アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

東京五輪組織委の新たな2つの罪

2021年04月12日 | 五輪と国家・政治・社会

    

 不祥事・失態という言葉では片づけられない東京五輪組織委員会(橋本聖子会長)の問題行為が相次いでいます。

★言論・出版・報道の自由への攻撃

 週刊文春は4月1日発売の同誌および3月31日の文春オンラインで、五輪開会式の演出案を「内部資料」の画像とともに報じました。
 これに対し組織委は1日、コメントを出し、演出案は「秘密情報」だとしたうえで、文春報道は「著作権を侵害」し「不正競争防止法違反の罪及び業務妨害罪」にあたるとして「掲載誌の回収、オンライン記事の全面削除」などを要求しました。また、「所管の警察に相談しつつ…内部調査に着手した」ことも明らかにしました(4月1日の日刊スポーツサイトより)。

 週刊文春編集部は2日、コメントを発表し、「記事は、演出家のMIKIKO氏が開会式責任者から排除されていく過程で、葬り去られた開会式案などを報じている。侮辱演出家や政治家の“口利き”など不適切な運営が行われ、巨額の税金が浪費された疑いがある開会式の内容を報じることには高い公共性、公益性がある。著作権法違反や業務妨害にあたるものではないことは明らか。組織委の姿勢は税金が投入されている公共性の高い組織のあり方として異常である。不当な要求に応じることなく、取材・報道を続ける」と表明しました(2日のスポニチサイトより)。

 出版労連(酒井かをり委員長)は7日、組織委に対し「公的機関による言論妨害、出版・表現の自由の侵害に抗議する」との「声明」を発表。文春報道が「公共の利益と合致することはだれの目にも明らか」とし、組織委が掲載誌の発売中止・回収を要求したことを「即時撤回」するよう要求しました。組織委が警察と連携して内部調査したことについても、「取材活動を萎縮させることを意図した恫喝」だと批判しました(出版労連HPより)。

 週刊文春編集部、出版労連のコメント・声明はきわめて妥当と考えます。

★「聖火リレー」感染対策よりスポンサー優先

 コロナ感染第4波で深刻な事態が続いている中、「聖火リレー」は各地で「密」を生み、感染対策に逆行していることは明らかです。組織委は当初、密集が解消しないときはリレー中断することがある、などと言っていましたが、たいへんな密集にもかかわらず中断したことはありません。感染対策の軽視は明白です。この背景には何があるのでしょうか。

「組織委の幹部がリレーの「最大の懸案」と認める密集対策だが、沿道での観覧自粛までは呼び掛けていない。背景には多額の運営資金を拠出するスポンサーの存在があるためだ。各社は宣伝用の車両を走らせ、沿道でPR活動に取り組む。関係者は「スポンサーの手前、『観覧自粛』と言うことはできない」と明かす」(4月8日付中国新聞=共同)

 一時県内のリレー「中止」の意向を示していた島根県の丸山達也知事は6日、組織委を訪れ「スポンサー車両が参加しない形」でのリレーを要求しました。これに対し組織委は、「スポンサー車両の帯同は不可欠」(7日付中国新聞)として要求を一蹴しました。

 コロナ感染対策より「スポンサー企業」優先―これが「聖火リレー」・東京五輪の実相です(写真中は「聖火出発式」で壇上に上がったスポンサー企業の面々)。

 五輪組織委をめぐっては、国立競技場エンブレム盗用問題(2015年7月)、竹田恒和JOC会長(当時)の誘致買収疑惑(18年12月)・辞任(19年3月)、森喜朗前会長の女性蔑視発言(21年2月)、開閉会式企画・演出の佐々木宏統括役のタレント侮辱発言・辞任(3月)などなど、問題が絶えません。まさに腐った組織としか言いようがありません。

 これはたんに組織委の問題ではありません。そもそも東電原発汚染水「アンダーコントロール」という国際的ウソで誘致し(2013年9月)、森氏を組織委会長に据えた(14年1月)、安倍晋三前首相、そして当時官房長官でもあった菅義偉現首相の責任です。
 組織委のこうした数々の問題・罪からも、東京オリ・パラは中止する以外にありません。

 

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