアウト変更などなど、プロ中のプロ達の仕事ぶりに酔いしれ、華やかでスマートな宝塚ワールドに引きずり込まれてしまった。

その素晴らしさには、妻も感激していたが、いやあ、これは本当に凄い! 来て良かった。 テレビで見るのとは全く迫力が違う。
またぜひ、ここ大劇場に来て観たいものだなあ。
***
宝塚を出ると、再び高速に乗り、大阪方面へ戻る。 今回の旅の最後の目的地は、『国立民族博物館』
そう、ここにはあの、サタワルから遠路沖縄まで漕いできた『チェチェメニ号』が展示してあるのだ! 一度、このチェチェメニ号の実物を、自分の目で見てみたかったのである。
 
受付で確認すると、『ええ、館内は撮影していただいていいですよ。 ただ、最後の企画展の所だけは、撮影禁止になっています』との事。 うーん、ありがたい。

オセアニアのコーナーに入ると、チェチェメニ号が見えてきた。 『あ、あ、あ。 あったあ。 チェ、チェ、チェチェメニ号や! 本物や』
 
このコーナーでは最大のカヌーであるが、近寄ってみるとその乗り込むスペースはとても狭い。 うーん、こんなカヌーで数千キロの旅をしたんだ! 感涙。

櫂も様々な地域で収集されている。 興味深い。

いつか、この国立民族博物館に、櫂伝馬も展示される日が来るのだろうか。 いや、やはり櫂伝馬があるべき場所は博物館などではない。 過去の遺物にならないように、いつまでも現役の競漕用の舟、そして『旅する舟』として、はたまた長い伝統が続く瀬戸内の海洋文化の一つとして、大崎上島に現存し、いつまでも漕ぎ続けるべきなのだ。
***
それにしてもこの国立民族博物館には、興味深い収集品が多く展示されている。
 
今日は時間が限られているので、オセアニアをじっくり見て、あとは駆け足であったが、1日居ても飽きることは無いだろう。
 
↑ 注射針のカバーで作られた育児用お守り。 ビーズのラブレター。 いやあ、面白いなあ!

ここにもぜひ、再び訪れてじっくりと楽しみたいものである。
***

午後5時の閉館前、ミュージアムショップへ。 研究報告のリストをめくり、4冊を出していただいた。
ざっと中身を確認し、4冊とも購入。 これが今回唯一となる、自分へのお土産である。

この4冊には、それぞれ下記の研究報告が載せられている。

『カヌーをめぐる社会関係_ミクロネシア、サタワル島の社会人類学的調査報告』
『サタワル島における伝統的航海術の研究_洋上における位置確認方法とエタックについて』
『航海術と海の生物_ミクロネシアの航海術におけるPwukofの知識』
『カヌーと航海にまつわる民話_ミクロネシアSatawal島の伝統的航海術の外延』

いやあ、楽しみだ。 この梅雨時期、漕ぎに出られない雨の週末には、じっくりと読む事にしよう。
***
神聖な場所である事を体で感じた下鴨神社、川床料理の雰囲気を感じた貴船と、本物の『おばんざい』との出会いに恵まれた京都。 感動の宝塚歌劇。 そして念願であった『国立民族博物館』 いやあ、またまた今回も良い旅であった。

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瀬戸内シーカヤック日記: 京都、宝塚、大阪_関西満喫ドライブ旅行(1)

2010年06月28日 | 旅するロードスター/アテンザ
2010年6月26日(土) この週末は、20歳と18歳の二人の息子達に留守を任せ、妻と二人で旅行へ。 今年に入ってから、萩&津和野、豊島に続き、3度目の一泊二日の旅となる。
***
土曜日の朝、3時前に家を出て、大雨の山陽自動車道を東へ走る。 兵庫辺りからは雨も小振りになり、8時過ぎに京都に到着。
ホテル近くの駐車場に車を泊め、仮チェックインをして、宿泊プランに入っているバスの1日乗車券を受け取る。 さあ、京都観光の始まりだ。

