日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

恋する女の子たち 内藤ルネ

2017-10-30 | 絵画

日本の「kawaiiカワイイ」は今や外国の女の子にまで人気があり
その日本の「カワイイ」文化を生み出した元祖ともいうべき内藤ルネ。



軽やかでヴィヴィットな色彩の女の子の絵はおしゃれで
当時、少女たちの間で大ブレイクした。



この本は小さなものだが外箱に収められていて丁寧な作りが
乙女ゴコロを魅了する。
どこで購入したのか思いをめぐらせたが
後ろの見返しに友人の名前が書いてあり、頂いたのだと思い出した。

出版は現在の「サンリオ」の前身「山梨シルクセンター」。
少女の絵からインテリアに至るまで
「カワイイ」をつらぬいたルネさんのミニ詩画集。

葛飾北斎 冨嶽三十六景 奇想のカラクリ

2017-10-27 | 絵画
パスポートのスタンプ欄に葛飾北斎の絵が起用されることになった様々な富士の絵。
江戸後期の代表的浮世絵師・北斎の冨嶽三十六景に10点を加えた全46景と
彼の娘である葛飾応為の「吉原格子先之図」を同時に展示する太田記念美術館の展覧会は
見逃せない機会で楽しみにしていた。



日本各地から見た富士山を描いた冨嶽三十六景。
江戸時代には富士への信仰、憧れ、又は楽しむ山として全国から人々が富士山へと向かった。
日本人のこころの中に存在する富士。

北斎の絵は人気を博し、10枚が追加され全46景となった。
最初の36景は「表富士」、後の10景は「裏富士」と呼ばれる。

全46景の所々に隠された北斎のからくり。
絵をみてすぐにはわからない風景に北斎流の美の視点で描いている発想が面白い。
そして静けさや風、時刻の変化、音までを見る者に与える描写。
見応えのある展示会だった。


世界の愛好家をとりこにした「神奈川沖浪裏」

しぶきを散らしながら大胆にせりあがった波。
横浜市神奈川区あたり沖のダイナミックな表現。
遠くの富士に対して手前で荒れ狂う海は躍動的で魅力ある代表作。

三十六景の中で唯一の雪景色「礫川雪ノ且」

且は「旦」の彫り間違いだという。したがって「こいしかわゆきのあさ」と読む。
小石川は現在の東京・文京区。
一晩降り続いた雪で、あたり一面銀世界の朝。
女性たちが茶店から冠雪の富士山を眺めている冬の情景。

「甲州三坂水面」

緑の木々が裾野に広がるここは現在の山梨県の河口湖あたり。
富士山は夏の姿を描いているが
湖面に映る富士は、左にずれているし雪を頂く冬の姿だ。
少しばかりの理不尽も平気で描いてしまう北斎の個性が光る。

「遠江山中」

遠江は現在の静岡県西部地方。
画面を斜めに横切り誇張された大きな角材が目を引く。
しかしこの角度で作業するのは達者な職人でもすべり落ちる危険がある。
そんな不安は無用とばかりの豪快さ。

「東海道品川御殿山ノ不二」

江戸湾のすぐ近くに位置する品川の御殿山。
桜は満開。人々が花見に興じているその向こうに富士山が。
しかし御殿山から正面に湾を見おろした時に富士は見えず
海岸まで降りなければ富士山を裾まで見ることは出来ない。
北斎は絵筆を動かしながらきっと心の中でつぶやいただろう。
「こう見えたらいいな」。

そして葛飾応為が描いた肉筆の「吉原格子先之図」。
吉原遊郭にある「泉屋」で「張見せ」の情景を
花魁の華やかな明るさと、中を見る男性客を闇に沈めた絵。
提灯の灯りで明暗がぼやけ、さらに幻想性を増している。
待ち望んだ応為の作品だった。

日本の浮世絵は世界で唯一のもの。
葛飾北斎と応為の作品を同時に観賞できたこの展覧会。
偉大な文化の一端に触れられた一日だった。

コロンバン原宿本店 そして藤田嗣治の絵

2017-10-24 | 絵画

原宿にでかけてゆっくりしたい時に入る喫茶店「コロンバン」。
赤いテントと通りをながめられる大きなガラス窓が特徴で
原宿がどんなに変わろうとここの空気は変わらずに存在している。



1924年(大正13)創業。
日本で初めてフランス菓子を提供し、考案したお菓子では数々の賞を受賞している
今やこの店名を知らない人はいないほどの老舗洋菓子店だ。

ここ原宿本店サロンには藤田嗣治が描いた6枚の人物画が飾られている。
藤田がかつてコロンバンのサロンを飾った名残りの6枚。

創業者の門倉國輝は藤田と同時期にフランスで修行をした知人だったことから
銀座6丁目のサロンの天井画を藤田に依頼。
1935年(昭和10)6枚の絵が彼によって制作された。

店内に飾られている藤田が描いた6枚の天井画の1部


その後1975年(昭和50)天井画6枚は迎賓館に寄贈され
「銀座コロンバンの壁画」として現在も展示されているという。

店内の時計の下には藤田の「エッフェル塔」が飾られている。
コロンバンのために描いたオリジナルの絵。
晴れやかな空にエッフェル塔。
そして緑がさわやかに茂るパリの風景だ。

今回は秋のお菓子、スイートポテトとキャラメリゼを注文。


デコレーションケーキとお菓子の製造がデザインされたコロンバンの看板


時代をさかのぼり、当時銀座のサロンで食事をした人々。
そのざわめきはきっと音楽のようであったのだろう。
藤田が天井に描いた女性たちのその下で。

外観の写真2枚は6月に撮影。

池上本門寺のお会式 2017 東京・大田区

2017-10-13 | 神社仏閣

毎年10月に開催される池上本門寺の「お会式」に出かけた。
昨日は「万灯」が本門寺を目指して練り歩き、幻想的な一夜となった。

池上本門寺は日蓮宗の大本山。
日蓮上人が今から736年前にこの地で入滅(逝去)したので、毎年その供養として「お会式」が開かれる。



紙の花で飾られた「万灯」は
日蓮上人が亡くなった時、庭に時ならぬ桜が咲いていたのに由来して様々に飾られる。



屋台は1000店以上も出店するという大規模なもので
メインストリートには並びきれず四方に出店している。

その中で、ひときわ興味を引いたこの屋台。
ガラスケースの中には子供のおもちゃが詰められている。
束ねられた赤い糸の1本を引くと、その糸につながっているおもちゃを手に出来るという趣向。
(男の子は隣のケースで青い糸)
まるで林海象監督の映画に出てくるようなお祭りの情景。


歩くのもやっとの人々でにぎわったお会式。池上が熱く燃えた。


東急東横線 グリーンのレトロ電車

2017-10-01 | 乗り物

 日比谷線から東横線に乗り換えるため中目黒のホームにいたら
鮮やかなグリーンの東横線が入ってきた。
急いで写真を撮ったがホームドアがあるため車体全部を撮ることが出来なかった。

 

このレトロ電車は、東横線の開通90周年を記念して
初代の「青がえる」と呼ばれた東横線を復活させたのだという。

初代の「青がえる」はもう少し淡いグリーンで、その後車体はステンレス製に変わった。
待ち合わせの人でにぎわう渋谷のハチ公前広場にも初代東横線が1両設置されている。

90周年記念列車は来年2018年8月31日まで走行。