ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

山口育子著 「賢い患者」 岩波新書(2018年6月)

2019年08月20日 | 書評
ヤマユリ

患者本人の意思を尊重し、患者・医療者の賢明なコミュニケーションを目指す活動 第7回

3章) 患者が医療を受ける時ー医者にかかる10箇条

COMLは「賢い患者になろう」をモットーに自立した高い意識を持った患者を目指してきました。「賢い患者」の定義を次の5つにまとめています。
①病気は自分の持ち物であるという自覚をする。
②医療者から説明を受けて、自分がどのような治療を受けたいかを考える。
③どのような医療を受けたいかを言語化して伝える。
④医療者とコミニュケーションを取りながら協働する。変化に動転しない事。
⑤一人で悩まない事 です。
COMLでは1998年より「新 医者にかかる10箇条」という小冊子(21万部発行)を出して普及に努めてきたと言います。次に「新 医者にかかる10箇条」を掲示します。
① 伝えたいことはメモして準備する: 伝えたいこと、聞きたいことを凡て書き出し、中から絞って3つ4つを箇条書きする。長期化する病気ではノートを作って自身のメモとする。
② 対話の始まりは挨拶から: まず挨拶をして目を合わせる関係を築く。
③ より良い関係づくりはあなたにも責任が: コミニュケーションは双方向です。感情的にならず笑顔で別れるいい関係を。
④ 自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報: 症状の変化を感じたら必ず医師に伝えましょう。
⑤ これからの見通しを聞きましょう: 治療の大まかな見通しを聞いて患者自身が予定すること努力することを考えよう。
⑥ その後の変化も伝える努力を: 悪くなった、良くなったことは医師に伝えましょう。
⑦ 大事なことはメモを取って確認: 専門用語、画像の見方などわからなければ質問しメモを取りましょう。
⑧ 納得できないときは何度も質問を: 理解できていないのに曖昧な返事をすると医師も不安です。「もう一度説明していただけますか」は失礼ではない。
⑨ 医療にも不確実な事や限界がある: 治療の成果や予後を確実に知る事は医師でも難しいことです。完全に病気以前に回復することは無いかもしれません。自分の病気は医療の力でどの程度回復できるかという態度で医師に質問してください。
⑩ 治療方法を決めるのはあなたです: 最善の治療法はただ一つではありません。治療法の長所、短所を聞き、年齢と生活の質を鑑みて医師と相談しながら決めましょう。一人で悩まないことも重要です。他の人の経験を聞くことも判断材料となります。子どもも小学校生なら自分で自覚症状を言えます。COMLは2014年11月子供向け「いのちとからだの10か条」という小冊子を発行しました。

(つづく)