さっそくバスに乗り、叡山鉄道の出町柳駅へ。 今日最初の目的地は貴船。 叡山鉄道に乗るのだが、まだ予定時刻までたっぷり余裕がある。
『ちょっと近くを散歩してみようか。 どこか見るとこあるかなあ?』 駅を出て案内板を見ると、下鴨神社という世界遺産があるらしい。 『せっかくだから、行ってみよう』
***
雨の京都。 鴨川に架かる橋を渡り、下鴨神社の参道へ。 この参道がなんとも心地良い空間。
大きな木々に囲まれ、ひんやりと澄んだ空気の中、きれいな砂地の参道を、シャリリ、シャリリと音を立てて歩いて行く。 『うーん、この神社はちょっと違うぞ』
 
下鴨神社に参拝する。 雨のせいか、あるいはまだ朝早いからか、人影もまばらで静かな雰囲気。
 
参拝を済ませ、参道を戻る。 下鴨神社の杜を抜け、アスファルトの道路に出ると、いきなりモワーッとした湿度と温度の高い空気に包まれた。
あの参道とは、こんなに空気が違うんだ! いやあ、この神社はまさにパワースポット。 京都の旅、なかなか良い出だしじゃないか!
***
駅に戻り、叡山鉄道に乗り込む。
 
途中からは左右を木々に囲まれた中を進み、右手には清流も流れている。 うーん、これは錦川鉄道みたいだなあ。

貴船口駅で降り、迎えにきていたマイクロバスに乗り込んで、今日のお昼ご飯を食べるお店へ。 店に到着し、マイクロバスから降りるとき、出迎えの方が一言。
『申し訳ありません。 今日は雨なので、店内でお食事になります』 『えー、残念』と妻。

今回の旅にはいくつか目的があるのだが、その一つは貴船の『川床料理』 妻のリクエストであり、彼女はとても楽しみにしていたのだ。 今朝から降り続いている雨で、『まあ、今日はだめだろうなあ』と予想はしていたのだが、『もしかしたら屋根くらいあるかも』と淡い期待も寄せていた。
だが川床を見ると、屋根はなく日除けのスダレのみ。 これでは仕方ない。
***
食事までまだ時間があるので、近くの貴船神社へお参りに。

妻が、水占をやってみた。 水に浸けると字が浮き出してくるのだ。 旅行の項目を見ると、ついつい吹き出してしまった。
『雨ふれど吉』 顔を見合わせて苦笑い。 『今日の旅にピッタリじゃあないか。 川床はダメだったけど、きっと良いことがあるよ』
 
川床の並ぶ雰囲気の良い通りを歩いて登り、お店に戻る。
 
***
部屋に通され、席に着く。 うん、これはなかなか良い感じじゃないか。
 
まずはビールで乾杯。 雨の川床を眺めながら、ゆったりとした快適な空間で、予約していたコースの料理をゆっくりと楽しむ。
つき出し、刺身、焼き鮎、素麺、天婦羅、デザート。 満足、満足。 『ごちそうさまでした』
 
食事を終えると川床に降りてみた。 夏の夜、提灯の明かりに照らされ、川のせせらぎを聞きながら、この川床でビールをグビリと飲る情景を想像する。
うーん、いつかまた来たいものだ。

初めて訪れた京都の奥座敷、貴船の川床を、雰囲気だけだが味わうことができた。
***
叡山鉄道で京都市内に戻ると、空気が蒸し暑い。 こんなにも気温が違うんだ。
二年坂、産寧坂、八坂神社を回り、妻のリクエストであった『一澤帆布』へ。
 
妻はお気に入りのトートバッグを購入。
***
バスでホテルに戻り、シャワーを浴びて休憩すると、夕食の時間。
旅行に出る前に、ホテル近くの『おばんざい』のお店をネットで調べていたのだが、今朝、駐車場を探している時に偶然見つけたお店が気になり、急遽、ホテル近くにあるそのお店に行く事にした。

