角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

分かってても嬉しい言葉。

2007年11月12日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23cm土踏まず付き〔4000円〕
山吹色のうさぎプリントをベースに、緒は深緑の絣風です。紺系・赤系・秋田おばこ調の三種がこれまでの定番でしたが、緑色を好まれるお客様がことのほか多いんです。これからは緑系もいろいろ作ってみたいと思います。

ずいぶん寒くなりました。今日は天気が荒れたせいもあるのですが、最高気温が一桁になると寒さも違ってきますね。三ヶ月前の36.7℃がウソのようです。

夕方閉店間近、というより閉店時刻の3分前に入って見えたお客様。東京からいらしたという、ご夫婦一組に女性ふたりの四人グループです。奥様が布草履作りの経験者で、それはもう食いつかんばかりに草履をご覧です。その時刻はすでに実演が終わってますから、言葉で材料などをご説明しました。

お連れの女性もたいへん気に入ってくださり、『この草履は買って行ってもイイんですか?』とクリスマスバージョンをご指定です。『一応見本なんですけど、また明日作りますからイイですよ』とお応えすると、大喜びで二足お持ちになりました。
そして肝心の奥様、『とりあえずやってみよっ!』とのことでイ草材料を三足分お買い上げです。
こんな様子をしばらくご覧になっていたご主人、『プレゼントするからこれも買って行けよ』と指差したのは編み方ビデオ。奥様も大喜びでしたね。

お帰りの際のご主人の言葉、『今日一日角館を歩いたけど、最後のここが一番の収穫だなっ!』。
角館の一番が私の草履というのは、もちろんお世辞が半分です。それが分かってても嬉しいんですよねぇ。

さきほど帰宅すると、一通のFAXが届いていました。東京都目黒区にお住まいのおばさまから、草履のご注文FAXでした。記載の内容に不備があったので早速電話してみると、『まぁ、草履屋さん!?お忙しいのに電話なんかもらって、ごめんなさいねぇ』と、かなりハイテンションなご様子。
必要事項を一通り聞き終えると、おばさまのハイテンションがピークに達しました。『5月に旅行して買って来たんだけど、今まで買った草履の中でサイコー!一足しか買ってこなかったから、洗い替えがないでしょ。洗いたくても洗えないのよぉ、ほっほっほっ!』。

最後は次の旅行の相談まで受けてしまいました。それにしても「今までの中でサイコー」というのは、おそらく作った本人と電話してのことですから、少々お世辞が入っているんだと思います。
それでもやっぱり、分かってても嬉しいんですよねぇ。

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