日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

宇野亜喜良展 おしゃべりな猫たち 銀座三越

2015-08-31 | 宇野亜喜良

8月25日(火)~9月1日(火)までの宇野さんの絵画展。
猫と少女の絵を中心に
宇野さんが描いた少女の原画や版画の作品がいっぱいで
どれを見ても心を奪われずにはいられないほど。

昨日はサイン会があり、多くの人でにぎわっていた。



私は初日にも行き、昨日で2回目だったが
初日にはなかった絵も増えて、明るい会場は見る人々を夢心地にする
場となっていた。

宇野さんは1人ずつ丁寧に接し、心を込めてサインを続けていく。
その姿は若々しく、
81歳の現在でも変わらずに美しい少女のイメージを生み出せるその感性に
ただ敬服する思いだった。


金子國義 「にっぽんだぁいすき展」 目黒・八芳園

2015-08-28 | 絵画

8月23日(日)~29日(土)まで開催されている
「~優雅な条件~」と銘打たれた金子國義さんの展示会を見に行った。
入り口から耽美な雰囲気が漂ってくる金子ワ―ルド。
金子さんの多くの絵画、部屋を再現し、愛用していた品々などの展示は
なかなか見る機会のない貴重な展示会だった。






再現された部屋の様子。
どれも金子さんの美意識によって選ばれた品々で
床には洋書の絵本やVOUGE、バレエ、ジャン・コクトーの本、
そして絵筆や写真集などが無造作に置かれている。


 

金子さんの飾り棚の中には
貝、香水瓶や版画、役者のスチール、オブジェなどが飾られ、
ボードそのものが宝石箱のようだ。その中にはジャン・マレーの写真も。
 


そして明日29日には「ヴァンプナイト」~金子國義へささぐ夜~の
イベントが砂漠の薔薇という会場で行われるらしい。
たった1日だけのサタデーナイト。



油絵や版画に描かれた少年少女は、金子さんの美が昇華された
表情で陰影の中に、あるいは花のように存在している。
それは刺激的でありながら洗練され、空想の世界に君臨する美少年、美少女だった。


麻布十番まつりから「寺山修司劇場美術館」展へ

2015-08-24 | 宇野亜喜良

先週8月22日(土)~23日(日)は麻布十番の納涼まつりだった。
商店街には露店が並び、呼び込みの声とざわめきで今年もにぎわっていた。

毎年、この納涼まつりで無料配布される宇野亜喜良さんのうちわ。

海の中を人魚が海月と一緒にただよっている。
長い髪もゆらめいて。

街灯や各商店には何週間も前から旗を掲げ、ポスターが貼ってあった。
あちこちで宇野さんの絵が目に入り、納涼まつりが待ちきれない気分だった。
 

十番の雑踏の中を少し歩いただけで
渋谷の東急百貨店で開催されている「寺山修司 劇場美術館」展へ。



寺山修司作品の紹介とともにに宇野さんの作品も参加。
うれしい企画展だ。

歌人、詩人、劇作家、監督、演出家、作詞家、評論家…など、マルチアーティストとして
時代の寵児となった寺山修司。
東横線が渋谷駅に到着する寸前にいつも目に入っていた「天井桟敷館」。
サイケデリックな建物でひときわ異彩を放っていた場所だった。
寺山が存命ならば今年80歳…。
また私たちの前に寺山が渋谷でよみがえった。

会場を入ると、早稲田大学の学帽を被った寺山のパネルが迎えてくれる。
天井桟敷の公演ポスターや横尾忠則さんが描いたポスター、宇野さんによるポスター、
寺山自筆の原稿、初版本、寺山と宇野さんの当時のチラシやしおり、「田園に死す」の原画など。
1960年代のアングラ演劇の世界にまぎれ込んだような錯覚。
宇野さんがパフォーマンスで描いた少女の絵も壁いっぱいに。

そしてハスキーボイスが魅力的だった天井桟敷の美人女優、新高恵子さんの
肖像写真は、次々と生まれた天井桟敷の作品華やかなりし時代の宝石のように思えた。
又、パルコ劇場で初演を見た「中国の不思議な役人」のポスターを前に、
鮮烈で幻想的だった舞台が思い出された。

    マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや    
    林檎の木ゆさぶりやまず逢ひたきとき                      (会場の壁面に書かれていた寺山の句)


この日は宇野さんと、ポスターハリスカンパニーのオーナーである笹目さんとの
トークショーが3時から行われた日だった。
すでに終わったあとに行ったのだが宇野さんがまだ会場にいらした。
サインをお願いしたが、1人ずつ名前を聞いてサインに応じる宇野さんは大らかな優しい笑顔。
その素敵な姿にますますファンになってしまった。
 


近鉄 「宇治山田駅」 三重県伊勢市

2015-08-20 | 近代建築

伊勢神宮への玄関口である近畿日本鉄道の宇治山田駅。
皇族や政府要人の伊勢神宮参拝の時は、この宇治山田駅を利用するのがしきたりだという。

様式美を感じさせる駅舎の前には黒塗りタクシーが控えている。
一瞬、英国の風景のようだと思ったが
スパニッシュ様式の建築で、テラコッタやスペイン瓦が使用されているとか。
昭和6年(1931)開設、設計は久野節氏。