『菜旬処』 狭い路地に面した小さなお店である。 その雰囲気と立地は、どうみても観光客向けではないが、私の嗅覚が、そして直感が、この店に決めろと告げている。

ガラリと開けて、『こんにちは。 二人ですが、いいですか?』 すると奥からおばちゃんが出てきて、『ええ、どこでもどうぞ』

店内を見回して驚いた。 外見は食事処なのだが、中は普通の民家のままである。 『うーん、これはこれは。 なかなか、なかなか』

奥の座敷でも良いとの事だったので、座布団の上に陣取り、出していただいた扇風機の風を感じながら、手書きのメニューを眺める。

『ビール、もらえますか』 まずは乾杯。 『あー、今日は暑かったなあ』 グビリ、グビグビ 『うーん、美味い』

『あのう、外にセットって書いてあったんですけど、ありますか』 『ええ、ありますよ。 二品選んでもらって、ご飯とお味噌汁が付きます』
『じゃあ、それ二つと、煮込みハンバーグもらえますか』
 
運ばれてきた『おばんざい』を食べながらビールを飲み、ご飯を食べる。 これは良い雰囲気じゃあないか。

京都旅行に行く前に晩ご飯を相談していたとき、妻が『おばんざいはどう?』って言ったのだが、実は『おばんざい』ってどんな料理なのか知らなかった。

菜旬処で食事をしながら、iphone3GSで調べてみると、
『おばんざいとは京都の常の日のお惣菜のこと。 旬の素材、手近な食材を、手間をかけずに使い切る献立の数々。 日持ちがしない料理は、食べ残しの出ない分量だけ作り、あともの足りない分は作り置きの出来る常備菜でまかなう。 無駄なお金も時間も労力もかけんと、ゴミも少ししか出さない、超合理的な伝統の家庭料理 (http://www.kyo-kurashi.com/obanzai/collabo01/obanzai.html)』

気取らない、ごくごく普通の民家の座敷で『おばんざい』をいただきながらこの文章を見た瞬間、俺は『おばんざい』の本質に触れた様な気がした。
そう、京都の常の日のお惣菜なのである。 旬の食材、手近な食材を、手間をかけずに使い切る献立なのである。
このお店で『おばんざい』を食べていると、京都の親戚の家を訪ねて、そこで晩ご飯をいただいている気分になる。 和むなあ。

いやあ、このお店に来て良かった! ここでおばんざいをいただいたのは、これまた『偶然を装った必然』であったのだ。
***
食事をしていると、他のお客さんも来られたようだ。 『こんにちは』 『あ、いらっしゃい。 いつもありがとう』という声が聞こえてきた。

ビールの大瓶を2本、おばんざいセットを二つ、そして追加の煮込みハンバーグをいただき、大満足で食事を終えた。
『ごちそうさまでした。 いくらですか?』 『はい、2100円です』 妻と顔を見合わせてぶっ飛んだ。 これだけ満足して、ビール2本も飲んで、二人で2100円!
貴船の川床料理のお店なら、ビール2本だけでほぼ2000円である。 まいった、参りました。 これが、観光客向けでない、京都の本当の『おばんざい』

『あそこに書いてありましたが、このお店は2周年なんですか?』 『ええ、主人が定年退職してからどうしてもやりたいって言うもんで始めたんです。 今日は主人は用事で居ないんですが、いつもは私が料理を作って、主人がこの店に出てるんですよ』
『ここは、観光客向けじゃないですよねえ』 『そう。 地元の方がほとんどですね。 さっきの方も、時々来て下さるんです』

『いやあ、今日はほんと、おいしかったです。 おばんざいって、こういう料理なんですね。 良く分かりました』 『そんなに言ってもらえると嬉しいです。 ぜひ主人にも伝えます』

『今日はどちらから?』 『はい、広島からです』 『雨で残念でしたねえ』 『ええ、貴船の川床料理も予約してたんですが、残念ながら雨で室内での食事になりました』

『また京都に来たら、ぜったい食べにきますよ』 『それまで続いていればいいですけどねえ』と、おばちゃんは笑う。
『いやあ、ぜひ続けていて下さい。 楽しみにしています』 『ありがとうございました。 では、気をつけて』

偶然見つけた『おばんざい』の店、『菜旬処』 きれいで整ったお店じゃないと駄目な人には奨められないが、俺にとっては最高の穴場を発見した。 大満足!

『雨ふれど吉』 まさにその通りになったなあ。 さあ、明日はどんな旅の1日が待っているのだろうか。 

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