わたしもまた、当然のこととして画布の沈黙に、画布が表している沈黙の絆に、
そしてあなたの主人公たちの沈黙に注目したのでした。
日本の或る魚が私に想いつかせます……その魚のようにあなたは宇宙のなかで
活�晩に動いているようにみえますが、宇宙はたいそう感じやすいものだから、
もしそれがフェルトを詰めたものでなかったら、
あらゆる衝撃は雷鳴のように轟いてしまうことでしょう。
ジャン・ジュネ(小説家・劇作家)
わたしもまた、当然のこととして画布の沈黙に、画布が表している沈黙の絆に、
そしてあなたの主人公たちの沈黙に注目したのでした。
日本の或る魚が私に想いつかせます……その魚のようにあなたは宇宙のなかで
活�晩に動いているようにみえますが、宇宙はたいそう感じやすいものだから、
もしそれがフェルトを詰めたものでなかったら、
あらゆる衝撃は雷鳴のように轟いてしまうことでしょう。
ジャン・ジュネ(小説家・劇作家)
辻村ジュサブロー(寿三郎)の人形芝居で、泉鏡花の「海神別荘」が1980年、銀座・博品館劇場で上演された。
鏡花に運命的なものを感じているというジュサブローの脚本、演出、美術により、人形に鏡花のいのちが吹き込まれた舞台となった。
磯の千鳥は 舞うのである
ゆったりと浪にも誘はれず
風にも乗らず ひと処を
今宵は海底の琅釦殿(ろうかんでん)へ、陸から美女が輿入れの日。
美女の父は娘を公子へ嫁がせることを条件に金銀財宝を受け取り、娘を海底に捧げた。
輿入れの様子は海底の魔鏡に写しだされ、公子はそれを見ながら家臣と人間界の話をする。
八百屋お七の火刑では、お七は愛の想いを遂げて本望のはず、なぜそれが刑罰なのかと公子は言う。
やがて琅釦殿へ到着した美女は、公子から贈られた宝玉で飾った自分の姿を
死んだと思っている父親や村人に見せたいので陸へあがらせて欲しいと懇願する。
「もうあなたは人間ではない。蛇身なのだ。あなたは栄耀が見せたいのだな。
人は自己、自分で満足せねばならん。人に価値をつけさせてそれに従うべきではない」と論するが、
聞き入れない美女は陸にあがる。
そこで見たものは、公子から贈られた財宝で新しい家を建て
、妾と暮らす浅ましい父の姿。
そして、自分の娘と知らず蛇を見た父親や、村人は自分を殺そうとする。
悲しみで海底へ戻ってきた美女に「悲しむ者は殺す」と言い放つ。
ついに公子の心を知った美女が言う。
「私を斬(き)る、私を殺す、その、顔のお綺麗さ、気高さ、美しさ、目の清(すず)しさ
、眉の勇ましさ。はじめて見ました、位の高さ、品の可(よ)さ。もう、故郷も何も忘れました。早く殺して。」
美女がこう言った瞬間、人間が持つおろかな精神が消えた。
刃の痛みなく、公子の高潔な精神によって美女は生まれかわったのだ。同じ心になった二人は永遠の愛を誓う。
舞台の最後に登場する雛壇。雛とは哀しみであり苦しみである。
人間のすべての「かげり」を形にしたもの。それを祝い、流すことによって生きる詫びをしているのです。(辻村ジュサブロー)
さぁ いつの頃か 人は雛を流しける
辻村ジュサブローは、この作品で文化庁芸術祭演劇部門で美術賞を受賞している。
鏡花の世界を作りあげた舞台には、ジュサブローのほか11人の人形遣いによって演じられた。
その中には若き日の堀浩史も参加している。
声の出演、平幹二朗(公子)、吉田日出子(美女)、坂本長利(僧都そうず)、阿部寿美子(語り、女房、侍女)
また、場面に合わせた音楽効果も注目に値するものであった。
♪YOUGBLOOD(WAR) プロローグの美女輿入れのシーン
♪天国と地獄(VANGELIS) 美女が陸から海底へ戻る場面と、ラストでふたりが結ばれるシーン
自らの信念を貫き通し、フィニの中で醸成された夢幻や神秘は時間から浮遊した美意識として絵画に映し出される。
そこには「フィニ」という圧倒的な存在感があり、不思議な異空間へ導かれるような、
あるいは落ちてしまいそうな錯覚すら感じる。
謎めいた神話のような絵はフィニ自身でもあり、腐敗に美を、光に闇を閉じ込めて、見る者に謎を投げかけてくる。
そのイメージは夢の断片であり、時空を超えたドラマを見る思いがする。
MEMO◆レオノール・フィニの作品には著作権が発生する為、写真はカタログから引用した。
Leonor Fini(講談社)より
左 泉を守護する女(1967年)
右上 大いなる川渡り 一部分(1977年)
右下 赤い卵を守護する女(1954年)
以前、切手を収集していた頃にお世話になった方からこの封筒が届いた。
1960年に国連が発行した「難民救済」の初日カバーでジャン・コクトーのカシェがある封筒に、
難民が描かれたベルギー切手が3枚貼られている。
1959年~1960年は国連で決議された世界難民年であった。
MEMO◆初日カバー…切手が発行される日に切手を封筒に貼り、発行日の消印を押したものを初日カバーという。カシェは封筒に描かれた絵のこと。
昨日、初詣に行った赤坂の山王日枝神社。
ビル街の中心に、神社へ向かう大きな階段と鳥居が見えてくる。
鳥居は神界と人間界の境であり、「通り入る」から名づけられたといわれる。
日枝神社の鳥居の様式は「山王鳥居」といい、笠木(上部)に合掌の形が備えつけられている。
日枝神社の守り神は猿(申)で、 猿は 「魔が去る」といわれ、
厄除け、農耕の神として古くから愛されてきた。
参拝者が多いため、拝礼する鈴は 13個つけられていたが、鈴は魔除けの霊力がある とされてきた。
元旦から三日までは、拝殿横の仮説の舞台で、参拝者が購入した破魔矢を舞姫が預かり、
開運招福の舞を奉仕してくれる。
舞姫の装束 は、松と鶴の 文様。右手に神楽鈴を持って舞う。
あけましておめでとうございます
ここへ訪問してくださる皆様、どうもありがとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
元旦や上々吉の浅黄色 小林一茶
元朝や車ときめく二重橋 正岡子規
使用した花材◆松、南天の実、ペッパーベリー(白)、水引細工(紅白2点、松1点)