日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

常盤の松

2008-12-28 | Flower

松飾りは、歳神(としがみ)に来ていただく目印として、平安時代の後期に庶民の間で始まり
武家社会になってだんだん派手になったといわれる。
歳神に対する感謝として、年棚、恵方棚を新しくして、神酒、鏡餅などで祀る。

Matu1 

松は、「祀る(まつる)」からきているとも、
神が降りてくるのを「待つ」からともいわれる。
常緑であるため、長寿の象徴とされ、常盤の植物として尊ばれた。
松契(まつのちぎり)は長いつきあいを意味する。                     
                                 

花言葉◆不老長寿 



7月のクロマツ
                                                                                                               


写真集「GARDEN」

2008-12-27 | Flower

イギリスの庭園や、自然を色々な人が写した写真から優秀な作品として選ばれた2008年度の写真集。 

  

ファインダーから写し撮る1枚には、自然に生きる動植物や
そこに存在する空気、温度、歴史、そして人と自然が一体となったものまで様々な風景が200枚ほど収められている。
写真の展示は、世界遺産に指定されているイギリスの王立植物園キューガーデンで行われた。
M様 すてきな真心をありがとうございました。


ダイアモンドリリー

2008-12-25 | Flower

 

Dimondliry_3
ダイヤモンドリリーは彼岸花科で学名はネリネ。
ギリシャ神話の水の精Nerine(ネリネ)から名付けられた。

花びらに光が当たるとキラキラ光るためダイヤモンドリリーという美しい名がつけられているが
キラキラするのは花びらの表皮細胞の凹凸によるためである。

初めて日本に入ったのは昭和初期。花びらの先端がねじれているのが原種に近いといわれる。

花言葉◆華やか、すてきな思い出
他に使用した花◆トルコキキョウ


マノン・レスコー アベ・プレボー

2008-12-22 | book

        アベ・プレボオ原作 「 マノン・レスコオ」 久晃堂 刊

アミアンを去る日が決まった。それがもう一日早かったら!私は汚れない身で両親の家へもどれたであろうものを!



学業を優秀な成績で卒業した17歳の若者、シュバリエ・ド・グリューは、明日故郷へ帰るという日に
魅惑的な女性マノン・レスコーと出会ったことにより破滅へ向かい、
マノンを愛するあまり悪に手を染めていく。

マノンはシュバリエを愛しながらも、虚飾の生活が捨てられず三度の不貞でシュバリエを裏切るが、
シュバリエはそれでもなおマノンの愛を得たいがために賭博、詐欺、脱獄を重ねてしまう。

逃亡の果て、砂漠で力尽きたマノンが息絶えて二人の転落は終りを告げる。
シュバリエの行状に苦悩した父はすでにこの世にない。
どんな時にも理解を示してくれた友の救いで物語は終わる。


アレクサンドル・デュマ 作 『椿姫』では、アルマンがマルグリットに贈った本が
この「マノン・レスコー」であることが書かれている。


ペッパーベリー

2008-12-18 | Flower

Pepparbery 
小さな粒が集まって房になっているペッパーベリー。
花後に赤い実をつけ、スパイスに使われるという。
実ができるには雄株と雌株が必要で、雌株にだけ実が出来る。
この時期に実ものは貴重であり
大きさも使いやすく、又ドライになっても色彩が維持されるため人気が高い。
アレンジや花束をはじめ、どんな飾りにも適応する。

花言葉◆信じあう心
他に使用した花◆アーティチョーク、ユーカリの実(赤)


反逆の詩人ランボー

2008-12-17 | 

        アルチュール・ランボー 「地獄の季節」 より

 

『幸福』は俺の宿命であった、悔恨であった、身中の虫であった。
幾時(いつ)になっても、おれの命は、美や力に捧げられるには巨(おお)き過ぎるのかも知れない。

 

Rimbaud_4

 

             
       身も魂も奪われて、

       何をする根もなくなった。

 

       ああ、季節よ、城よ。

                   この幸福が行く時は、

                   ああ、おさらばの時だろう。

                           小林秀雄 訳  岩波文庫


反逆の詩人、ランボーは青春の通過点で、憂鬱、反抗、憎悪、そして憧れと幸福が、奔流するがごとく詩を書き連ねた。
10代の詩でありながら若き天才となったランボーは、現在までに数多の詩人を生み出したといえるだろう。


「この世のものにあらざりしランボー、その眼力この世の見かけを破壊しつくしたランボー、そして一歩一歩その足もとから新しい世界の生まれ出でたランボー」
(モーリャック)


使用した花◆ラナンキュラス、スカビオーサ

 


ソナチネ

2008-12-14 | 

Ranannkyurasu

   何と素朴で澄んでいることだろう
   生命の水よ、
   おまえは地の奥から
   この泉に溢れ出て、歌っている!

