角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

日本人の大掃除。

2010年12月26日 | 製作日記


今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
紺基調の月見うさぎプリントをベースに、合わせは紺の麻の葉プリントです。
紺で統一された男性用草履、「和」の雰囲気も充分活かされ、なかなか粋な草履と思います。こちらであれば老若無関係にお勧めできるでしょう。

冬の新柄に、こちらの「月見うさぎ」が四色色違いで入荷しています。月見うさぎのような「おとぎ話系」は、なんとも情緒があってイイもんですね。神様的な要素も、日本人に広く受け入れ易いのかもしれません。
他の三色も落ち着いた純和風です。「月見うさぎシリーズ」として追々ご紹介して参りましょ。

本日2010年最後の公開実演を勤め上げてきました。今年の延べ日数は303日、初めて300日の大台クリアです。一年が終わったことと、年頭の目標だった300日実演を達成して、ちょっとホッとしたところがありますね。なにしろ師走に入って入院なんかもありましたし。
冷静に考えれば、なにほどの途切れもなく元日からまた始まります。でも一年一年のメリハリとでも言いますか、年が改まるというのは身が引き締まるなにかがある気がします。

これから大晦日までの数日で、2011年を迎えるためにいくつかの作業があります。そのひとつがあまり得手ではない「大掃除」なんですね。なにも寒い年の暮れにしなくても、欧米のように春を迎えてからでイイと私も思うんです。でもこの作業はどうしても「暮れ」が似合います。それは日本人特有の文化・慣習に基づくのかもしれません。

入院中に読んだ本の中で、二宮尊徳の功績に触れる対談が紹介されていました。薪を背負いながら勉学に勤しむ姿が、かつては銅像によく見られましたね。
勤勉や道徳の点で学ぶことの多い尊徳ですが、農学者としての実績がとても顕著なんです。生涯に数百もの農村復興を遂げている尊徳は、その農村に入ると農民たちを呼び集め、決まって最初にすることがありました。それは神社仏閣の修理だったんです。

農村を復興させるために赴くわけですから、当然その地は貧困に喘ぎ、場合によっては飢餓に苦しむ農民たちがいるわけです。皆の生活が苦しいのですから、すぐには飯のタネになりそうでない神仏は後回しになりそうなもんでしょう。しかし尊徳は違うんですね。

尊徳は農村荒廃の根本理由を、人心の荒廃にあると考えていました。神仏やご先祖様を祀る神社仏閣の荒廃はその表れであって、まずそれらを修理することで農民たちに報恩感謝の念を持たせたわけです。

角館には角館神明社があります。新年には新しい御札をいただき、家の神棚に供えます。そのときに神棚が埃まみれではいけません。やはり日本の大掃除は、年の暮れが似合うのでしょう。そして一番に綺麗にする場所は、神棚と仏壇が良いのかもしれませんね。
日本人にとって神仏というものは、目に見えずして偉大ななにかがあるのでしょう。
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