東急東横線の学芸大学駅からほど近い洋菓子店「マッターホーン」
ここのパッケージや包装紙には鈴木信太郎画伯の絵が描かれている。
薔薇の花と女の子の絵はどこかノスタルジックで心なごむ安心感があり、
このようなBOXや包装紙で包んでもらうのがうれしくなるデザインだ。
「マッターホーン」はバームクーヘンが有名だが
写真右のクッキー缶も同じくらいに美味。
店内には喫茶室もあり、ひととき憩えるやさしい雰囲気は
リニューアル以前と少しも変わらない。
鈴木信太郎(1895~1989)
東京・八王子の生糸業の長男として生まれ、黒田清輝に師事したのち織物図案の仕事に就く。
さまざまな賞を受賞し、武蔵野美術大学と多摩美術大学の教授となる。
亡くなる前年の1988年に文化功労者となった。
フランス文学者の鈴木信太郎とは同姓同名。
しかも同い年なのである。
「マッターホーン」のメニューも可愛らしい。
時代の空気が変わろうと、ここだけの一店舗主義を通しているのもうれしい。
マッターホーンのHP
http://matterhorn-tokyo.com/
今日は鎮魂の日。
あれから日本はすっかり変わってしまった。
人間は自然の前では何と非力であることか。
大地震、津波、原発。そして新たな地震の可能性。
東北だけの問題ではないことを実感し、
一日が何事もなかったことに感謝するようになった。
月日は進んでも
人の気持ちは同じようには進まない。
苦悩する人々が少ない日本になることを。
時おり思い出す遠い頃の記憶。
小学4年の頃だったと思う。
クリスチャンの叔母が我が家に3ヶ月ほど滞在していた。
その叔母は日曜日のたびに一緒に私を礼拝に連れて行った。
子供ごころに大きい聖堂内の神聖な空気に圧倒されたが、そこにいた
一人の若い親切な神父さん。フランス人だった。
キリストの生涯や賛美歌の意味などを教示してもらった気がする。
その教会には塔があり、その塔は子供の私にはとても高く見え、
また威厳を誇っているようにそびえていた。
ある日、その神父さんが塔に連れて行ってくれた。
いつも見上げていた塔に登れるうれしさに神父さんは笑顔でうなずき、
下から風が吹き上げる急な螺旋階段を登って行くとき、「気をつけて」と何度も言った。
登りきった上から見た風景。それは私が空に近づいて見下ろしたパノラマの風景であった。
教会へはいつの間にか足が遠のいたけれどその記憶は鮮明である。
そしてこのことを思い出すたび、
様々な親切を受けた神父さんに「ありがとう」と言わずにいられない気持ちでいる。