角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

信じられない出来事。

2015年01月31日 | 家族の話




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
ブルーと黄色の組み合わせは「爽やか」なイメージと思います。ベースプリントは御殿まりですから明らかに「和」なのですが、色調の印象はどちらかといえば「洋」かもしれません。今の時季を爽やかとは表現しませんが、長い冬もそろそろ先が見えてきました。近い未来はこの草履がピッタリ当てはまる、爽やかな風が吹くでしょう。

先日の地元紙朝刊「きょうの言葉」に、「人生は信じられない出来事の連続だ」という文言が掲載されていました。解説では本来出会うはずのない人と遭遇したり、まったく予測していなかったことが身に起きたりという話です。昔友人が職場に内緒で東京ディズニーランドへ遊びに行き、そこで職場の同僚とばったり出くわしたなんて話がありました。日々わが身に起こる現実で、あらかじめ予測できている部分なんてのはホンの僅かなものです。大概は「信じられないこと」の連続でしょうね。

仙台市で新人看護師として勤務していた次女が、本日付けで退職しました。「たった」と言える十ヵ月での退職は、当初まったく予想していなかった現実です。次女が職場に抵抗感を表したのは、勤務が始まって僅か半月後のことでした。そのときは新人にありがちなカルチャーショックか不慣れによるストレスと思い、簡単な励ましで済ませたものです。それが一ヶ月後の5月中旬、「辞めたい」という言葉が次女の口から出たんですね。

次女の性格からして尋常ではありませんから、カミさんを伴いすぐに仙台へ行きました。娘の部屋はよくテレビに映る「ゴミ屋敷」とは言わないまでも、健康な人間の住処とはとても思えません。かなりの精神的抑圧を受けているのはすぐに理解できました。そこで初めて原因を知るのですが、仕事そのものではなく人間関係だったんです。正直最も対処に困る事案でした。

ひとまずカミさんが仙台に残り、掃除・洗濯・炊事の生活支援を始めました。帰宅しその日の愚痴を話せる家族がいるのも良いと思いましたし、部屋が綺麗に保たれ、洗濯ものがたたまれ、温かい食事ができてあればそれだけで人の心は落ち着くものです。一ヶ月の間に一週間~十日ほどカミさんが滞在する生活は、その後昨年の暮れまで半年以上続きました。私がたびたび仙台を訪れていたのもそのせいです。
しかし次女の精神的抑圧は改善を見せず、秋には自らの判断で心療内科を受診していました。医師の説明は「職場を変えなければ根本治癒はない」。

そして年が明けた今年1月7日、限界を感じるメールが次女から届きました。一ヶ月の休職扱いで角館へ連れ帰ったものの、しばらくは生気の失せた状態でしたね。言葉を発するまで三日間、テレビを観て笑えるようになるまで一週間、まず健康な生活に戻るまで二週間を要しました。
一昨日次女を連れて仙台へ赴き、正式に退職手続きをしました。引っ越しはこれからですからまだ落ち着きませんが、次女には解放された安堵感が見えます。

十ヵ月を「たった」と言えるのは健康だからで、次女にとっては途方もない長さだったでしょう。今少し体を休めるとして、22歳の若者ですから未来がたっぷりあります。次に巡り合う職場では、是が非でも若者らしく爽やかに働いてほしいものです。
コメント (2)
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