日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

函館の坂道

2015-10-29 | まち歩き

函館の街は多くの坂があり、特に元町あたりは異国のような風景の中、
どの坂道を歩いてもそれぞれの表情を見せている。

観光をしていると必ず通るいくつかの坂道。
元町に坂が多くなったのは1879年(明治12)以降で
度重なる大火のため道幅を広くし、類焼を防ぐ防火帯の役割も担って整備したという。

基坂(もといざか)
街づくりの基点となった坂で、坂の下に距離を測る元標が立てられていた。
花壇もあり木々も美しい坂道。
 

日和坂
函館山を見上げながら歩いた坂道。
テレビの「ブラタモリ」でタモリさんもここを歩いていた。
元の坂は街灯の左側あたりだったと番組で知った。


八幡坂
函館を象徴する有名な坂道で、ドラマやCMなどでも馴染みが深い。
港を見下ろすと青函連絡船の摩周丸が停泊している。
かつて坂下に八幡宮があったことから名付けられた。坂の上は撮影の人が途切れなく続いていた。
 

大三坂
「日本の道100選」に選定されている道で、江戸時代に大三印義兵衛という
郷宿があったことに由来する。
ナナカマドの木が並ぶ石畳の道は静かで人を包むような風景だった。
  

チャチャ登り
教会に通じる坂道。チャチャは「おじいさん」の意味で
腰を曲げて登るほど急な坂ということに由来する。息が切れた。


護国神社坂
赤い鳥居が護国神社の入り口で山の緑に鳥居がひときわ映えている。
函館を発展させた淡路島出身の廻船業・高田屋嘉兵衛の像がある坂道でもある。
 

写真を撮りそびれたが他に「二十間坂」「南部坂」「谷地坂」なども。
大きな坂やひっそりとした坂など、いくつもの坂道が函館の街を形作っている。


函館市旧イギリス領事館 函館市元町

2015-10-28 | 近代建築

国際貿易港として開港した函館。
旧イギリス領事館も、旧函館区公会堂と同じ1859年(安政6)に元町に開設した。
数回の火事に見舞われた領事館だが
当時から変わらずにユニオンジャックの旗は函館の空にゆれている。

1913年(大正2)に竣工した領事館はコロニアル様式のレンガ造りで
瓦吹き屋根を採用した和洋折衷の建築構造。

設計はイギリス政府工務省
1979年(昭和54)に函館市の有形文化財に指定された。

当時を再現した領事執務室。
函館港を見るリチャード・ユースデン領事が復元されている。


現在も使用できるという会議室。


家族の居室。
ユースデン夫人の功績なども紹介されている。


函館ハイカラスクエア
観光地などでよく見かける人型パネルだが、モノクロの壁から顔を当て、
横の穴でカメラを設置すると
向かいにカラーの仕上がりが見え、そのまま写真になるという仕組み。
今はどこでもこの人型パネルがあり、人気があるが
ここのハイカラスクエアは思いがけないアイディアでハイライトともいえる場所だった。
 

函館は多くの坂がある街。
旧函館区公会堂とイギリス領事館が建つ基坂(もといざか)は
街づくりの基点となった坂。
美しく整備された基坂に黄金色の陽ざしがそそいでいた。


旧函館区公会堂 函館市元町

2015-10-23 | 近代建築

幕末、ペリーが函館に来航したのは1854年(嘉永7)だった。
その5年後の、1859年(安政6)に下田・長崎ととともに
箱館(現在の函館)は開港した。
この開港によって函館は人口も増え、異国文化の街へと変わっていった。
今月の上旬、その面影が残る函館を観光した。

元町の基坂(もといざか)から函館山を見上げると
そのふもとに建つ旧函館区公会堂が目を引く。
明快なブルーとイエローの色彩、シンメトリー様式がひときわ華麗な建物だ。

1907年(明治40)の大火で町の復興を果たさなければならなかった函館だが
この区公会堂は当時の5万8千円という巨額な費用にによって建てられたという。
そのうちの5万円は豪商の相馬哲平が出資した。

その後、何度か修復をかさねて現在のすがたになったが、
焼けた函館の再興のために惜しみない情熱をかけた相馬哲平によってそのすがたを今にとどめている。
設計は小西朝次郎氏
1974年(昭和49)に国の重要文化財に指定された。

大食堂(1階)
当時の洋風建築では天井は部屋の格に合わせて作られるほど重視されるものだったという。
木材が縦、横、斜めと組み合わされている。


応接室(1階)


貴賓室(1階)
明治44年に大正天皇、大正11年に昭和天皇が行幸の際に使用された部屋。
壁や天井は英国製の壁紙、椅子の布地はすべて絹が使用されている。


貴賓室の折上式天井の飾り。
シャンデリアはアカンサスの花をモチーフにデザインされている。
円形の中心飾りも花の優雅さが彫刻されているように立体的。


大広間(2階)
中央奥に演壇がありピアノ演奏などが出来るこの大広間は
畳260枚分という広さで、窓も多くとても明るい。床が鏡のよう。


中央バルコニー(2階)
函館港を見渡せるバルコニーは開放感と季節を味わえる場所。
左右へと広がっていくような手すりが柱とともにアクセントを添えている。