日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

麻布十番納涼まつり

2012-08-26 | 宇野亜喜良

Azabuutiwa 

Azabumaturi

 

昨日と今日は2日間の麻布十番の納涼まつりだった。
毎年配られる宇野亜喜良さんの団扇が可愛らしい。

割れた卵から少女が現れている。
昨年は震災のため納涼まつりは自粛されたが、復興を願う新しい未来への誕生のようなイラスト。



商店街は人で歩けないほど。どんどん増えてくるばかり。
店先には同じイラストのポスターが貼られ、この旗が商店街を飾っている。
人混みに混じりながら、五月の展覧会場にいたスマートな宇野さんを思い浮かべていた。


風船かずら

2012-08-18 | Flower

 近頃、緑のカーテンとしてよく見かける風船かずら。
葉は明るめのグリーンで涼しげ。

別名はBallon vine(バルーンヴァイン)。vineはつる性植物のこと。
蔓が絡み、実が風船のような性質から生まれた花言葉は「御身と共に飛行せん」



    花の生命の 散る時は
    あなたと一緒に 夢に飛ぶ
     風船かずらの 花ことば
    風船かずらは ゆらゆらと
     青いその実が 風に舞う

                  野口家嗣(のぐちいえつぐ)「花詩集」より 


マドゥウモァゼル・ルウルウ ジイップ作

2012-08-15 | book

 
とびきりお転婆でとびきり利発な少女・ルウルウの物語。
プパ(パパをこう呼ぶ)をハラハラさせる乱暴な言葉遣い。
でもルゥルゥは古い因習や気取った人物を既成の概念ではなく自分の目で価値を決めていく。 

献辞は与謝野晶子、美しい装丁は堀内誠一という贅沢な本だが、
全体にはじけるようなルゥルゥを風刺を利かせながら生き生きと描いている。

作者のジィップは、フランスのKoetsoalの館に生まれ、伯爵の娘だったという。
この本を雑誌で知り、神保町の古書店でみつけた時のうれしさは
「もう森へなんか行かない」の本を歩いて探した時と同じくらい格別だった記憶がある。

1973年5月再販発行 薔薇十字社 訳 森茉莉                


上野 不忍池のハス

2012-08-07 | Flower

昨日行った上野恩賜公園の不忍池に咲くハスの花。
広い池は大きなハスの葉に一面がおおわれて太陽を浴びている。

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泥土からこんなに美しい花を咲かせる蓮の花。
光の象徴でもあり、極楽浄土のシンボルともいわれる。
そのため蓮の台(うてな)に仏様が座しているのは
極楽から慈悲をもたらしている表現だとされる。








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神聖と神秘の象徴として崇拝の対象となってきた蓮。

英名はロータス。ラテン語の蓮、睡蓮をさす言葉から名づけられた。
和名はハチスとも言う。実が蜂の巣に似ていることに由来する。







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朝の空気の中で何輪も咲く蓮の花たち。

中国では蓮を総称した場合「荷」と書くという。
荷風は蓮の上に吹く風の呼び名。
自然をみつめた目から美しいことばが生まれた。






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つぼみが葉の間から立っている。じきに開く予感。

ラオスに伝わる民話では、一人の修験者(しゅげんじゃ)が
池で水浴をしているそばに一輪のつぼみが良い香りを放っていた。
修験者がそのつぼみを仏前に供えたところ蓮のつぼみは女の子に変わっていた。
蓮の精の伝説だという。




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ギリシャの伝説ではオデュッセウスがトロイの戦いを終え、
故郷に帰る途中でロータスの咲き誇る国でロータスの実を食べたが
部下たちが故郷へ帰ることを忘れたので、急きょ船に乗せ脱出したという。
このことからlotas-land ロータスランド。
すなわち憂いのない国、桃源郷という言葉が生まれた。







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朝は晴れていたが雨が急に振り出した。
太陽の下で咲く蓮とは又違う表情の池。

葉の上にしずくが水玉になって光る。
ころころとあちこちに大きさを変えて動く様子は様々な表情を見せてくれる。
万葉集では葉の上のしずくを女性に例えた歌が残されている。






葉に降った雨がたまり、葉が重みに支えられなくなると茎がたわんで水がこぼれる。
ゆらりと葉が元にもどる動きがあちらもこちらも。
豊かな表情で池は輝いていた。


うい、Un rasin

2012-08-04 | 日常

Raisin



じりじりと太陽が照りつける路地。
人がいない道は静まり返り、
角を曲がれば
まるで違う場所があるような錯覚にとらわれる。
夏の風景は謎をかけるように
見えない迷宮へと誘い込む。

葡萄におおわれた一隅。
コンクリートまでが冷えているかのような
夏の陰。