日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

宇野亞喜良×山本タカト挿絵版 泉鏡花の『天守物語』 

2016-08-31 | 宇野亜喜良

泉鏡花の『天守物語』が初めて出版されてから来年で100年になるという。
それを記念して、宇野さんと山本タカトさんのコラボにより、幽玄、耽美な本が発売された。

白鷺城の天守閣に住む美貌の富姫(妖怪)と、若き鷹匠姫川図書之助の
異界と現世を超えた幻想的な恋の物語を
日本語と英語版で1冊に仕上げられている。

限定600部の特装版は水色に金の模様が華麗。




英語版の宇野亞喜良さんの表紙と、日本語版の山本タカトさんの表紙
 


宇野さんの挿絵 「帰したくなくなった」
天守は幽界。そこに生きた人間が来ることは許されない。再び天守へ上がってきた図書之助に恋をした富姫はこう言った。



3日前の8月28日(日)に新宿の紀伊国屋書店で、宇野亞喜良さんと山本タカトさんによるサイン会があった。
同時にお二人から直接サインをいただける贅沢な時間。
場内には原画も展示されていて、
その妖艶さに、外へ出ても自分が浮遊しているような感覚だった。

山本タカトさんの本は以前に購入した『南総里見八犬伝』でも
多くの挿絵から物語がより深く入ってきた記憶がある。数々の挿絵からただよう妖気が忘れがたい。


宇野さんの香水「帰したくなくなった」
本と同じ内容からネーミングもすてきなイランイランをベースにしたさわやかな香り。


麻布十番まつり2016

2016-08-28 | 宇野亜喜良

昨日と今日の2日間、恒例の麻布十番まつり。
昨日行ったが雨の土曜日だったので傘をさして商店街を歩くことになった。

青い色調が涼しげな宇野さんが描いた今年のうちわ。裏側は「マジョリ画」の絵。



今年のデザインは、十番のパティオに設置されている
「赤い靴」の女の子をイメージした絵なのだという。
アメリカに行けず、十番の孤児院で亡くなった実際にいた少女の話。 

宇野さんは、そんな少女に赤い靴をはかせ
波止場からアメリカに行くことになった少女を描いた。
夢が叶えられた少女が振るハンカチは、青空の下、晴れやかになびいている。

各商店に貼られているポスターと、柱ごとに下げられている麻布十番まつりの旗
 

今年の十番まつりのTシャツ。

宇野亜喜良さんのオードコロン Angelic

2016-08-23 | 宇野亜喜良

今から25年前の1991年に発売された宇野さんの香水、
「Angelic/ アンジェリック」
青山にあるギャラリー・スペースユイで
5人のアーティストが香水のデザインをする企画展があった。
その時に購入した貴重で大切なオーデコロン。



閉じたまぶたに夢がめぐっているような天使の顔。
そして、いにしえの時を思わせる小さな羽と花の浮き彫り。


キュートなおしゃれ本 金子國義 『スタイルブック』

2016-08-09 | 絵画

ピンクの装丁本を開けば金子國義さんの45枚の絵とともに
生前に遺した言葉が1ページごとに掲載され、いつしか美の道へと導かれる本。



金子さんは昨年3月に亡くなったが存命ならば
今年の7月23日でちょうど80歳。
その記念として刊行されたこの「スタイルブック」は
身につけるべき美は何を知らなければならないかを
金子さんの精神から学べる麗しのバイブル。
 
カバーをはずすと表紙に「エリザベート」の絵が。




そして「金子國義生誕80周年記念展」が
恵比寿の LIBRAIRIE6/シス書店で開催されている。
本はここで購入した。


ギャラリーには油絵をはじめ、金子さんの部屋にあったバンビのぬいぐるみ、
中村勘九郎襲名披露の口上の舞台美術をデザインしたスケッチ、
また、中央のガラスケースには
特装本の「不思議の国のアリス」がリトグラフとともに展示。
 
静謐なギャラリーで見る金子さんの世界。
それは悦楽とエレガントにみちたアートの異世界でもあった。
 
「金子國義生誕80周年記念展」は8/21(日)まで

輝き続けるモデル カルメン・デロルフィチェ

2016-08-03 | アート・文化

可憐な少女がパラソルをさしているこの写真。
モデルは誰なのかわからないまま素敵な写真なので保存しておいた。
又かなり昔なので、どの雑誌から切り抜いたのかも覚えていなかった。



だがこの少女が、一昨年にネットで話題になっていたモデルの
「Carmen Dell'Orefice/カルメン・デロルフィチェ」だと初めて知った。 

写真の左下に、「C BEATON/1946」と書かれている。
英国王室やファッションの写真家でもあったセシル・ビートンが1946年に撮影した写真だった。

カルメン・デロルフィチェは1931年、ニューヨーク生まれ。
15歳の時にスカウトされてモデルになった。
今年85歳のいまだに現役のモデルで、業界でもカリスマ的存在だという。
 
下の写真は82歳の時のカルメン。
80代!上の写真が15歳。あの時から多くの月日が経っているのに
奇跡ともいえる美しさだ。
トレードマークでもある白髪は「スノー・ホワイト」と呼ばれているのだとか。
 

80代であっても失われない美貌と洗練さから放たれるオーラは
多くの人々にインスピレーションを与えられるミューズともいうべき
女性だといえるかも知れない。

下の2枚の写真は他サイト様からお借りしました。
左 http://theredlist.com/wiki-2-24-525-528-721-view-1950s-4-profile-carmen-dell-orefice.html
右 http://fashiondollchronicles.blogspot.jp/2014/05/carmen-dellorefice-as-fashion-doll-by.html