☆「はだいろ」から思うこと
3月下旬、ファミリーマートで販売していたプライベート・ブランドの肌着を自主回収する騒動があった。「はだいろ」と記してあったからだ。コンビニのバイトをしていて、この肌着シリーズは当然知っていたが、「はだいろ」には気付かなかった。
では絵具や色鉛筆はどうなんだろう? 小学生の子どもがいるパートの同僚に聞いてみたが、絵具などはかなり以前から「うすピンク」の表示に変わっているそうだ。この面では時代は進歩しているようだ、と感心した。
「はだいろ」問題で考えさせられたのは、これまで当然と思ってなにげなく使っていた言葉も、けっして当たり前ではないということ。小さいころからの慣習や概念を絶対視してはいけない、相対的なものとして疑い、点検する必要がある、ということだ。
そう思うとまだまだいろいろある。色でいうと、「ブラックバイト」「ブラック企業」など「黒」を悪の象徴とする言葉、「ご主人」「奥さん」「父兄会」など家父長制を示すもの、「バカチョンカメラ」「支那そば」など民族差別にかかわるもの…問題用語が身の回りにあふれている。いずれも差別にかかわるのが特徴だ。無意識のうちに人を差別し、傷つけている。このことに無頓着であってはならない、と自戒する。
☆出る人がいない9割の電話相談
コロナ禍で自殺者が増えている。女性や子どもが特に増加している。5日の報道では、2020年に自ら命を絶った小中高生は499人で前年度より25%増(厚労省まとめ)。
以前ラジオで、電話相談をしているNPO代表の話を聴いた。掛かってくる電話は急増しているが、スタッフ不足でその1割くらいしか応対できていないという。救いを求めて掛けてきた電話の9割には出ることもできないというのだ。
どれだけ力になれるか分からないが、話を聴くことはできる。むなしく切れる9割の電話を少しでも減らしたい。そう思って電話相談のスタッフに加えてもらおうと、県内の社会福祉法人に問い合わせた。
そうしたら、「電話相談員」に認定されるためには、約1年間、20回近い講座を受ける必要がある、費用が3万円(交通費別)かかる、という。モチベーションが一気に下がった。
文字通り命にかかわる活動だから、相談員の養成に慎重になるのは分かる。しかし、1年・20回の研修は過剰ではないか。せめて費用の自己負担はなくせないだろうか(交通費は別としても)と切に思う。
社会福祉法人やNPOの問題ではない。「共助」にまかせて知らん顔をしている国・政府の責任だ。国の予算で相談員を大幅に増やせ。生死の境で電話をしても誰にも出てもらえない人を、少しでも減らしたい。そして自死の背景にある貧困にこそ税金を使え。それが国の責任、「公助」ではなく「公責」だ。