梅田での公演がはじまりましたね。
梅田、博多では観劇予定はないのであくまでも帝劇で観たときの備忘録です
吟遊詩人ロビン・ブレイク。
メインキャストの中で唯一の架空の人物。
山崎育三郎くんでしか観ていないのですが、なんだかしどころのない役だなあ…と思いました
ベスに庶民の暮らしの一端を垣間見させたり、ベスを心配して危険を顧みず逢いにいったりしますが‥‥
ロビンがいちばん大切にしているのは“自由で縛られない生き方”のような気がするので、ベスに王座を捨てて俺のところにと迫っても、なんだか嘘っぽさを感じるのです。
育三郎くんは爽やかに演じていました
きらきらしていました
歌えるし、芝居だって悪くないのだけれど、ベスとの関係だけでいえば、ひりひりした切なさみたいなものが、いまひとつ感じられないのです‥‥悲恋なのにね‥‥
もう少し泥臭さとか、王女に恋してしまって舞い上がった感とかあれば、また違った印象だったのかな?
ベスを亡きものにしようと画策する大司教ガーディナーは石川禅さん。
禅さんの悪役は珍しいかも。
あの温和な顔つきで、ベスをねちねちと責め立てるから、かえって怖い
ルナールとのナンバー「ベスを消せ!!」
帝劇では楽に近づくにつれ、動きにアドリブが入ったりして、コミカルになってきました。
面白いし、ちょっとした息抜き場面で楽しいのだけれど、あまりヒートアップしない方がいいかな~
シモン・ルナールは吉野圭吾さん。
どうしてああいうメイクにしたのかと思ったら、実際の肖像画を真似たのでした
ルナールとはフランス語で、狐だそうで、狐の毛皮まるまる1頭をマントに付けて右肩に。これからの季節、暑そうです
圭吾さんの悪役は珍しくはありませんが、だいたいは小悪党。
堂々としたヒール役はあまりないかも。
最後の最後でガーディナーを裏切るしね。
「ベスを消せ!!」もいいのですが、いちばん好きなのはフェリペ王子がメインの「Cool Head」。
ここはマントをとっていて、台の上でフェリペ王子と絡んだり、動きも軽やか。
圭吾さんの役は、たいていプリンシパル・キャストの末席なのですが今回は思ったよりも出番が多くて、嬉しいです
シアター・クリエに潜り続けていた時期もありましたが最近は、帝劇が続いているのも嬉しいです
ルナールの主君、フェリペ王子はWキャストで、平方元基くんと古川雄大くん。
今回の最大の収穫は、このふたりの成長だと思いました
ふたりとも、'12年の『エリザベート』のルドルフ。
歌は頼りないし、芝居は段取り通りにこなすのに精一杯だし、手に汗にぎるルドルフ殿下でした
それが、ふたりともスターになって、帝劇に戻ってきました
ふたりとも観ましたが、役作りでどちらがどうで…とかは、残念ながらよくわからないのですが…ふたりとも、かぼちゃぱんつが似合う華やかなフェリペ王子でした。
スペインのフェリペ王子は、メアリー女王と結婚するわけだから、当然カトリックで、ベスと敵対するのかと思っていたら、これがいいやつだったのです
ナンバーも印象的な「Cool Head」や、ちょっとコミカルな「道行く人」とかあり、 ベスの命を左右するキーパーソン的役割もあり、おいしい役だと思いました。
(でも史実では、フェリペ王子、後のフェリペ2世の無敵艦隊をエリザベス1世が破ったことによって、スペインの凋落が始まるのですよね…)
ふたりとも、前楽(古川)、千穐楽(平方)の挨拶もリラックスして、大きな舞台に慣れてきたなぁ、と。
古川くんは、客席を誘導して「Cool Head!」と言わせちゃうし、平方くんはリラックスし過ぎて「本日はミュージカル、ロミ…!」と言いかけ、司会の育三郎を「仕切り直し」と慌てさせておりました
若い才能が花開いていくさまを見るのは、楽しいものです