日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

曇り空…も必要

2011-11-28 | 日常

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空は一日くもり空。
ペーパーレースやランチマットなどを整理してみた。

少し黄ばんでしまったペーパーレース。
小さな花器にちぎりながら遊んでみる。
靄のような雲のような。

抜けるような青空はうれしい。
けれど四季は色々。
今日のような曇り空があってもいい。

紙を相手にしているうち空の灰色が少し明るくなった。


手帖にイメージを与えられて

2011-11-24 | 日常

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造りかたが気に入って青山の「オンサンデーズ」で購入した手帳。
表紙を開くと白い羽根がはさんであり、後ろにはマリアがイエスを抱いているボッティチェリのカードが
しのばせてある。
そして「秘密ノ手帖」の刻印。
時々中を開いてはこの素晴らしい造りかたを見ていたが手帖はいつも沈黙しているようだった。

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天守物語 篠井英介の幽玄美

2011-11-20 | アート・文化

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泉鏡花作品に篠井英介の富姫で上演された
「天守物語」

白鷺城の天守閣に住むのは人ならぬ妖しの者たち。
その主人である富姫を演じた篠井英介の日本美が見たかった。
蓮の花が大きく描かれた着物姿で黒い舞台に立つ富姫は
魔界に咲く聖なる花のようだ。

姫川図書之助に恋をした富姫は魔界の掟を破って
図書之助を生きたまま下界へ帰した。
下界では彼を裏切り、疑いをかける人間の浅ましさ、愚かさが渦巻いている。
鏡花は人間の愚行を妖しの者の視界から見る。
そして俗を超え、清らかな精神に達したときに得られる愛。
鏡花の到達点はただただ澄んでいる世界だ。

図書之助の平岡裕太は富姫との気高い愛を得るまでの試練を凛々しく演じ、
薄(すすき)の江波杏子の存在感はやはりこの世のものではない。
篠井英介の台詞まわし、所作の美しさは白鷺城の
天守に香る異界の姫。一ファンとしてこの役を見られたことは何よりもうれしい。

舞台はシンプルだが、登場人物によってそこに展開する泉鏡花の幻想譚。
制作のすべてがクオリティの高い舞台を見たこの醍醐味から、まだ少しの間、覚めずにいたい。


酒井抱一と江戸琳派の全貌 千葉市美術館

2011-11-16 | 絵画

酒井抱一の生誕250年を記念して開催された抱一と江戸琳派展。
会期はすでに13日で終わったが平日でも人出は多く、今回の出展のスケールは今後も当分見られない機会であることを再認識した。

酒井抱一は姫路城主・酒井忠以(ただざね)の弟として江戸に生まれ、芸術を愛する家風に育ち、のびやかな青年期を過ごした。
貴公子が画業に注いだ情熱は華やかにして風流、そして優美。

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「夏秋草図屏風」
尾形光琳の<風神雷神図屏風>の裏側に描かれた有名な作品。
右側は夏の草花 雷神は雨をも降らす。雨にぬれた細い葉はたわみ百合はうつむく。
左側は秋の草花 風神の風を受けて葛の葉は左になびき、紅葉した葉が飛んでいく。
表裏一体をなすドラマチックな屏風。
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「四季花鳥図屏風」
金箔に春夏秋冬の植物と鳥たち。
抱一56歳の作品で様式美のように配置された四季の情景は格調高く、その華やぎに圧倒される思いがする。

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上の一部分
地には白鷺が立ち、そばには菖蒲の花や白い小さなおもだかの花が咲く。
そして雪を被った藪柑子(やぶこうじ)と水仙の花に楚々と立つ梅の木。
金箔はまるで植物にそそぐ光のようだ。






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「十二ヶ月花鳥図」
写真は11月の「葦に白鷺図」と12月の「檜に啄木鳥(きつつき)図」
やはり1月から12月まで揃って見られたことは貴重なことであった。
シンプルさがくっきりとした印象。各月の花のそばには鳥や虫も生きている。







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「四季草花螺鈿蒔絵茶箱」
黒の漆地に菊の花やすみれ、土筆、蒲公英などを螺鈿や鉛板で飾られた茶箱。





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「白繻子地紅梅文様描絵小袖」
春を告げる紅梅が身頃いっぱいに広がる打ち掛け。(右の社員)
すそには蒲公英とすみれが咲く。
抱一は染物のデザインもしたが現存が確認されているのはこの打ち掛けだけという。


酒井抱一と江戸琳派の全貌を知るための密度の濃いこの展示会。
一度しか行けなかったが印象に残った作品は数多い。
抱一と画業の楽しみを分かち合った兄・宗雅(忠以の雅号)との合作「夢」は、
字を宗雅、舞う蝶を抱一が描いている。
藩主である兄の字のまわりを抱一の蝶がひらひらと舞っているようだ。印象に残る作品。

江戸琳派を抱一が確立し、鈴木基一をはじめとして受け継がれ、
拡大されて我々が今こうして目にすることが出来る充実の時間であった。


私はこけし うしろまえ

2011-11-08 | こけし

Epuronusiro_2 Epuronmae_2

 

写真は本間直子さん(津軽(温湯)系)の作品で「エプロンこけし」と呼ばれるこけし。
うなじを刈りあげた後姿が本当に可愛い。前髪ぱっつん。


                                こけし

              こけしは
              なんで
              かわいいか

              思う
              おもいを
              言わぬから
                       堀口大學


コケーシカ 鎌倉・長谷

2011-11-06 | こけし

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鎌倉にある「写真家詩人」沼田元氣さんの店
「コケーシカ」

店内にはこけしとマトリョーシカが並びどこにもない乙女の別世界を見るようである。
コケーシカという名前は、
日本のこけしとロシアのマトリョーシカを合わせた名だが、
このふたつの木の人形には深いつながりあるとの
沼田さんの考えのもとで生まれた。
日本でもこけしがどの家にもあったように、
ロシアの家庭にも「幸せな家庭の象徴」としてひとつは飾られているという。



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最初と数日前に行って購入したこけし。うしろにあるのはコケーシカの団扇。

私が物心ついた時は我が家にも
こけしがガラスケースにたくさん並んでいた。
親が集めていたものだが鳴子こけし、津軽こけし、旅先の思い出のこけしなどがひしめいていた。
可愛らしくてケースのそばにいっては眺めていたが、
触りたくなってしまい、
開けては前のほうの小さいこけしを勝手に並べ替えたりしていた。


秋を深く吸い込みたい

2011-11-03 | Flower

 

葉は色づき、日が落ちるのが早い。
秋の風景ではあるが暖かくて肌で季節を感じることが出来ない。

出回っている花で秋を集めたけれど
冷気が流れる山の木や草は今どうしているのだろう。

使用した花
ダリア、カーネーション、クレマチス、ダイアモンドリリー、ダスティミラー、
カール、ゲイラックス、ユーカリ