角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

縁の中の縁。

2013年06月10日 | 実演日記




今日の草履は、埼玉県草加市からお越しくださったおばさまのオーダー草履です。『他のを混ぜないで唐草だけで編んでくれる?』がこちらになります。明日の便で出発、明後日にはお手元に届きますから、すぐに履いてくださいね~。

こちらのおばさまは5人グループでお越しです。おばさまを除く4人が先にオーダーを済まし、皆で談笑していました。そこへ合流したおばさまは、『あらっ、私を差し置いて、あなたたちだけで草履買ったのぉ?』。

聞けばおばさまは布草履歴10年の“ベテラン”。室内草履で差し置かれては沽券に関わるとばかりに、『も~ぅ、私のだけ注文してくれないってどういうことぉ?』と憤慨しておられました。でももし他の人が注文してくれていたなら、「今日の草履」は生まれてませんけどね。

奈良県からお越しのおばさまひとり旅。私の実演が草履と分かると、一瞬『はっ!』という目をされました。草履説明も実に真剣に聞いてくださったおばさま、それがどういう意味であったのかその後のおしゃべりで判明します。

おばさまは外反母趾の治療のため整形外科に通っていました。医師に勧められたサポーターを随時利用しているものの、汗ばむ季節になるとそれが暑苦しいといいます。つい最近『夏場だけサポーターに代わるものがないですか?』と医師に訊くと、『じゃあ、室内草履がいいでしょ』と言われたんだそうです。

そんな旅先で出会った角館草履。これを「縁」と呼ばずしてなんとしましょ。日々の出会いがすべて「縁」であることは、疑いようもありません。そんな中でこれこそ「縁の中の縁」という出会いが、ときにあるんですよ。
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