Silver linings

カリフォルニアで子育てとか仕事とか。

I love San Francisco!

2012-07-28 21:37:13 | サウジアラビア
サウジアラビアに行ってからよけいにサンフランシスコのことが好きになった。向こうにいる2週間のあいだ、どれだけバークレーの自分の家を恋しいと思ったか計り知れない。ベイエリアの青い空と、からりとした太陽、そしてさらりとした空気を思い出しては、帰る日を心待ちにしていた。恋しいと思ったのは、天気だけでなく、この場所が持つポジティブでインターナショナルな雰囲気。異質なものを受け入れる多様性と、政治的にも社会的にも進歩的なこの街から感じる活力。カリフォルニアの自由な精神に満ちあふれた人々、オープンで、フレンドリーで、少々エキセントリック。そして地元のおいしい野菜、フルーツ。

この場所を離れてみて初めて、ベイエリアの空がどれだけ青いか気づいた。
その空の下、「ふつうの日常」を送っていた自分の幸運さにも。

サウジアラビアから帰ってきてからは目にうつる何もかもが、それまでとは違って見えた。まるでひとつ追加されたフィルターを通して見ているように、とにかくすべての、それまで当たり前だと思っていたことが実はそうじゃないんだと思えた。そして、それまでの自分のふつうの日常(欧米の文化や日本で生まれ育ってふつうにあった環境)に感謝したい気持ちになった。

帰りの飛行機がまずサウジを出てパリ空港に到着したとたん、頭の中で異次元から舞い戻ってきたような強烈な「巻き戻し」が起こった。欧米文化にふたたび帰ってきたときの逆カルチャーショックというか。パリ空港では、女性は肌を露出し、カラフルな服を着て、男女はふつうに寄り添い抱き合い、手をつなぎ、人前で別れのキスをする。サウジに2週間いただけで、まるっきり保守的に洗脳されてしまった私のアタマは、そのパリの光景を処理するのに手間取った。慣れ親しんだ欧米文化の日常がすごく新鮮かつ進歩的に映った。

帰りの道中がそんなだったから、サンフランシスコに帰ってきたときの安堵感といったら計り知れない。7月のまだひんやりとした空気を感じたとたんに、「帰ってきたー!」と自由になった気がした。毎日が過ごしやすい気候であること。ふつうに服を着て外出できること。着飾ったり、おしゃれしたり、ファッションを誰に気兼ねすることもなく楽しめること。車を運転できる自由。公共交通機関が選べること。新鮮な野菜と果物がいつでも手に入ること。バリバリと働けること。そして自分の職場をとりまくクリエイティブな環境。仕事に情熱をそそぐ人々、ファミリーのような同僚達。それらのすべてを奇跡と思って、あらためて感謝した。


(サンフランシスコ湾のサンセット)

今回のサウジアラビア行きは、自分の暮らす街や文化、仕事についてあらためてふりかえる視点をくれた。自分の視野が広がったとか、価値観を変えた、なんていうとすごく陳腐に聞こえるけれど、言葉にするとそうなってしまう。これはきっと経験した人にしかわからない感覚だと思う。言葉にしても人に話しても、たぶん、自分の身をもって飛び込んで行ってみた人にしか分からないような。あえて言うならカセットテープの A面だけだと思っていたのに B面を発見したような感覚というか。いや、レコード盤の裏面も再生できることに気がついたときのような、、、。いやそんな小さな時代遅れなたとえじゃなくて、人生が B面もあった、世界に B面が存在した!みたいな、、。うーん、わからない(笑)。。

ともあれ、その形容しがたい感覚が自分のなかに経験として蓄積していくことは、とても幸運なことだと思う。経験は誰にも持って行かれない財産。お金やモノは誰かに持って行かれたり、なくなったりするけど、「経験」は自分のなかにずっと残るもの。あしたからの自分をつくるリソースに、きっとなってくれることでしょう。

感謝。

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