スティーヴン・アーノルド(1943~1994年)
写真界の異端児スティーヴン・アーノルドは闇の中に劇場を作る。
その写真は神話、歴史、絵画、宗教などからイメージされ
彼の魔術によって異様でありながら退廃的な物語が生まれる。
服飾デザイナーを母に持ち、クリエイティブな環境で育ったアーノルドは
幼い時からマリオネットを自分で作ったりしていた。
ジャン・コクトーやC・G・ユングも好きだった彼は
短編の映画撮影、監督など映像で活動を続けていたという。
若い時はサルバドール・ダリと一緒だった時もあり、この肖像写真もどこかダリを思わせる。
ANGEL OF NIGHT
写真集のサブタイトルになっているこの「エンジェルズ・オブ・ナイト」は
代表作品ともいえる写真。
やわらかな羽根が大きくゆったりと動きそうな幻想にみちている。
光と影を自在に操るアーノルドの画像。そこには森羅万象あらゆる美が輪舞する。
それは不思議な虚構の彼方へと見る者を誘い
まるでこの世に時間など存在しないかのような感覚を呼び起こす。
先月の横浜・人形の家の「鳴子こけし祭」で会ったこけし。作者は高橋義一工人。
緑の縞々にパッと華麗に開いた菊の花。
鳴子こけしは菊が様々に咲き競う。
おとなしい表情でじっとたたずんでいる。
Jean Cocteau et la Medeterranee
コクトーの生誕120年を記念して2009年10月から翌2010年1月まで、
コクトーと地中海をテーマにマルセイユで開催された
「ジャン・コクトーと地中海」展のカタログ。
出版はRegards de Provence
展示された作品は、絵画、写真、タピスリー、陶器、宝石など。他の作家によるコクトーの肖像画なども含め
カタログには約150点の作品が掲載されている。
カタログではあるが写真集のように立派で見事な1冊に仕上がっている。
「地中海」と題された横長のタピスリー。
フランス中部の街、オービュソンの伝統技術であるオービュソン織り。
「カンヌのフェスティバル」
コクトーが愛した南フランスの海辺。
そこは詩人が夢見ることが出来た場所であり
太陽と波、夜の星々さえも詩の女神となってコクトーに語りかけた。