日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

そっと綿毛

2014-04-21 | Flower

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緑道にぽんぽんと出ていたたんぽぽの綿毛。
丸くふわふわと群れている風景は、空の雲が地に降りたようだ。

たんぽぽの花言葉は色々あるようだが
「神から受けたお告げ」という意味もある。

それは場所を選ばずどこにでも咲くことや、
黄色の花から姿をがらりと変えて綿毛になるのも
神から授かった使命を負って存在しているように思えてならない。

西洋では綿毛を飛ばして恋の占いをするのだという。
風に飛び、恋の祈りを運んでどこへとも知れず飛んでいく綿毛。


溶岩のようなケール

2014-04-17 | Flower

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ちぢれた赤紫の葉が何枚もついたケール1株。
まるで溶岩のよう。
生ける材料として何としてもトライしたい。

植物が眠っている感覚を覚まさせる瞬間、
ただ導かれるままに花に花が寄り添っていく。

使用した花
ラナンキュラス(3種)、ヒヤシンス、ケール、小手毬、ルピナス、セリンセ


詩 『鎮魂歌』より ジャン・コクトー

2014-04-16 | Jean Cocteau

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  どこに私の根はあるのか  
  どこから私は根なし草になったのか
  差し向かいでパレスよ私に言ってくれ
  そうして私が逃げたがっている
  家族はとジッドよ言ってくれ
地上は結局私の祖国ではないのだ
  そしてどんな先祖伝来の化学から
  私のインクが生まれ
  不器用にも私がともにととのえようとする
  言葉を誰が私に語るのか
  知りたいのはやまやまだ

  残念 私は行方しらず波まかせ
  海の漂流物 空瓶だ


(注)パレスはフランスの作家モーリス・パレス。コクトーの若き日に親交があった。著書に『根なし草』がある。

                『鎮魂歌』第四期より抜粋 井上輝夫 訳


コクトー最後の詩集となった『鎮魂歌』は1959年から書きはじめた。
70歳の時である。彼の作品「人間の声」の舞台演出の最中に喀血し、
医師から絶対安静を言い渡されたコクトーがベッドで書き綴った詩であった。

Requiem
左はコクトーによる『鎮魂歌』の清書

死を意識したこの詩集は、「詩人は病気に挨拶する」という
始まりの第一期から「碑銘」で終わる第七期にわたる壮大な詩で
コクトー自身の回想であり遺言ともいえる作品となった。



詩の中で夢や神話、幼少の頃、天使、ミューズのイメージに自分自身を重ね
生と死を織り込んで書かれている。
自分の生涯を綴り、のちの時代に続く若者への伝言を織り込めながら。


東急プラザ表参道原宿 おもはらの森

2014-04-11 | まち歩き

表参道交差点に2012年にオープンした東急プラザ表参道原宿の屋上庭園「おもはらの森」は
雑踏から離れてリフレッシュできる場所。
ここは原宿のファッションをリードしたセントラルアパートが建っていた所で
交差点からの風景はがらりと変わり、東京の時間はスピードが速いのを実感した。

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スターバックスに隣接したこの庭園では4月17日まで
「Flower Merry-Go-Round」フラワーメリーゴーランドのテーマで
花々が飾られている。









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今年は昭憲皇太后百年祭にあたり、
今日は崩御された日であった。
その祭典が明治神宮で行われたようだ。
けやきの新緑が染まるなか表参道には国旗が掲げられていた。


花舞う日の灌仏会(花まつり)

2014-04-08 | Flower

うららかな日差しに桜の花びらが春を散らしていた今日は花まつりの日。
釈迦の誕生を祝う灌仏会。

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爛漫と咲く花の下で誕生した釈迦に天から甘い清水が降り注いだ。その時の様子が
花御堂であり、釈迦像に甘茶を三回かけて祝い、息災であったことを感謝する。
上の写真は目黒区・祐天寺の花御堂。華やかに飾られた花々からは良い香りが。

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桜舞う境内にしばらくとどまり、鳥が桜の木に飛び交うのを眺めていた。
春をひとりじめにしていた鳥の声。


今年の桜

2014-04-07 | Flower

今は葉桜になりつつあり、あの桜の喧騒も静まってきた。
咲き始めから街中、遊園地、川沿い、学校などを薄いピンクで染めた桜。
人の心を動かし、魅了する桜の不思議を思いながら今年も散策した。

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桜に引き寄せられ、
この世のものとは思えない美しいものを見たあとに感じる倦怠感を
「花疲れ」という言葉で表現するのだという。

夕暮れどきに白く残る桜の明かるさに
恐怖を感じた作家の坂口安吾はそこに異界を見た。






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梵寿綱の建築2棟 杉並区和泉

2014-04-02 | 近代建築

異端の建築家、あるいは日本のガウディの異名で呼ばれる梵寿綱氏が手掛けた建築。
細部にいたるまで施された装飾は、血の通った人間に呼応するように生命感にあふれている。

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ラポルタ和泉



京王線の代田橋駅から北に5分ほど歩いたところに建っているが
住宅街の中なのでひときわ目を引く。

正面入り口には大きな女神のレリーフ。
金の炎とステンドグラスがまわりを囲む。





左は女神像の裏側。右は吹き抜けで天井にもステンドグラスが。
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ペガサスが空に向かうように。
(電線が。。)









エントラス部分とエレベーターに通じるヌーボー風の扉。
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ラポルタ和泉から同じ道をまっすぐ歩いて行くと、もうひとつの建物マインド和泉にたどり着く。
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マインド和泉



左右対称でありながらモザイクのように立体感のある外壁が美しく
周囲との調和も違和感のないたたずまい。





正面のステンドグラスを中から見ると緑色ガラスと線の組み合わせがさわやか。
外壁は整った装飾で、まるで絵本に描かれている建物のようだ。

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エレベーターへと続くエントラスは白の壁に波打つ階段。
階段の角に飾られたアンモナイトのような模様が美しい。
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エントランスホールから中庭に通じる廊下。
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天井には天衣のような装飾。
細部もまるで絵を描くように飾られている。










中庭。光が色や模様を浮き立たせる空間。
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仕切りも床も幻想的。


梵j寿綱氏の、人と住まいが一体化することの願いが込められたような建築から
胸に響いてくるものはとても多い。