アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

事実を歪曲する翁長知事の記者会見

2016年07月23日 | 沖縄・翁長知事

  

 抗議する市民を排除して高江ヘリパッド工事が強行され(写真左・中)、「辺野古」で国が新たな裁判を起こした22日、翁長雄志知事は記者会見でこの事態についての「見解」を述べました(写真右)。見過ごせないのは、この中に重大な事実の歪曲があることです。

 翁長氏は肝心の政府・沖縄県協議会(21日)でヘリパッド工事強行に抗議するどころか「高江」にまったく触れず、「辺野古」でも政府ペースの「和解の有効性」を認めてしまいました(昨日のブログ参照)。
 
 この日も翁長氏は、「強硬に工事に着手する政府の姿勢は到底容認できるものではなく、強く抗議する」(23日付琉球新報「知事一問一答」。以下、引用はすべてここから)とは言いましたが、ヘリパッド建設自体には反対していません。

 反対しないどころか、「ヘリパッドを建設するというSACO合意について知事の立場は」という記者の質問に対しこう答えました。
 「SACO合意を着実に実施することが基地の負担軽減につながっていくというのは、私は一貫している」。これはSACO合意のヘリパッド建設への賛成を表明したものにほかなりません。

 ヘリパッド建設に賛成でありながら、「強く抗議する」などと言ってまるで反対しているかのように振る舞うのは、市民を欺くものです。

 菅官房長官は「翁長知事がマスコミの皆さんの前でそのような発言をすることが極めて残念だ。協議会とは全く違う」(23日付琉球新報)と、翁長氏の態度がメディアや市民の前と政府の前とでは「全く違う」と述べましたが、翁長氏はこれに反論できるでしょうか。

 記者会見での重大な事実の歪曲は2つあります。

 1つは、「多くの選挙を通して、普天間飛行場の県外移設を求める県民の民意が示されている」という発言です。
 これは「県内移設反対(断念)」と「県外移設」の意図的なすりかえです。再三述べてきたように両者の間には大きな違いがあります。「オール沖縄」の一致点は「建白書」にある「県内移設断念」であり「県外移設」ではありません。

 たとえば先の参院選で「オール沖縄」で当選した伊波洋一氏の選挙公約も「普天間飛行場を閉鎖・撤去し、辺野古新基地建設断念を求める」であり、「県外移設」とは一言も言っていません。

 「県外移設」は翁長氏の持論であり、現地の批判を浴びた馬毛島の視察(18日)にもつながるものです。それを県民の総意のように言う翁長氏の歪曲が一向に是正されないのは、「県外移設」に反対の日本共産党などが翁長氏に必要な指摘・抗議をしないからです。

 もう1つの歪曲は、「県外移設」よりもさらに悪質です。
 「日米安保体制というようなものを戦後71年間にわたって、それを支えてきた沖縄県民に何ら配慮もないまま、北部訓練場も強硬に入っていく」
 「沖縄県民は長年にわたり過重な基地負担に耐えながら日米安保体制に尽くしてきているにもかかわらず…」

 「沖縄県民」は戦後71年間、日米安保体制を「支えてきた」のでしょうか。日米安保体制に「尽くしてきている」のでしょうか。
 日米安保体制を信奉する翁長氏や保守・自民党にとってはそうかもしれません。 しかし、沖縄の革新勢力は、「過重な基地負担」の元凶はまさに日米安保(軍事同盟)体制だとして、一貫してその打破・廃棄へ向けてたたかってきたのです。「支える」「尽くす」とはとんでもありません。

 「高江」や「辺野古」の事態にかこつけて、まるで「沖縄県民」全体が日米安保体制に賛成かのように言うのは、歴史の事実を歪曲し、日米安保体制堅持の世論づくりを図ろうとするものと言わねばなりません。

 

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