日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

黄金の中に神の詩情を描いた画家 カルロ・クリヴェッリ

2016-01-29 | 絵画

ピナコテーカ・トレヴィルシリーズの第3集「カルロ・クリヴェッリ画集」

ピナコテーカ・トレヴィルシリーズは第1巻~10巻まで
前期と後期に分かれ、それぞれ5冊ずつ刊行された。
発売されてすぐの1995年秋、青山ブックセンターの棚に5冊並んでいたのを見た時のことは
昨日のように鮮明な記憶で残っている。
表紙の「マグダラのマリア」を見た瞬間に惹きつけられたこの第3集。

マグダラのマリア 
謎を秘めているかのような神秘的なまなざしの「マグダラのマリア」。
強調された豊かな髪のうねりが官能的でさえある。
マグラダのマリアはイエス復活の際、足に香油を塗った女性の聖人。
右手に香油の壺を持って描かれることが多い。



(左)聖母子 蝋燭のマリア カメリーノ大聖堂のために制作されたと考えられている母子像。
(中)聖母子 ピチェーノ大聖堂の多翼祭壇画の中央部分に描かれた母子像。
(右)聖ゲオルギウス トルコのシレネの湖に棲む悪なる龍を退治し、民衆をキリスト教に改宗させたといわれる聖人。
  
そこに光が満ちているかのように明るく、
明確な描写で教会の祭壇に描かれた聖母マリア、幼子のイエス、そして聖人たちの
濃い色彩で緻密に描かれた神の世界。
静謐な気高さがありながら不思議なモダンさを感じさせる。

クリヴェッリは1430年から1435年頃にヴェネツィアに画家の子として誕生した。
1457年に、船乗りの妻を誘惑、監禁したかどで刑を受けた彼は
その後アドリア海に面したマルケ州に移り住んだ。

彼は知られることなく埋もれた画家であったが、
それは片田舎であるマルケ州から出なかったことにより、美術研究の範囲からはずれたためと
「美術家列伝」にとりあげられなかった理由で一流と見なされなかったためであった。

受胎告知
マリアが旧約聖書のイザヤ書を読んでいると、大天使ガブリエルが現れマリアの受胎を知らせる。
マリアの設定は諸説あるが、クリヴェッリは読書の情景で描いた。
白い鳩は精霊で、神の使いの象徴として多くの「受胎告知」に描かれる。
  

本誌に掲載されている絵は単独の母子像も含まれるが
多くは「多翼祭壇画」の一部で、その一部はヨーロッパやアメリカの美術館に収められている。
ナポレオンの侵略や様々な混乱で板絵は1枚ずつ散ってしまった。

クリヴェッリの絵は散り散りになって美術館に展示される運命になったが、
マルケ州の教会に元のまま飾られていたら
はるか昔の時代にさかのぼって、クリヴェッリの楽園を見ることが出来るだろう。


雪の日 もう見ることのない風景

2016-01-21 | 日常



今日は大寒。1年でいちばん寒さが厳しい日。
朝から冷え込み、温度は上がらなかった。

画像は10年位前のものだがしんしんと雪が降った日だった。
恵比寿・代官山からつながる駒沢通りで、当時のNTT電話局で撮影。
今は現存せず、この電話ボックスも過去の風景となった。
時計や公衆電話のボックスに雪が張り付きとてもきれいだった。
今日もどこかで雪は降り、冷たい風が吹いている。
次の暖かい季節を待つために。


オレンジ色のカトレア

2016-01-16 | Flower



カトレアは中心にリップと呼ばれる部分があり
外側のはなびらと違う色が多いが、全体が同じ色のカトレアも
数多く出回っている。
目が覚めるようなオレンジが鮮やかな小ぶりのカトレア。
グリーンや臙脂色をわきに添えて。

使用した花材
カトレア、パフィオ、オンシジューム、スイートピー、レモンリーフ、岩南天、ケール


さようなら デヴィッド・ボウイ

2016-01-12 | 音楽

世界的ロック・スター、デヴィッド・ボウイが逝ってしまった。
特別なファンではなかったけれど
ラジオから聞こえてきた「ワルシャワの幻想」や、怖くもファンタスティックだった映画「ハンガー」は忘れがたい。
もう地上の人ではなくなってしまった。。
どうぞやすらかに。

David Bowie - Warszawa


港七福神めぐり 東京・港区

2016-01-11 | 神社仏閣

七つの幸せが授かるといわれたことから始まった新年の行事のひとつでもある七福神めぐり。
昨日、港区の「港七福神めぐり」をまわった。

港区には七福神を祀る寺社の他に「宝船」の巡拝所もあるので
コースは6社2寺の八カ所。

ふりそそぐような陽の下、六本木や麻布界隈の散歩のつもりでスタート。
通常なら3時間でコースを回れるというが
途中でカフェに寄ったり、ゆっくり歩いたりしたので5時間かかった。

「布袋尊」 久國神社
清く正しい行動、不老長寿、無病息災、家庭円満、予知と金運の神様。
七福神の中で、唯一中国に実在した禅僧。



「福禄寿」 天祖神社
千歳を超える仙人で、南十字星の化身ともいわれる
ロマンチックな語り伝えがある長寿と人望をを司る神様。
「福」は幸福、「禄」は身分、「寿」は長寿に通じるといわれる。



「寿老神」 櫻田神社
福禄寿と同じ神様だが二体化されて七福神に加わったという。
やはり延命長寿や幸福、健康の徳を授け、星が人格化された神様。



「毘沙門天」 氷川神社
インドの神話の神で、戦いを勝利に導き、決断の徳をつかさどり
国家の災いを鎮め、また財宝を授けるという心強い神様。



「大黒天」 大法寺
「大黒」は「大国」にもつながり大国主命(オオクニヌシノミコト)に
結合して神になった。
大きな袋は豊穣を、打出の小槌は財宝の福徳があるというお馴染みの神様。



「弁財天」 宝珠院
さざ波の音を神格化した七福神の中でも、唯一紅一点の神様で
芸能、知恵、延命、家内平和、財福を授ける女神様。
 
赤い本殿脇に椿がきれいに咲いていた。


「恵比寿」 熊野神社
折帽子をかぶり、左に鯛を、右に釣り竿を持った馴染み深い神様。
本来は漁師の神として信仰されてきたが
五穀豊穣、商売繁盛の福をつかさどる七福神の中の唯一日本の神様でもある。

神社のご神紋である「八咫烏(ヤタガラス)」は3本の足が特徴で、
物事を良い方向へと導く神の使いとされている。


「宝船」 十番稲荷神社
七福神は宝船に乗ってやってくる。
船にはさまざまな宝物が積まれ、人々に福を授けると信じられているおめでたい船。

通りに面して設置されているので誰もが目にすることが出来る宝船。

七福神めぐりの特別色紙。
最初の神社で色紙をいただき最後の場所で日付けを入れてもらえる。
御朱印料はそれぞれ300円奉納。


青山通り 掃除機型の石像に松が

2016-01-04 | まち歩き



昨年4月に東京・青山通りにオープンした「Dyson表参道」。
ダイソンのエントランス左右に掃除機型の石像が設置されているが
昨日通りかかったら両サイドに新年の松が飾られていた。
とてもユニーク。
この石像は小さなものだが、オブジェのようで
インパクトあるアイディアが人目を引く。