      おお、神々しくきよらかな泉よ、
   木や草は、
   おまえの澄んだ水を吸い込み、
   牡鹿や鳩は、おまえを飲んでかわきを癒す

               曲:ソナチネ(モーリス・ラヴェル)
      詞:生命の水(ヴァン・レルベルク)
      対訳:木村礼子


クリスマスツリーのガラスオーナメント

2008-12-12 | christmas

Silverornament_3 Garasuboru

 

クリスマスツリーは、エデンの園にあった知恵の木の象徴であり、
ツリーに飾られる赤いガラスボールのオーナメントはアダムとイヴが食べたりんごといわれる。

「収穫」の意味や、幸福をもたらす果実として 常緑樹の木に飾られる。

様々にデザインされたオーナメント はツリーを彩り、また庭の木に下げたり、
テーブルに飾られてクリスマスを待つ。                                    


「今宵かぎりは…」

2008-12-09 | 映画

                          1972年 スイス映画 ダニエル・シュミット監督 「今宵かぎりは…」

 

 年に一日だけ、召使のため主人と主従関係が入れ替わる祝祭の日。
召使は食卓につき、貴族は晩餐の準備をする。深夜12時までの宴である。
この映画にストーリーはなく、この日のため、館に来た旅芸人が披露する劇中劇で映画は進行する。
「ボヴァリー夫人」ラストの臨終のシーンや、
サンサースの「白鳥」の音楽で踊る官能的なサロメ、それを見る男と女の噛みあわない恋、
女の歌う今宵の愛などの、一幕もので場面をつなぎ、その合間に主従混合のシーンが入る。
台詞はわずかにあるものの、感情を排した映像に、宴の華やぎはなく、
沈黙的であり、全体を退廃でつつむ陶酔の世界である。       


       今宵こそは 与えておくれ 希望の光

       今宵こそは 見せておくれ 愛のしるしを

       今宵こそは 歌い明かしたい 君のため


日本での、この映画の上映は製作年より14年後の1986年である。
シュミット監督の日本公開は「ラ・パロマ」(’74年)が先であった。


クリスマスリース

2008-12-07 | christmas

クリスマスは、christ(キリスト)のmas(ミサ)であり、12月25日はイエス・キリストの生誕祭だが
歴史をたどれば、宗教観の争い、政治的背景、暦にもとづく祝祭などが絡みあい、12月25日がクリスマスと決まるまでには
複雑な経緯があった。欧米ではこの時期になると、どの家庭でもツリーやリースを飾り、部屋にモミをあしらい、
クリスマスには教会へでかけてキリストの誕生を祝う。 

Green_wreath_3Country_wreath_7
リースは環であり、終わりがないことから永遠を表し、
常緑樹を使うのも日本の松と同じで、やはり永遠の象徴としてモミの枝を使うようになった。

本来、枝を環にするのは豊作の願いや祈りのものであり、
クリスマスに限らず、蔓や実のついた枝を環にしてドアにかけていたといわれる。


3つのジムノペディ

2008-12-05 | 音楽

 異彩を放つ作曲家、エリックサティの曲は音が結晶化したように簡潔である。

それは、同じフレーズの連続が、別の不思議を

生み、ひとつの世界を作り出すからともいえる。

劇性をそぎ落としたピアノの音は、心地よい静謐にみちている。

フランス映画「鬼火」に流れる「ジムノペディ」「グノシエンヌ」は、

自殺するまでの揺れ動く男の心を、効果的に表している。


銀杏のかがやき

2008-12-04 | Flower

神宮外苑の銀杏並木が色づくと、平日でも見学者が多く訪れ、恒例の風景になっている。
人ごみを避け、信濃町方向へ歩くと、静かな銀杏の並木が続く。

Icyou_shinanomati_7 銀杏は、中世代に最も多く生育しており、何度かの氷河期を生き抜いたため
「生きている化石」とも言われ、果てしない歴史を歩んできた。

銀杏には雄株と雌株があり
精子で受精することを1869年、平瀬作五郎が若い種子から発見した。
欧米の植物界からも注目されたこの事実は、世界に誇るべき業績といえる。


          金色の ちひさき鳥のかたちして 銀杏ちるなり 夕日の丘に   与謝野晶子 


薔薇の夜を旅するとき

2008-12-03 | book

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地下深くに息をつめて、巨大な薔薇の根の尖端がしなやかに巻きついてくるのを待つほどの倖せがあろうか。
うずくまり、眼を瞑って、その触手のかすかなそよぎが次第にきつく厳しい裸身をいましめてゆく、栄光の一瞬。             

       TANTUS AMOUR RADICORUM (すべての 愛を 根に! ) 

                              
中井英夫「薔薇への供物」 薔薇の夜を旅するとき より

 花器提供M様

薔薇を偏愛する男と女は、薔薇園が閉鎖され自動車教習所に変わる前に、
最後の誇りとばかりに咲ききそう薔薇たちに会いにくる。

二人が考えた“過去からの弾丸”。
それは開所式の日、出席者の胸につけられたバラ(造花)に薔薇(生花)を撃ち込むという復讐だった。
そして、フラウ・カール・ドルシュキーと名づけられるはずだった孤高の白き薔薇を幽界へ送る。
薔薇作家、中井英夫が迷宮と神秘の世界へ誘う短編。


ジャン・コクトーの手 

2008-12-02 | Jean Cocteau

    

 「それに指が長くて表情に富んでいると皆からお賞めにあずかる手とを備え、背は高くもなく低くもなく、
細く痩せた胴体の上から、僕は無愛想な顔をあちこちに向けているわけだ」 

                            「ぼく自身あるいは困難な存在」 ぼくの身体について より

多くの芸術を生んだ手として、大きく、細く長い指のコクトーの手は有名である。
手をモチーフとして作品にした写真も多い。1962年には右手の手形も残している。