日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

映画 リリーのすべて

2016-03-30 | 映画

今から約80年前に実在したリリー・エルベの実話をもとに
トム・フーバー監督が映画化した作品。
当時はまだ理解されない性同一障害に苦しんだリリーを
感動的なまでに支えた妻ゲルダの深い愛によって
リリーとなって生きることが出来た生涯を描いている。

 

1928年、デンマーク。
風景画家のアイナーと肖像画家で、アイナーの妻・ゲルダは
お互いに絵を描いて生活をする仲睦まじい夫婦だった。
ある日、ゲルダから急遽モデルを頼まれたアイナーは
靴下をはき、白いドレスを当てた時、
自分の中に潜んでいた女性に目覚め、うちふるえるのを感じた。

アイナーは密かに女性の服を身に着け
娼婦館に行って女性のしぐさまで研究して次第に
「女性リリー」に近づいていく。

ある日アイナーが男性とキスをしているのを見たゲルダは
彼を問い詰めるが
リリーとして生きたいアイナーの思いは揺るぎないものになってしまった。
ゲルダの苦悩は深く、「アイナーに会いたい」と、リリーに訴える。
また自分の体と心が一致しないリリーの心も葛藤に苦しんでいた。

しかしリリーは妻に対して変わらずに優しく接していたし
ゲルダもリリーを理解するようになり、
共に試練の道を歩いていくようになった。

リリーは女性になるために
まだ誰も試みていない困難な適合手術をうけるためドイツへ向かう。
笑顔で見送るゲルダ。
しかし二度目の手術は成功せず、ゲルダに見守られてリリーは天国へと旅立った。

予告編でこの作品を知り、ぜひ見たいと思っていた。
監督は「レ・ミゼラブル」「英国王のスピーチ」などを手がけたトム・フーバー監督。
主演はエディ・レッドメイン、その妻ゲルダにアリシア・ヴィキャンデルが演じた。
画像は絵画のようであり、当時のデンマークの画家、ヴィルヘルム・ハンマースホイの作品から
フィーチャーして製作された。

実際にスクリーンで見ると、やはり秘められたものを
見るようでドキドキしたが
本当の自分になるため、次第にリリーとなっていくアイナーの
ひたむきさは悲哀を感じ、涙をさそう。
そして未亡人となった妻ゲルダは生涯リリーの絵を描き続けたという。


コクトーの SEYEI 社の皿 

2016-03-26 | Jean Cocteau

1963年(昭和37)10月~翌1964年2月までの半年間に、
SEYEI 社(大阪市東住吉区)で製造されて毎月1枚ずつ発売されたジャン・コクトーの皿。
パンフレットによるとA~Cコースまであり
Cコースのみ10か月の配布だったという。
したがってお皿のデザインは全部で10通りあったようだ。



昭和37年といえばまだ畳の部屋が多かった時代。
コクトーのモダンで簡潔なデッサンは新風を吹き込んだことと思う。

我が家はドアの横に縦3枚に飾り、時々デザインの違うものに取り替えている。
 

お皿の裏にはコクトーの詩句がそれぞれ書かれていて、
いかにも詩人のエスプリがきいているプレートだ。
展覧会などで記念に発売されるプレートはあるが
1960年代、SEYEI 社はシリーズでコクトーの様々な陶器を製造していた。

コクトーの絵皿(SEIEI社)に関する過去の記事
http://blog.goo.ne.jp/runcocteau/e/3b4b91c58fec17a00d456f8077f1c0a7


黄色 、春に染まれよと

2016-03-16 | Flower

 

春になるとひときわ輝き出す黄色の花。
黄色の中でも、淡いクリーム色は心安らぐ思いを代弁しているかのようだ。
気温は一度暖かくなり、その後荒れた春ではあったが
ようやく空も土も暖かさを増していく。

使用した花
左 チューリップ、ラナンキュラス、ガーベラ、アルストロメリア、かすみ草、レモンリーフ
右 チューリップ、バラ、ヒヤシンス、カーネーションのはなびら、苔
  (右の写真は過去の記事に載せたがカテゴリーの都合上こちらに再度UP)


をかし愛らし 宇野亞喜良展  新宿伊勢丹

2016-03-12 | 宇野亜喜良

今月の15日(火)まで伊勢丹5階のアート&フレームコーナーで
宇野さんの個展が開かれている。



今回の個展はテーマがあり、日本文学で使われる言葉「をかし」に
インスパイアされた少女たちが飾られている。

「をかし」とは、美しい、趣がある、風情がある、優れている、など
情緒的なことに使う言葉だが
宇野さんの少女には、儚きもの、妖しい、危うい、など
もっと多くの言葉が「をかし」の中に秘められているような気がする。

どの少女も、どこからか姿を現し、そっと額の中に入ったようにはかなげ。


芭蕉の葉が乱舞する岡本太郎記念館の庭

2016-03-08 | 絵画

青山という都会の中、南国の植物が岡本太郎の作品と
一体となっている庭は、太郎が好んだ自然のままの、そして不思議なほど
引き寄せられる庭でもある。

入ってすぐ右にある巨大なオブジェ「樹人」と、顔が重なった「めばえ」
 


前の記事にも載せたが、お馴染みの「若い太陽」と「歓喜」の鐘。

庭に出た人は皆この鐘を叩いている。
太郎もそうしてくれるのを喜んでいるような。


2階から見た「乙女像」
後ろに茂る芭蕉の葉もオブジェのように圧倒的。



飛び立たんとするかのような群像は「母の塔」、そして横顔は「月の顔」。
 


シダが植えられた「歓び」と、角がある「動物」が「河童像」を見ているようにも見える。
 


顔に手を置いている「若い泉」と、白い顔の「犬の植木鉢」
 


山に見えるけれどタイトルは「あし」。太郎が病の時に自分の足を見て作品にしたという。
前にある4個の陶器は「坐ることを拒否する椅子」。35種類のデザインがあるとか。



左の写真は芭蕉の葉の陰に見える「サカナ」。上に伸びているのは「誇り」か。
大胆にあちこちに広がる芭蕉の葉の様々な表情。
 

 


壺や瓦もここでは自然に溶け込んでいる。
そして石に見えるコンクリート造りのテーブルとイス。奥の長い椅子はモザイク仕様。
 


椰子の仲間らしき木から実がこぼれるように下がっていた。


この庭は太郎が存命中に多くの芸術家、建築家、音楽家、デザイナーや
文筆家などが訪れ、激論を交わしたのだという。
ジャンルを問わず芸術を解した太郎がここに訪れる人を待つ庭。
芭蕉の葉のおおらかさもこの庭で作品とともに太郎の表情を創り出している。

館内に設置されているビデオで、太郎がピアノを弾いている姿を見ることが出来た。
エレガントで大きなエネルギーを秘めていた太郎の深さを感じた記念館。

画像は先月、2月13日と25日の撮影。


宇野亜喜良さんのアリスで紅茶の時間を

2016-03-06 | 宇野亜喜良



六本木の「Tea Please」から発売されている紅茶が
宇野亜喜良さんの描いたアリスの絵で、そばにはチェシャ猫も描かれている。
黒いワンピースのアリスは
ティカップを手にゆっくりとお茶の時間を過ごしている。

紅茶の種類によってラベルの色が違い、
それぞれの味をレモンやミルクで楽しんでみる。
ショップカードとお店のパンフレットも宇野さんのアリスという
うれしさ。