日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

ユーカリベリーの実

2013-10-29 | Flower

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今頃からユーカリが豊富になる季節。
シルバーグリーンの小さな実のユーカリベリーは
花の間を埋める優しい役割を果たす。
ぱらぱらとした葉も味わいがあるが
今回は葉を落として粒の表情を生かして。

使用した花材
アマリリス、アスター、カーネーション、ブバリア、ユーカリベリー、利休草


語りつくせないほどに

2013-10-25 | 日常

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月日は環境を変えていく。
信頼していた人の転勤。 
本人からそれを聞いた時、過去の深い時間が思い出に変わりながら私の胸に駈けてきた。
移動をずっと拒否していたのだという。
叶わぬ現実は
ことばを空のかなたに運び、さらに星の向こうへと。今までの感謝は語りつくせないほどに。


竹内栖鳳展(後期) 東京国立近代美術館

2013-10-18 | 絵画

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見に行ったまま記事を書いていなかった竹内栖鳳展。
前期と後期に分かれていたが後期しか見ることができなかった。 

竹内栖鳳は1864年京都に生まれ、四条派の孝野楳嶺(こうのばいれい)に学び
後進たちに影響を与えた京都近代絵画の代表的存在。 

絵画に対する栖鳳の姿勢は積極的であり
他派の手法を自在に取り入れて独自の画法で取り組んだ。
又、彼は旅の画家でもあり、北越地方やパリ万博への渡欧、中国、
そして潮来の風景などを求め、その体験を作品に反映させた。



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池溏浪静 明治20年代

水辺に生い茂るフトイのそばで魚が跳ねる。
そしてあたりは静かに霞んでいる。




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枯野狐 明治30年

細い細い月の下で狐の和毛の柔らかさが際立った絵で
栖鳳の画風によく見られる余白の美しさを感じる。
奥に薄くおぼろげに見える草が格調高い。







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金獅 明治34年頃 

渡欧から帰った翌年に描かれた金屏風に金の獅子。
透けるような金の毛とくっきりと描かれた口元のコントラストが 素晴らしく
百獣の王と呼ばれるライオンの雄姿があった。





散華 明治43年頃 
花びらを蒔き、楽器を奏でる天女たち。
写真が小さくわかりづらいが、小太鼓、琵琶、琴、鈴、笛や笙などの楽器をそれぞれ手にしている。
東本願寺の天井画のために描かれた優美な女性たち。

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斑猫 大正13年 重要文化財

人が多く前で見るのが困難だった作品。
実際は目の色が鮮やかな緑で、猫の感触が伝わってくるような体と
今にも動きそうな表情に見入ってしまう。





和蘭春光・伊太利秋色 明治35年
オランダの春とイタリアの秋が描かれた金屏風。金の上に淡く描かれたヨーロッパは夢のような風景でありながら物憂げな美しさがただよう。
   

 


無垢な表情

2013-10-09 | こけし

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どこかを見るともなしに見ているような表情のこけしは
津軽系の五十嵐嘉行工人の作品  7寸4分

 

黄色や赤、紫などのはっきりした縞に線だけで描いたあやめの花模様。








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こちらも五十嵐工人のこけしで、口をへの字に曲げているのが無邪気でかわいい。
上のこけしよりも小さく身長は5寸 間宮明太郎型

同じ太さの胴体に模様もシンプルで髪も飾りをつけず
笑わない表情なのに五十嵐工人のこけしはぐいぐい引き込む魅力がある。


力あるダリア

2013-10-08 | Flower

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春に球根を植え、秋に咲くダリアは華麗でありながら力強い姿を見せてくれる。
品種も多く、外国の庭には色彩豊かにダリアだけを咲かせる家もある。

まわりに絡ませた蔓は丸葉るこう草。
葉がハート型でオレンジ色の小さな花を咲かせ、フェンスなどに絡んでいるのをよく見かける。

器は13センチの小さなもので、雑誌Oliveに一点物として掲載されていた花瓶。
その記事を見て恵比寿の「ジェニオアンティカ」で購入した大切な器。


ポスター「青い背景のアルルカン」 ジャン・コクトー

2013-10-03 | Jean Cocteau

ブルーを背景にシンプルに描かれたアルルカンの顔だが
周囲に書かれたコクトーの文字もデザイン的に見えるポスター
1995年 ムルロー工房印刷



コクトーが66歳の時の作品で、この年はアカデミー・フランセーズ会員となり
又ミイ=ラ=フォレの名誉市民号も与えられ、公式の場に出ることも多い年であった。
ブルーの色彩は、慎ましやかな真珠を思わせるような青で
吸い込まれそうになる優しさがある。

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ポスターになった元の絵「青い背景のアルルカン」
製作年不明 (図録より撮影) 

顔の両サイドに黒のクレヨンで引かれた線は
アルルカンが被るナポレオン帽を簡単に描いている。