アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「核兵器禁止条約」に背を向けて北朝鮮を批判できるのか

2017年07月08日 | 核・被爆者と日米同盟

     

 核兵器を非合法化する「核兵器禁止条約」が7日、国連本部(ニューヨーク)の条約制定交渉会合で採択(賛成122、反対1、棄権1)されました。核兵器禁止を明文化した国際条約文書は初めて。核兵器を非人道的と断じ、「核抑止力」論をきっぱり否定していることが特に注目されます。

 しかし、米、英、仏、露、中の核保有大国は交渉会合にすら参加しませんでした。日本の安倍政権も同じです。米トランプ政権は事前に日本などに、「米国は核兵器禁止条約に関するいかなる行事にも参加しない。友好国や同盟国にもこの会合に参加しないよう求める」とのメールを送付していました(7日付中国新聞=共同配信)。「同盟国」日本はそれに忠実に従ったわけです。

 一方、時を同じくして独ハンブルクでは核保有大国を中心とする「G20」なる会合が開かれ、核大国の思惑による世界支配の談合が行われています。ニューヨークとハンブルクの2つの国際会議のコントラストは、今日の世界を象徴的に示しています。

 その「G20」を、北朝鮮に対する国際的圧力・制裁の場にしようと意気込んでいるのが、安倍首相です。安倍氏は北朝鮮を「世界の経済成長の阻害要因」とまで言い始めました。

 北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射(4日)に、安倍首相は内心ほくそえんだのではないでしょうか。加計学園問題に加え、都議選の大惨敗で窮地に立っていたまさにその時に起こった「北朝鮮のミサイル発射」。これで逆風が防げると思ったはずです。

 そもそも安倍氏は「北朝鮮」への敵愾心をあおることで政権の浮揚を図ってきました。
 「拉致問題」でも、「いままで拉致問題は、これでもかというほど政治的に利用されてきた。その典型例は、実は安倍首相によるものなのである」(元家族会事務局長蓮池透氏『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』講談社)と言われています。
 都議選で惨敗する前から、加計学園問題で安倍氏への批判が強まっていの中、<逆風の安倍晋三首相にとっては「北朝鮮の挑発行為が結果として助け舟」(防衛相経験者)>(共同通信久江雅彦編集委員、6月22日付中国新聞)と言われていました。

 北朝鮮が核・ミサイル開発をすすめるのは、朝鮮戦争で休戦中の核超大国アメリカが、米韓合同軍事演習などで北朝鮮に圧力をかけ続けていることへの対抗手段です。北朝鮮だけを非難するのは道理に合いません。北朝鮮の核・ミサイル開発を批判するなら同様にアメリカの核・軍事圧力も批判すべきです。根本的には「核抑止力」論自体を否定すべきです。北朝鮮の核・ミサイルは「言語道断」(安倍首相)だが、アメリカの核やその「核の傘」に日本が依存することは許される、正しいという理屈がどうして通用するでしょうか。

 「核兵器禁止条約」に背を向け、交渉の会合にさえ参加しない日本や参加させないアメリカに北朝鮮の核・ミサイル開発を批判する資格はありません。

 日本のメディアは、北朝鮮のミサイル発射を「挑発行為」と一方的に決めつける報道を続けていますが、トランプ政権や安倍政権が被爆者の願いを踏みにじって「核兵器禁止条約」に背を向けている事実を踏まえ、公正な報道を行うべきです。

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