ジャン・コクトー美術館 MUSEE JEAN COCTEAU は
コートダジュール地域圏のアルプ・マルティーム県の東、マントンにある。
モナコとイタリア・リビエラ地方の中間に位置し、
イタリアとの国境に近い町、レモン祭りの町としても知られている。
マントンは「芸術と歴史都市」に指定された場所であり、
温暖な地としてヴァカンス期にいっそうの別天地と化す町は「フランスの真珠」ともいわれる。
地中海の風に吹かれて建つジャン・コクトー美術館は、17世紀にモナコのオノレⅡ世により
町を守る要塞として建てられたが、いつの頃からか廃墟になったままであった。
晩年のコクトーは教会などの装飾に心血をそそいだが、
この美術館はコクトーが手がけた最後の修復となった。
小さな城砦は、地中海で洗われたといわれる石で
牧神パーンや南フランスの恋人たちのモチーフがかたどられている。
この石の装飾は入口や内部の床にもあり、開放的な雰囲気を与える。
2階の小さな窓から見える地中海の青い海は、詩人が描いた絵のドラマと城砦を永遠にみつめているかのようだ。