アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記132・「天皇制」に言及した柳美里氏・崔江以子さんの言葉

2021年01月17日 | 日記・エッセイ・コラム

☆「天皇制」に言及した柳美里氏

 『JR上野駅公園口』で全米図書賞を受賞した柳美里(ユウ・ミリ)氏が、この作品のモチーフである「天皇制」について、受賞後初めて(私が知る限り)言及した。

 14日付の中国新聞(おそらく共同配信)で受賞に関するインタビューを紹介した記事が載った。その中にこうある。
 <主人公は今の上皇と同じ年に生まれ…やがて上野公園で暮らすホームレスとなり、皇族の御幸(ママ)の際の居場所から追われる「山狩り」に遭った…「JR山手線の中心部にある皇居というブラックボックスに向かって、社会からはじき飛ばされる」人々を描いたシリーズの一作>

 カッコの中が柳美里氏の言葉だろう。活字になっているのはこれだけだが、ともかく天皇制に批判的に言及した。受賞後の報道でも、NHKの紹介番組(12月10日)でも天皇制については一言も触れなかった(NHKがカットしたのかもしれない)が、やっと触れた。

 柳氏は今後について、「書くべき小説がいっぱいある」と述べている。ぜひ「天皇制」をえぐり続けてほしい。日本の今日の差別社会、侵略戦争・植民地支配の無反省の根底に天皇制があることを照射し続けてほしい。日本でそれができる、する意思がある作家・「識者」は皆無に近いのだから。

☆崔江以子さんの言葉

 川崎市ふれあい館館長の崔江以子(チェ・カンイジャ)さんが12日のラジオ深夜便「明日のことば」に出演した(収録は年末)。
 崔さんは在特会などのヘイトスピーチの標的となり、ネットでも「殺す」などと脅迫されたが、不屈にたたかい続けている。崔さんらのたたかいが、川崎市の画期的なヘイトスピーチ禁止条例につながった。崔さんは最後にこう語った。

 「自分が“差別をしない”だけではだめなんです。それでは差別はなくなりません。現に差別され被害を受けている人がいるのですから。どうするか。“差別をなくする”ことに関心をもってください。そのために行動してください」

 自分は在日朝鮮人はじめ人を差別することはしない、していない、とはおそらく多くの日本人が言うことだろう。しかし厳に差別はある。なくならない。自分に差別の自覚がなくても差別していることはある。差別を黙認することで手を貸していることもあまたある。
 だから「差別をしない」ではだめなんだ。「差別をなくする」でなければいけない。そのために行動しなければ、ほんとうに「自分は差別しない、していない」ことにはならない―。

 崔さんの言葉を、これからの人生の指針にし続けたいと思う。

 


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