壁画の装飾、外灯、窓枠、鋳物の飾り、どれも素晴らしい。



模様のある柱も堂々たる姿



優美な正面玄関入り口



レリーフも優美



多くの人々の離発着を見守ってきたコンコース



正面を入った内側から天井を見る。
瀟洒でエレガントな照明と八角形の窓。



74年の歴史を持つ、その時間を思いながら構内で周囲を見回した。
ここ宇治山田駅には過去の多くのドラマが眠っているに違いない。
ゆるやかな波紋のように静かな時間が私を包んだ。


ミキモト真珠島の海女さん 三重県鳥羽市

2015-08-19 | まち歩き

伊勢神宮参拝のあと鳥羽までバスで行き
そこからクルーズに乗ってミキモト真珠島へ。
真珠の大家・御木本幸吉が世界で初めて真珠の養殖に成功した島でもある。
そしてその発展を支えた海女たち。

1時間に1度、3人の海女さんによるアコヤ貝採取のデモンストレーションがあった。
白の「磯着」を着て潜水する様子が見られる貴重な体験だった。

水温27度。ためらいなく飛び込む


採取した貝を見せて


また飛び込む
    

水面に上がった海女さんが口笛を吹いて息を整える。
急に大きく呼吸をすると肺や心臓に負担がかかるためだという。
この口笛は「磯笛」と言い「日本の音風景100選」に選ばれている。

採取がすべて終わると海女さんが
見学をしている私たちににこやかに手を振ってくれる。
長い修行をして日本の伝統を守り
海に生きる海女さんの姿はとてもまぶしかった。


伊勢神宮へ 三重県伊勢市

2015-08-18 | まち歩き

古くから、日本人の心のふるさとと表現されるように人々の心を清め
尊崇されてきた伊勢神宮は
内宮・外宮を中心に、付近に点在する別宮や摂社などを含めた125社の総称で、
正式名は「神宮」と呼ばれる。
その宮域は伊勢市の4分の1を占める広大さだという。
伊勢神宮の参拝は、外宮(げくう)→内宮(ないくう)の順で回る。

伊勢市駅前に建つ鳥居。外宮の参道へ通じる入り口。



外宮へ向かう火除橋を渡り、一の鳥居を抜けて二の鳥居へ。
参道は左側を歩いて行く。中央は神様が通る道とされる。
ここはもう神域。
緑におおわれた参道から神聖な空気を感じつつ少しずつ神様に近づいて行く道。



豊受大御神(とようけのおおみかみ)外宮
天照大神(あまてらすおおみかみ)の食事を司る神・豊受大御神が祀られている。
そして衣食住をはじめとするあらゆる産業の守り神でもある。
物があふれる世であるが、万物を守ってくれる大いなる御心に感謝した。



神宮には鳥居や板垣に榊が多く飾られていた。
「木」と「神」が組み合わされた榊は読んで字のごとく「神の木」で
常緑であることから神事には欠かせない神聖な木。
尽きることのない「神様からの恵み」の象徴であり
白い紙は紙垂(しで)と呼ばれ「清浄」を表している。



宇治橋
循環バスを利用して内宮へ。
内宮への入り口である宇治橋の鳥居は式年遷宮を機に、
内宮と外宮の棟持柱(むなもちばしら)を再利用して建てられた。
五十鈴川の水面から吹く風が心地よい。内宮へは右側を歩いて。



皇大神宮(こうたいじんぐう)内宮
皇室の御祖神であり、日本の総氏神である天照大神を祀る内宮は
別格の聖地。
あまねく世を照らす太陽神のご神威、往古の歴史を感じる瞬間でもある。



すがすがしい空気の中で木々は天に伸び
訪れる人々を包むように青く茂る。
二千年の時を越えて今も私たちを変わらずに迎えてくれる「お伊勢さん」
永久に続く平和を願った。


近鉄特急 「しまかぜ」 で伊勢へ

2015-08-16 | 乗り物

伊勢神宮へ行くのに名古屋から特急「しまかぜ」を利用した。
式年遷宮を機に誕生したこの「しまかぜ」は
大阪、京都、名古屋から伊勢志摩の賢島 (かしこじま)までを結ぶハイグレード車両で
大きく取られた窓から流れる風景を見ながらの旅は、
日常から離れた旅気分を味わうことが出来た。

名古屋駅から伊勢市駅へ向かって
 

座席への入り口


プレミアムシート。 1席+2席の編成。
ゆとりのあるシートは快適でいつまでも乗っていたかったほど。


6人用のサロン席と和風個室。和風の部屋は靴が脱げる親切な作り。
 

パウダールーム (自分の手が映り込んでしまったので修正しました)


カフェ車両から座席方向を見た通路


カフェは1階と2階にあり写真は2階の全景
早く行かないと混むと聞いていたので早めに。
メニューは松阪牛のカレー、伊勢エビのピラフ、あおさとカキのにゅう麺、スイーツなど
ワインやビールも用意されている。
「しまかぜ」だけで味わえるメニューは格別。
 

名古屋から1時間15分ほどで伊勢市駅に到着。
快適な「しまかぜ」の楽しみもあっという間に終わって…。
車窓に流れるロケーション、こぼれる光、体を包むようなシートの開放感、
どれも忘れがたい。