今年は寺山修司の生誕80周年。
それを記念して、宇野亞喜良さんが寺山修司の演劇作品を手がけたポスター展が、
渋谷のポスターハリスギャラリーで一昨日(3/28)まで公開されていた。
ふたりが出会ったのは1965年に発刊された新書館の「ひとりぼっちのあなたに」であった。
寺山の詩や文に宇野さんが描いた絵は、多くの少女たちの心を虜にした。
そして次々と生まれるふたりの本の挿絵やポスターは
1960年代の若者文化を大きく担っていった。又、時代の象徴のようでもあった。
ギャラリーに展示されていたポスターは
「星の王子さま」をはじめ、「毛皮のマリー」「さよならの城」「上海異人娼館」
「伯爵令嬢小鷹独掬子の七つの大罪」など。
そして他に「百年の孤独」も。
ポスター以外の展示は、宇野さんがパフォーマンスで大きなキャンバスに描いた少女の絵、
ガラスケースには公演出演者の色づけされた衣装デザイン、壁には宇野さん製作の人形など。
時が経ち、過去にあった寺山と宇野さんの時代を思う。
しかし今見ても、それが過去のものではないときめきを与えてくれると
改めて実感した貴重な展示であった。
昨年7月に前衛芸術家の草間彌生デザインのバスが
新宿ー松本間で運行が開始した。(アルピコ交通社)
長野県松本市出身の彌生さんに市が依頼して実現したという。
このバスに乗りたくて、昨年の11月に松本に出かけた。
彌生さんといえば水玉。その水玉模様と花や動物が描かれたカラフルな「彌生号 幻の花」
1日1往復の運行。
ナンバーも「841(やよい)」と細部にまで凝っている。
座席のヘッドシートは「BODY-FESTIVAL」からデザインされている。
各座席のポケットに入っていたバスの絵のカード(非売品)
ふたつに折って飾れるようになっている。
そして松本市内を走っている彌生ちゃんバス「草間彌生 水玉乱舞号」
東西南北の4つのコースがあり、松本駅からあがたの森公園、松本美術館や
旧開智学校などをめぐる。
タウンスニーカーとして市民や観光客のための便利な足になっている。
松本市美術館前に設置されている巨大なオブジェ「幻の花」
高さ10メートルの花も永遠の水玉。
色々な角度から見ると、花も葉もまるで生きているような生命力にあふれている。
美術館入り口にある自動販売機も水玉。
ベンチも壁のパネルも水玉。
水玉は古くからあるモチーフだが、彌生さんの水玉はあの可愛らしい声と
話し方からは想像出来ないほどのエネルギーに満ちている。
どこまでもどこまでも続く永遠の水玉。
無数の水玉は草間ワールドとして今も魅力を放っている。そしてこれからも永遠に。
言い尽くされた言葉ではあるが、妖艶でありデカダンな雰囲気の絵で
知られる金子國義画伯が17日未明に他界した。
金子さんの絵「花咲く乙女たち」を見て
胸に衝撃が走った記憶は今も鮮明に残っている。
78歳。もう少し元気でいて欲しかったと思わずにいられない。。
撮影 操上和美
金子さんが手掛けたワインのラベル。
バレンタインデー、ホワイトデー、母の日、と記念日のラベルが貼られている。
それぞれ発売されるたびに購入していた。
下は金子さんの作品と室内の写真が掲載されている「L’Elegance」
部屋の写真は、今まで何度も雑誌などでも取り上げられ紹介されてきたが
インテリアにもデカダンな雰囲気がただよい、
細部にいたるまで金子さんの美学によって飾られた魅惑的な写真集。
何度も見ている金子さんの世界。
あれは何年前だったか、人影のない夜10時頃の代官山。
私の前で突然車が止まった。
降りてきたのは金子國義さんだった。
近寄りがたいおしゃれな姿。オーラを放って路地に消えていった。
そして昨年、神奈川近代文学館の「泉鏡花展」で
最終日の最終時間にいらしていた金子さん。
私たちがまだ知り得ぬ不思議の国へ逝ってしまったけれど
どうぞ安らかに。