日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

「屏風にあそぶ春のしつらえ」展 泉屋博古館

2017-04-29 | アート・文化

 六本木1丁目にある泉屋博古館(せんおくはくこかん)で開催中の
「屏風にあそぶ春のしつらえ」展。
華やかな春を、工芸品や絵画で楽しむ季節の美術展だった。

今回の見所ともいえる作品、「二条城行幸図屏風」は圧巻の作で
第108代の後水尾天皇(ごみずのおてんのう)が三代将軍・徳川家光の招きに応じて
二条城に行幸する様子を描いた屏風。

上段に後水尾天皇と中宮和子(まさこ)ら公家の一行が二条城に向かい
下段は徳川家光ら一行が天皇を迎える構図が描かれている。

そしてその行幸を沿道で見物する人物が生き生きと描かれていて
おしゃべりをしたり、酒に酔ったり、喧嘩したり母親が子供を引っぱったり…と
パレードを見るようなにぎわいだ。
民衆はさまざまな階級で装いが違い、細かい描写は驚くばかりで
この屏風に描かれている人数は3200名という膨大な数。(作者不明)


四季草花図屏風 伊年印 江戸時代17-18世紀

春夏秋冬の草花が60種類ほど描かれた屏風。
解説にはそれぞれの名前が紹介されていた。

桜図 菊池容斎 弘化4年(1847)

描かれた桜は当時の上野寛永寺の桜だという。
ほんのりと染まる桜が全体を覆う淡い春の情景。

十二月美人(四月 郭公) 上島鳳山 明治42年(1909)

安土桃山時代の美人だろうか。
書をしたためている手を休め、聞こえてくるカッコウのさえずりに耳を傾けている。

ラナンキュラスの変わり種 モロッコセティ

2017-04-26 | Flower

春の花、ラナンキュラスの種類も数年前から多様な姿を見せている。
花びらがクルクルと絞り込んだ「モロッコセティ」。
異様な感じもするけれど
それだけにイメージが広がりやすい魅力を放つ。

 

使用した花材
モロッコセティ、バンダ、オンシジューム、バオモユリ、バラ、モルセラ、えんどう豆、


古賀春江のポストカード 「女のまわり」

2017-04-16 | 絵画

ノスタルジーとモダニズムを感じるこの絵を見た時に
初めて知った画家の「古賀春江」という名前。

日本髪に、松や鳥居を染め抜いた晴れ着を着た女性に
上空から見た景色やスポーツの様子、そして鳥かご、かもめなどが描かれている。
この作品、「女のまわり」は1930年(昭和5)に描かれた。
つながりを持たない不思議。
コラージュの手法は思いがけない新鮮さにとって代わる。

古賀春江(1895-1933)は大正から昭和にかけて活躍した画家で
福岡県のお寺の長男として誕生。
1912年、17歳の時に上京。シュルレアリスムの画家として位置づけられた。
脳の病がもとで1933年(昭和8)、38歳という若さでいのちを散らしている。

カタログを取り寄せて彼の作品を見ると
キュビズムの手法を取り入れ、パウル・クレーから影響を受けながらも、
この頃発達しつつあった科学や、他の西洋絵画の影響も受けたという。
また、絵画だけにとどまらず、本の表紙、広告やポスターのデザインも手がけている。

終生ノートを離さず病床の時さえ詩を書いていたという古賀春江。
パズルのように断片的にモチーフを組み合わせ、
1枚の作品とした牧歌的な絵や
未来を感じさせる絵にも彼の詩情がただよっているようだ。
 
下の2枚はカタログから

素朴な月夜 1929年


窓外の化粧 1930年

桜 名残りを惜しんで

2017-04-13 | Flower

地域によって異なるが、この辺りはそろそろ桜が散り始めた。
少女が散るひとひらの花びらを追って手につかむ。それも春の風景。

濃淡の色の美しさ。神の手によって彩られたような。



散った桜が池の隅に身を寄せるように。


いま咲く桜

2017-04-06 | Flower

夢見草という別名を持つ桜。
短い間にこれほど人々を熱狂させる花もない。
桜は霞になり、ヴェールになり、人を吸い込む洞となって
つかのま、人々を春の酔いに誘う。