渋谷の裏通り。ハリスギャラリーで
「寺山修司と宇野亜喜良のコラボレーションによる作品展」が開かれていた。
自分の前から流れていった時間。
あの頃見た覚えがある宇野さんの絵がポスターや
「フォアレディース」に描かれたイラストの原画を前に、
寺山修司との仕事で多くの感動にふるえた少女たちがいたことを思い出した。
退廃とメランコリック、そして少しばかりセンチメンタルな宇野さんのイラストは、
70年代から変わらずに今も胸をときめかせる。
寺山修司は月よりも遠くへ行ってしまった。
でも、寺山の亡き後も宇野さんは彼の作品に装丁をしている。
今も寺山が生きているかのように。
「ひとりぼっちのあなたに」
ふたりが出会った最初の作品。
新書館フォアレディースの第1号。
タイトルにひかれ購入し、家に帰って一気に読んだ。
寺山の新しいことばに詩ごころを刺激され
物憂げなイラストはまだ知らなかった時代を見た思いがした。
「ひとりぼっちのあなたに」より。
このページの原画も展示されていた。
ポスター、チラシ、チケットなど当時のデザインは
二度と同じものが現れない自由さがある。
60~70年代の、ある熱をおびていたひとつの時代があった。