日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

デザイナー芹沢銈介の世界展 日本橋高島屋

2014-09-30 | アート・文化

民芸と出会い、自己の道を見い出して生活用品を美に高めた芹沢介の創作作品を見てきた。
デザイナーであり人間国宝でもある芹沢銈介の生誕120年の今年、
多くの作品をとおして「手仕事の普段使い」にある造形の自由と美意識を見た思いがした。
現在は横浜高島屋で10/6(月)まで開催 

下のチラシに描かれているのは「いろは文六曲屏風
のびやかな字にその音から始まる絵がそのそばに。「に」は、にわとり、「ち」なら茶碗という具合に。
謎解きをするように字と絵を見比べる楽しさにあふれている。



民芸運動の柳宗悦(やなぎむねよし)の「工藝の道」に感銘、そして沖縄への旅で紅型に出会い、
自分の道が明確になった芹沢は以後、自分の紅型を追求していく。
その創作は多岐にわたり、あふれるようなイメージから作り上げた作品は芹沢工芸になっていった。

(上) 「縮緬地型絵染着物」より
(下) 「型絵染筆彩着物」(着物型のカード)



着物のデザインは紅型のほかに、いろは文字やひとつのモチーフを連続させたものが多く
その斬新なデザインは、着物の概念をはるかに超えた美術品ともいえる。
中でもフランスの画家・バルテュスを感動させた赤地に鯛文様の着物は、大胆な構図と力強さが意表を突く。

下は「風の字文のれん
白い丸型の中に「風」の文字を藍の濃淡で。
1976年、フランス国立グラン・パレ美術館で開かれた「芹沢介展」では
この図柄と同じ壁掛けを元にしたポスターがパリの300カ所に飾られた。



デザインの型を切り抜き、染めに至るまで芹沢自身がすべて手作業で行った作品は
日本の春夏秋冬を取り入れ、多彩な表現によって
生活を快適にする術を残したデザイナーであったことを多くの作品から感じることが出来た。

  図案という「空」なものではなく具体的な「もの」に自分を見出したい (芹沢銈介)


室町コレドで「アートアクアリウム2014」 中央区日本橋

2014-09-24 | まち歩き

私たちに馴染みの深い金魚で「涼しさ」と「日本の美」をテーマにした水中アートが室町コレドで開催されていた。
優美に泳ぐ金魚の「宴」は多くの人々を魅了した。

巨大な金魚鉢といくつかの透明な金魚鉢が並び、照明の入れ替わりで幻想的な演出


地球を模した球体の中をゆったりと。


屏風に泳ぐ金魚。マッピングで四季の様子が次々と変わる映像は、江戸の夏から変わらぬ風情を思わせた。人気の高かったコーナー。


空想百貨博物館 新宿伊勢丹

2014-09-16 | 宇野亜喜良

会期はもう終わったが宇野亜喜良さんが手掛けた「空想百貨博物館」の装飾を見に行った。
伊勢丹のショーウィンドーを6つの部屋と想定し、
少女たちの性格も6種に分けて
宇野さん描く絵とディスプレーとのコラボレーションで飾られていた。

展示を示す全体のショーウィンドー


room1 「寡黙類」 部屋で何かを考え込んでいるように1日を過ごす類


room2 「多忙類」 効率を考えながら常に動き回っている類


room3 「潔癖類」 自分と周囲を浄化しながら生きる類
 

room4 「友愛類」 他者を積極的に受け入れ繋がりを重んじる類


room5 「虚無類」 内部は空洞。不確かさの中をただよう類


room6 「夢想類」 夢見がちでこの世のものではない物を好む類



伊勢丹の店内でも床や柱に宇野さんのイラストでいっぱい。
撮影禁止なので記憶にだけとどめた。
伊勢丹前はきわめて人通りの多い場所だが
ショーウィンドーに目をやれば、宇野さんの物憂げで神秘な少女がたちが静かに存在していた。


青もいいね

2014-09-03 | こけし

2s_yasuhirosan



今年の4月に原宿のBEAMSで購入した
遠刈田系の佐藤康弘工人のこけし。4寸 

インディゴブルーを着たこけしは色々あり
他に柄違いで2本連れて帰ったが
このぼかしも涼しげで気に入っている。

このすまし顔と胴体のバランスが何とも可愛らしく
童話に出てくる少女がこけしになったようだ。