角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

作者への労い。

2012年06月08日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔五阡二百円〕
夏の新柄には、「金プリント」もお願いしていました。届けられたひとつが、「今日の草履」の組み合わせに利用したレンガ色です。ちょうど茶系の在庫が欲しいと思っていたところ、お洒落な男性用草履が出来上がりました。
レンガ色に金の小判プリントがこちらです。



「今日の草履」はすでに2点編んでいて、三日ほど前に編んですぐ売れてしまったことから、今日2足目を編んだところでした。すると2足目も、東京からひとり旅を愉しんでおられるおじさまがお持ち帰りです。26cmの在庫は3点ほどしかないといえ、やはり茶系は人気がありますね。

ときに実演や展示品を遠巻きに眺めながら、『この草履、床に水をこぼしたときにチャチャっと拭けるからいいのよっ』と大笑いしているおばさまがいます。「この草履」というのは一般的な布草履を指していて、角館草履のご愛用者ではありません。

たとえそれが私の編んだ草履だとしても、お代を払ったあとどのような使い方をしようが、それはその人の自由というものでしょう。いくら作者といっても、使い方にまであれこれ指図できるものではありません。
とは思いながら、『雑巾を作っているんじゃないんだけどなぁ』と心で呟くのも事実なわけです。

先日ネット通販をご利用のお客様から、草履到着のメールをいただきました。その一部に、『またしばらくの間大事に使わせてもらいますので、今後もお元気で末永く頑張ってくださいね』とありました。
角館草履をご愛用くださっているみなさんは、きっと粗末になど扱っていないと、独り善がりしています。

カミさんが薄い紺色の半袖シャツを私に見せながら、『20年前に買ってもらったシャツ、これが長持ちするんだっ』。結婚して間もなく私がプレゼントしたらしいのですが、記憶の欠片もないタオル地のシャツでした。
それにしてもこれだけ大事に愛用したのですから、シャツも作った人(会社)も大本望でしょう。

出来るだけ大事に、粗末にすることなく寿命を迎える。そのモノや作者に対して労いの気持ちがあったなら、これに尽きるんじゃないですかね。
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