こんなに深かったんだ!
大人になって 再読&発見する 新しいベルばらの世界へ
(※キャッチコピーより)
「ベルばら手帖」
マンガの金字塔をオトナ読み!
/湯山玲子・著/マガジンハウス社/1575円
すでに廃刊になった雑誌「Harper's Bazaar(日本版)」と、現在も「GINZA」で連載中のコラムをまとめたもの。
今年、宝塚歌劇団が『ベルサイユのばら』を上演することになったので、急遽、単行本としての出版が決まったようです。
著者の方を全く存じ上げなかったので、ご本人のブログとツイッターを訪問してみました。
どんな方が“最強副読本”とまで銘打って、こうしたものを出すのか、興味がありますものね。
以下、極私的感想
危険です。
心が狭いです。
「人間であるかぎり ‥‥ 誰の所有物にもならない心の自由を持っている」byオスカルさま
ので、正直に想いを吐露してみました
私にとっては“最強副読本”ではありませんでした。
一般的にも『ベルサイユのばら』のバックグラウンドを学ぶための“便利副読本”といったところでしょうか?
40年目を迎えた『ベルサイユのばら』についての、理代子先生との対談。
18世紀末の宮廷の食事や風俗について。
ベルサイユ宮殿の建築様式。
当時のフランス宮廷事情。(鹿島茂氏との対談が面白かったです。)
そして、よしながふみ氏との対談。(よしながふみ氏の読み方には、いつもハッとさせられますし、クスッともさせられます。さすがに深い)
等々、興味深い内容が並び、『ベルサイユのばら』のバックグラウンドを学ぶには、コンパクトで便利な一冊ではあります。
ですが…
なんだかなぁ…
いろいろなキャラクターの分析はまぁいいとして、7月12日の夜の解説やら、オスカルが現代に生きたとして、とかは、オトナ読者のそれぞれの心の中の領域なので、力強く持論を展開されても、とまどってしまいます…
いちばん気になったのは、読み進むにつれて、『ベルサイユのばら』への著者さまの愛がだんだん感じられなくなったこと。
確かに『ベルばら』は好きなのだろうな、とは感じますが、「オトナ読み」と銘打っているだけあって、次第に“研究対象あるいはネタ探し”のための読み方になっているという印象を受けたのでした。
ネタが尽きかけたのでしょうか?やっつけ仕事と思える部分もありましたし…
確かに興味をひく内容ではありました。
原作の絵や、実物の写真も随所に使われていて、わかりやすい作りではありました。
でも「オトナ読み」ってなんなのでしょうね?
こういう風に構えた読み方をされて、したり顔で解説されるのは、私には必要ではありませんでした。
『ベルサイユのばら』への“無防備な愛”がなくなってしまうならば、私はオトナ読みはしなくてもいい、と思ったのでした。