日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

明日の神話

2009-03-27 | 絵画

Asunosinwa 渋谷に設置されている岡本太郎が描いた「明日の神話」

描かれているのは、遠洋マグロ漁船、第五福竜丸が
米国の水爆実験によって被爆している瞬間だ。
人は破壊され火は凶器となって何百隻もの船や人間を包み海に死の灰を降らせた。
絵は悲惨な様子を描いている。
しかし不条理に屈しない明日を信じた岡本太郎の絵である。

この作品はメキシコのホテルに飾る絵として1968年に依頼を受け
同じ時期に大阪万博の「太陽の塔」と作業を平行して描かれた。
太郎は「太陽の塔」の合間を縫って何度もメキシコへ足を運んだ。
しかし依頼者の経営悪化でホテルは開業することなく、その後「明日の神話」は行方不明になっていた。
資材置き場から発見された時の劣化はひどく、
描かれてから30余年がたった2005年、日本へ戻ってから再生プロジェクトチームによって
太郎が描いた絵は見事な色彩を現し、鮮烈なパワーとなって今に蘇った。

この作品は、彫刻の「太陽の塔」、絵画の「明日の神話」として対をなす岡本太郎の代表作とされている。