青山の骨董通りを入ると青い旗と芭蕉の大きな葉が見える。
画家・岡本太郎が1953年(昭和28)~1996年(平成8)まで住んでいた家である。
周囲はブティックやレストラン、商業ビルなどが多いが
緑が茂る記念館は入り口を入ったとたんエネルギーを発する別天地へ
私たちは吸い込まれる。
1 階のリビングルーム
個性的で鮮やかな色彩なのに心地良いスペース。
椅子に置かれた太郎と敏子さんの写真が来訪者を迎えてくれる。
画家のアトリエを目にすることが出来るのはとても貴重。
太郎が瞬間の思いを絵に託したその作品が多く並ぶ。
現在は「明日の神話」に原発事故を連想させる絵を貼りつけたアート集団に
岡本敏子さんの甥であり、記念館の館長である平野暁臣氏の理解によりコラボレーションを開催中。
アトリエにはピアノも据えられている。
太郎はピアノも得意だった。作業の合間に弾いていたのだろうか。
記念館を入るとすぐに目につく「若い太陽」と
「坐ることを拒む椅子」
(右)「歓喜」の鐘
太郎が両手でこの鐘を叩いていたシーンは印象的だった。
「午後の日」
力強くも天真爛漫な表情。
太郎の墓地も同じモチーフが使われている。
(右)「犬の植木鉢」
庭に植えられた植物も個性的で大胆。
そんな中で振り向くようにこちらを見ていた。
「海の門」
スチールで造られたオブジェ。
水が揺らぐような動き。
(右) 「めばえ」
ひときわ高いオブジェに芭蕉の花。
太郎の息吹きが迫ってくるようだった。
異彩を放った岡本太郎の空気を室内でも庭でも感じられる記念館。
幼い時から生きることについて考えていたという太郎。
そして独自の道を切り開いた生き方。
ここに来ると、既成概念が足元からゆらぐような太郎の情熱と
生きざまを感じてしまうのだ。
この日も人がひっきりなしに訪れていた。
撮影可能という記念館の配慮も親切。