「高江ヘリパッド」に関する翁長知事の背信行為は、建設容認だけではありません。重大なのは、安倍政権(国家権力)による強権的な反対住民排除に協力しようとしていることです。
23日の「第1回和解後協議」で、菅官房長官は翁長氏に対し、ヘリパッド建設に反対している住民(写真左ー2013年撮影)の車両撤去に協力を求めました(写真中)。これに対し、翁長氏はこう答えました。
「県としても今日までの口頭の指導で道路法に違反しているのでどくように話しているが、法律の内容で強制的に執行することは、全国的に難しいところだが、いずれにしろ文書指導をしていきたいという話はした」(24日付琉球新報)
この点について会談後の記者会見で、「北部訓練場のヘリパッド新設が反対運動などで進んでいない。県は排除に協力する姿勢か」との質問に、菅氏は、翁長氏が「オスプレイ」の問題を出しながらも、「適宜協力する」(同琉球新報)と述べたことを明らかにしています。
27日の中谷防衛相との会談でも中谷氏から同様の要請があり、翁長氏は「会談後、違法駐車に対しては新たに文書で指導する考えを記者団に示した」(28日付琉球新報)といいます。
安倍政権は辺野古の代執行訴訟で「和解」(4日)が成立して以降、高江のヘリパッド強行の動きをいちだんと強めています。翁長県政幹部も、政府が「辺野古を止めている間、北部訓練場に全勢力を注いできている」(18日付琉球新報)と認めています。「和解」による「辺野古埋め立て工事」の一時中止が手放しで喜べないことはこのことからも明らかです。
政府・防衛局はこれまで県に対して「任意の要請」という形で反対住民の車両撤去を求めていましたが、14日には防衛局職員がゲート前に出向き、直接撤去を迫るとともに、監視カメラを設置しました。さらに17日には行政手続法に基づいく文書で県に撤去を要求しました。
菅氏や中谷氏の「協力要請」はこうした流れの中で行われたものです。それに対して翁長氏は、これまでの「口頭」から今後は「文書」で反対住民に撤去を求めると答え、政府への協力姿勢をさらに強めることを約束したのです。
反対住民・市民を実力で排除しようとするのは辺野古でも日常的に行われていることです。県公安委員長の任免権を持つ知事は、県警の「過剰警備」をやめさせるべきですが、翁長氏は一貫して傍観してきました。それはいわば政府への「消極的協力」ですが、高江住民に対しては「積極的協力」の姿勢をとろうとしているのです。
沖縄防衛局は高江の反対運動に打撃を与えるため、「通行妨害」を口実に国が住民を訴えるという言語道断の手段(スラップ訴訟、2008年11月)まで使いました。反対運動を抑えるためには国家権力は手段を選びません。
その国家権力の実力排除に、翁長氏は手を貸そうとしているのです。