世田谷文学館に「開店」した「星を賣る店」に行った。
展示されている白い箱に納められた数々の品。
それは記憶の彼方に眠っていたもの、
あるいはクラフト・エヴィング商會が創りだした魔法により
物語のメタファーとなってよみがえってきたかのようだ。
それらは雲砂糖であり、ディナーツアーのチケットであり、
声の棺、夜光繪具のチラシとなって記憶と想像の映像が「物」になって箱に入っている。
実際にあるものと、架空のないものの混合作品は
商品番号が打たれ
私たちは棚卸しの「商品」を夢と現実の迷宮でさまようことができる。
イナガキタルホの小説と同じ名のこの「星を賣る店」では
入場チケットの中央にある小さな星がくり抜かれ
集められた星々も商品となって箱に入っている。
そして次の展示場。
黄昏どきの町の角を曲がったら、ふと現れた書店。
看板を見たら「一角獣書店」とある。
今もどこかの町にあるのか。
それとも半過去の場所にまぎれ込んだのか・・・。
いや、ここは月舟町なのだ。
隣はオルゴールの音色のように文字を紡ぎだすクラフト・エヴィング商會の創造の作業室。
クラフト・エヴィング商會の吉田浩美・吉田篤弘夫妻が手がけた著作・装幀本のコーナーでは
異次元の夢を求める人のもとへ、本が羽根を借りて今にも翔び立たたんとするかのように並んでいた。
1月25日(土)~3月30日(日)まで