デンマークの画家ヴィルヘルム・ハマスホイの絵画展を昨年から待ちわびていた。
感想が今頃になってしまったが、開幕翌日の1月22日に見に行った。
上のフライヤーの絵は
「背を向けた若い女性のいる室内」1903~04年。
ハマスホイの代表作で、
額縁と、蓋が閉じられたピアノの上に置かれたパンチボール、
そして背を向けたの女性の三位一体のような調和と画家のまなざしを感じた。
「画家と妻の肖像」1892年
1891年に画家仲間のイーダと結婚したハマスホイ。
以後、室内画に登場するモデルとして欠かせない存在であった。
「クレスチャンスボー宮廷礼拝堂」1910年
沈んだ色彩にただよう瞑想的で詩情あふれる礼拝堂。
「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」1910年
両開きの扉の向こうでイーダがピアノを弾いている。
イーダはピアノが得意だったようだという。
「カード・テーブルと鉢植えのある室内、ブレズゲーゼ25番地」1910~11年
ハマスホイ晩年の作品。
限られた色彩と簡素な設えが生む造形美。
ハマスホイが描くグレートーンの室内は静まりかえり
ストイックでありながら、わずかな光による陰影の美が心に残った。
この展示会ではハマスホイの作品以外に
デンマークの「黄金時代」と呼ばれた当時の作家たちの絵も展示されていた。
「きよしこの夜」ヴィゴ・ヨハンセン 1891年
19世紀末のデンマーク絵画を代表する作品のひとつ。
ヒュゲ (心地良い、くつろいだ) の様子を
輝くツリーを囲んで母と子や友人たちが歌い踊る団らんを描いた温かな作品。
「夕暮れ」ユーリウス・ポウルスン 1893年
はっきりとした輪郭はなく全体がぼやけ
たそがれる光が揺れてゆくような旅情的な風景。
ハマスホイの作品の展示が思ったより少なかったが
描いたのは日常の部屋なのに圧倒的な印象で迫り
研ぎ澄まされた空気感は
慎み深く、まるで沈黙しているかのようだった。
2016年に公開された映画「リリーのすべて」の画像は
ハマスホイの絵画からインスピレーションを得て色彩が決められた。
1月21日(火)から始まり3月26日(木)までの会期だったが
コロナウイルスのため3月13日(金)で閉幕している。
ハマスホイ展のロビーで